教授
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「では、アニメーガスではないのですね?」
マグゴナガル教授は心配そうに私の肩に手を置いた。
「はい…。
私の中の憑き物が段々成長して外に出たがって…耳と尻尾を出したんだと思います…。
お騒がせしてすいません…」
その場がシンと静まり返る。
「あなたが元気なら良いのですよ。」
優しく微笑んで私を気遣ってくれるマグゴナガル教授。
「今、我輩と彼女とで憑き物について色々と調べているところであります。
危険性はありませんのでご心配無く。
今後も他言無用でお願いしたい。」
スネイプ教授が主にロックハート教授に向けて静かにそう口にした。
「名無し、耳と尻尾が生えた君はとてもキュートだった!
安心したまえ!またあの姿になったら私が守ってあげよう!」
ロックハート教授がいつもの爽やかな笑顔で私を見た。
私とマグゴナガル教授は苦笑いをした。
スネイプ教授は冷ややかな顔でロックハート教授を見ている。
「この事は私からダンブルドア校長に伝えておきます。
今日はゆっくり休みなさい。」
マグゴナガル教授はそう言って部屋を出て行った。
「名無し、心配無用!私がついている。」
そう言うとロックハート教授は私を優しく抱きしめた。
イギリスのスキンシップには未だ慣れない。
「あ、ありがとうございます…」
私はやんわり、ロックハート教授を押しのけた。
では!と颯爽とロックハート教授が部屋か出て行くと、薬学室にいつもの静寂さが戻った。
「スネイプ教授とロックハート教授の決闘を見たからでしょうか…」
私を睨みつける教授の視線から目を逸らして私は答えた。
あなたを好きだって気がついたら耳と尻尾が出たんです…なんて口が裂けても言えるわけがない!
「決闘、凄かったですね!カッコよかったです!」
私は咄嗟に話題をかえる。
フンっと鼻を鳴らしてスネイプ教授は後ろを向く。
あれ…?もしかして照れてる?
可愛い…と胸をキュンとさせたら、またムズムズして私は慌てて立ち上がった。
勢い余って椅子がひっくり返る。
びっくりした顔でスネイプ教授が振り返った。
「あの、私、部屋で休みます!今日はありがとうございました!」
廊下を走りながら私は考えた。
まずい、これ以上スネイプ教授と一緒にいたら、また耳や尻尾が出てしまう。
私の能力は、恋をした時に表れるものだったんだ。
17歳のあの頃は、幼馴染にほんのり恋愛感情を抱いたのかもしれない。
でもそれは本当の恋じゃなく、憑き物も実体化することがなかった…これで全て辻褄が合う。
困った…
憑き物が体の外に出てしまうまで、自分では制御できない。
スネイプ教授の側に居たいのに、一緒にいるとまたあの姿になってしまう。
これからはなるべく教授との接触を控えて、早く憑き物が外に出てこれるよう対策を練らなければ。
それはとても難しくて、とても…さみしい。
私は大きなため息をついて、足早に自室へと急いだ。
「名無し!さぁ、こちらでお茶にしよう!」
フルーツ系のフレーバーティーとマカロン。
テーブルの上は可愛らしい女性好みのティーセットで統一されている。
さすが、女性に大人気の作家先生だとロックハート教授を見る。
スネイプ教授が時々私にご馳走してくれた、飾らない大きめのティーカップに入ったスパイスたっぷりのロイヤルミルクティーと大きなチョコチップクッキーが恋しい。
「さぁ、遠慮しないでたくさん食べて!」
ただ最初こそ苦手だったロックハート教授も、こうして一緒に仕事をしていると抜けているところが多くて可愛らしいとも思う。
「教授、いつもいつもお茶の用意はやめてください。」
「何故?!」
「何故って、用意も大変でしょうし…次の授業もあるのでゆっくりご馳走になれないので申し訳ないです。」
ああ!!!と大袈裟にリアクションしてロックハート教授が私を抱きしめようとする。
私はサッと体を避ける。
「その控えめで恥ずかしがり屋な所もいい!!」
大袈裟に身振り手振りしながらロックハート教授はまた自分に酔いしれている。
私は苦笑いして、紅茶を一口飲むと静かに立ち上がった。
ロックハート教授が私に背中を向けている瞬間に、逃げるように教室を後にした。
後ろからロックハート教授が私を呼ぶ声が聞こえてきた。
追いかけられてはたまらないと私は少し後ろを振り返りながら小走りになる。
前をよく見ていなかったので、廊下の曲がり角で勢いよくぶつかってそのまま後ろに尻餅をついた。
「…あっ、す、すいません。ごめんなさい。」
顔を上げるとそこには今一番会いたくて、一番会いたくない人物が立っていた。