教授
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私の予想は見事的中した。
きっと玉と一緒にみんなやってくるはずだから、スネイプ教授には先に帰ってもらったのだ。
玉の後ろから三人が姿表しで現れるとシリウスが怖い顔で私の前に走り寄って来た。
「…シリウスさっきは…」
言葉も終わらないうちに抱きしめられて、息が詰まる。
「すまない…。」
いい年のおじさんが泣きそうな声を出すものだから、押しのけようとした手を止めた。
「…大丈夫ですよ。少し苦しいだけです。
あと…少し恥ずかしいです…。」
シリウスの気迫に押されているのか、ルーピン教授とトンクスは何も言ってくれない。
抱きしめる力が弱まって、私は顔を上げる。
「大丈夫か?怪我は無いか?」
「名無し、コートが無くて寒かったでしょ?」
やっとシリウスが私を解放して、トンクスとルーピン教授がコートとバッグを渡してくれた。
「ごめんね。ありがとう。」
「…それは…セブルスのコートかな?」
ルーピン教授の優しい声が私に質問する。
「全く!急に名無しを連れて消えるなんて!何考えてるの?!アイツは!」
私は苦笑いしながらスネイプ教授のコートを脱いで自分のコートを羽織った。
「今度アイツに会ったら…いや…やめておこう…。
全部俺のせいだ。」
「違うんです!私がベンチから落ちたから…たまたまそれを目撃したスネイプ教授を勘違いさせてしまって…
みんなごめんなさい!!
せっかくの楽しい夜だったのに!!」
玉も悪いと思ったのか、三人に頬ずりして回っている。
「気にしないで!飲み直しましょ?夜はこれからよ!」
トンクスが私を励ますように肩を抱いてくれる。
でも今日はトンクスの大切な日だからこれ以上邪魔できない。
「シリウス、さっき話の途中でしたね。
二人でどこか行きましょう。」
まさか私がそんなこと言うなんて思っていなかったのか、シリウスが驚愕の表情を浮かべた。
「ルーピン教授、シリウスをお借りしていいですか?」
「え?ああ。勿論!」
「夜はこれからだから、トンクスとルーピン教授も楽しんでね!」
トンクスは私を見て泣きそうな顔をする。
玉がトンクスに巻きついてその頬をペロリと舐めた。
「さぁ!
デザートを食べ損ねたので食べに行きましょう!」
ルーピン教授とトンクスにお辞儀をすると無言のシリウスの手首を掴んで私は歩き出した。
玉はシリウスの肩に飛び乗って尻尾をユラユラ揺らしている。
「シリウスはデザートよりお酒がいいですか?」
「…「名無し。」
「ルーピン教授とトンクスをくっつける約束忘れてないですよね?」
「…えっ?!」
突然シリウスが大声を出すから、びっくりした玉が私の胸へと高速で消えて行った。
「そっちか?!そっちなのか?!」
「そっちってどっちですか?!」
「俺はてっきり…君が俺と付き合ってくれるのかと期待しまくってたんだがな。
今も期待している。」
「…それは…。」
シリウスが立ち止まって私の顔をジッと見つめる。
「シリウスごめんなさい。私…」
「言うな!!その先は!!!」
「私、好きな人が」
「だから言うな!!!」
私を引き寄せまたキツく抱きしめる。
「うっ!苦しいです!」
「苦しくしてやる。俺だって苦しいんだ!」
突然、玉が見せたシリウスとの未来が思い出されて私の胸が熱くなった。
あの未来で私はこの人がとても愛おしかった…。
そう思ったら、急にシリウスを意識してしまう。
いままで抱きしめられても何も思わなかった心臓が爆発するように高鳴り出した。
「…まだ、好きな奴とは何もないんだろう?」
シリウスのくぐもった声が私の体に響く。
「名無しはそいつを追いかければいい。
…俺は名無しを追いかける。
どちらが先に捕まえるか競争だ。」
「そんなの無理です!やめてください。」
何だか急に悲しくなって私はシリウスを突き飛ばした。
「俺は欲しいと思ったものは絶対手に入れてきたんだ。
…覚悟するんだな。」
今にも泣きそうな切ない表情でシリウスは私の頬を大きな手で優しく撫ぜた。
「シリウス…」
「すまない。今日はひとりで帰れるな?」
そう言うと、シリウスは瞬く間に私の前から姿を消してしまった。
後にはシリウスの香りと胸の痛みだけが残っていた。