教授
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ある日の午後、ロックハート教授がまた私に絡んできた。
「名無し、午後の授業で決闘の講義をします。君にも是非立ち会って欲しい。」
キラリと白い歯が光る。
「わかりました。怪我には気をつけてくださいね。」
「ハッ!まさか、この私が!!相手が医務室送りにならぬ事を祈るよ!」
そう言いながら大きく笑った。
決闘の相手がいるのか…魔法の決闘を見るのは初めてだ。
ロックハート教授が決闘相手に選んだ相手はスネイプ教授だと知って私は目を丸くした。
スネイプ教授が戦う姿なんて、もちろん見たことがない。
ロックハート教授は講義をしながら私をチラ見すると、ウインクをする。
慌てて視線を外しスネイプ教授を見ると、眉間に皺を寄せて不機嫌そうにしている。
スネイプ教授…頑張って…
ドキドキしていると、二人が向き合って一礼した。
お互い杖を剣のように前に突き出し構える。
(スネイプ教授、カッコいい!)
背の高いスネイプ教授が杖を構えて立っている姿は凛としていてとても素敵だった。
私は見惚れてしまう。
「一…二…三…」
「エクスペリアームズ!武器よ去れ」
スネイプ教授が叫んだ途端、ロックハート教授が舞台から吹っ飛び、物凄い音と共に壁に激突した。
その後、ズルズルと滑り落ちて床に大の字になった。
スネイプ教授、凄い!!!
戦う教授の姿は素敵すぎて、胸が高鳴った。
ロックハート教授は痛そうに顔を顰めているけれど、怪我はなさそうだ。
(よかった!スネイプ教授が何もなくて…)
ロックハート教授には悪いけれど、私はホッと安心して、思わず笑顔になってしまった。
そんな私をスネイプ教授がチラリと見て、二人の目が合う。
微かに私に微笑んで、すぐにふいっと顔を背けた。
胸がギュッと苦しくて、切なくなった。
私、スネイプ教授が好きなんだ…
少し前から感じていた胸の騒めきは恋だった!
急に自分の気持ちに気づいて、私は生徒達の後ろに下がって壁に背をつけた。
のろのろとロックハート教授が起き上がり、生徒達の決闘の授業が始まった。
私はボーっとした頭でその様子を見つめる。
ジワリと胸に熱が集まる。
「では、今日はここまでにしましょう!」
ロックハート教授の声で我にかえる。
「名無し先生!!」
片付けをしようと歩き出した私を見た生徒の一人が驚いた声をあげた。
みんなが一斉に私を見て騒ぎ出した。
「名無し!?」
ロックハート教授が驚いた顔で固まっている。
「騒ぐな!寮に戻りたまえ!」
スネイプ教授の怒鳴り声がして、急に腕を掴まれる。
スネイプ教授の黒いローブが私を包む。
「行くぞ」
私は訳も分からず、大好きな人に急接近され言葉が出ない。
早足で二人して廊下を歩く。
ローブが視界を防いで前がよく見えない。
心音が耳の中で爆発したように鳴り響いている。
私はよろめきながらも一所懸命スネイプ教授の歩幅に合わせた。
バタンと扉が閉まるとローブが無くなり視界が開けた。
見慣れた薬学室の真ん中で私はただ突っ立ってパニックになっていた。
教授が私を見つめている。
「窓を見たまえ…」
そう言われてすぐ横の窓に目をやると、ガラスに映った私がいる。
「…えっ…」
瞳を大きく開いて驚愕の表情を浮かべる私がガラスに映って私を見ている。
その頭には真っ白な先だけが金色の動物の耳…そう、狐の耳が生えていて、ピクピクと動いている。
さらに視界の下にフワフワと蠢くものがある。
ゆっくり視線を落とすと、お尻から耳と同じ色の大きな尻尾が生えて左右に揺れていた。
「わっ、わわわっ…」
耳を触って私は言葉にならない声を上げた。
「落ち着きたまえ、名無し」
「!?」
私自身が狐になってしまったんだろうか?
「名無し!」
スネイプ教授が優しく私の肩を掴んだ。
「大丈夫だ。我輩がついている。
…落ち着きたまえ、名無し。」
教授の真っ黒な瞳を見つめると私の気持ちが落ち着いてくる。
大丈夫、スネイプ教授がそう言ってくれるから…
大好きな人がそう言ってくれるから大丈夫…
そう思った瞬間、急に尻尾が激しく左右に揺れる。
嬉しい時に犬が尻尾を激しく揺らすみたいに。
「えっ?!あ、嫌だ!違います、これは!見ないでください!!!」
どうやら耳と尻尾は私の気持ちと連動しているらしく、敏感に感情を読み取って動き出した。
あわあわとまたパニックになって、恥ずかしくて涙目になってしまう。
教授は激しく左右に揺れる尻尾を見つめびっくりしている。
「名無し!さっきのは一体!!」
その時、おおきな音を立てて薬学室の扉が開く。
その音に振り返るとそこには息を切らしたロックハート教授とマクゴナガル教授がいた。
二人を見た瞬間、耳と尻尾の気配がシャボン玉が弾ける時のようにパチンと消え失せた。