教授
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その洋館を見上げて私はニヤリと笑った。
【London Dungeon】
不気味な洋館に血文字でそう書いてある。
もう信じられない!
クリスマスの日にこんな面白そうなお化け屋敷に入れるなんて!
私の中のホラー好きの血が騒ぐ。
「ふふふ…。スネイプ教授、本当に素敵なクリスマスをありがとうございます…」
「やめるなら今のうちだぞ?」
スネイプ教授は私が嫌味でそう言ったと勘違いしたらしい。
口の端を釣り上げていじわるそうに笑った。
「…忘れてませんか?私がいつかスプラッター映画に教授を誘おうとしてた事。
結局シリウスと行きましたけどね。」
「何?!」
横目でジロリと教授が私を睨む。
「日本と言えば怪談、怪談と言えば私。
私は怖いものがこの世で一番好きなんです!」
「何故我輩を誘わなかった?」
「えっ?スプラッターなんてくだらないって言いましたよね?
シリウスは喜んで一緒に行ってくれましたけど。」
ジト目で凝視され、何故か慌てて私は付け加える。
「私は怖がってませんよ?!
シリウスがめちゃくちゃ怖がって椅子で丸まって気分が悪くなって…」
大きな音がするたびに飛び上がって震えていた可愛いシリウスを思い出して私は笑った。
「…スネイプ教授は怖がったりしませんよねぇ?」
「フン。そんなセーターで外を出歩く名無しのほうがよっぽど怖いですな。」
「それはどうも!」
列が動いてとうとう私たちの順番がやって来た。
ギィ…と扉が開いて真っ暗な道が奥まで続く。
ここは歩いて行くタイプのお化け屋敷で役者さんが幽霊やモンスターを演じているらしい。
本格的だわ……。
ゴクリと私の喉が鳴る。
「…イギリスと言えば…マグルの世界で切り裂きジャックが有名ですね…。
ご存知でしょうか?」
「…ああ」
教授はそれだけ言うと黙りこくった。
横を見ると何を思っているのか、冷たい瞳で私を見下ろしている。
「我輩は…スウィーニー・トッドの話が気に入っている。」
「私も好きです!!人肉のミートパイを売るなんて…ふふふ」
「そこは笑うところではなかろう…」
ガシャン!!と大きな音がして私は飛び上がって思わずスネイプ教授の腕を掴む。
目の前に古びた診察台が表れ、血濡れの医者が表れた。
ペスト患者だろうか?診察台に見るも無残な姿になった人々が寝かされている。
藪医者や新米医者の実験台にされているようで、
大量の血を抜かれたり不気味なヒルに血を吸われたりしている。
「怖いのが好きなのではなかったか?」
「怖がりの怖いもの好きなんです!
スプラッターは好きなのでここは大好きです。」
そう言いながらも、スネイプ教授にくっつけたのが嬉しくて私はそのままでいることにした。
拷問部屋や、放火の現場、幽霊屋敷…いくつかの場面を通り過ぎると最後に中世のエレベーターが表れた。
「どうやらこれで最後のようだ。」
「もう終わりですか。…残念。」
私は軽口を叩きながら先にエレベーターに乗り込んだ教授に続いて中に入った。
「……。名無し。」
「何ですか?」
「恐ろしいものは得意と言っていたが、姿現しは苦手だな?」
「ああ、そうなんです。ホラーはいいですがスピード系は…」
そう言いかけたとたん、乗り込んだ箱がガタンと嫌な音を立てる。
突然ぐっと体を引き寄せられてスネイプ教授の顔が私に迫った。
「……スネイプ教授…。」
ここは誰もいない密室。
そして二人っきり。
もしかして…このままキスしちゃうの…?
私の心臓が突然爆発するように高鳴る。
「今日だけだぞ。特別に我輩の胸を貸してやろう。」
いきなり何?一体何のこと?
スネイプ教授のニヤリと嬉しそうな笑顔が見えた。
その瞬間、もの凄いスピードでエレベーターは地の底に落下して行った。私の大絶叫と共に…。