教授
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スネイプは小さな紙袋を胸ポケットにしまうと雨上がりの街を歩いた。
雨が淀んだ空気を流したのか、澄んだ空気が辺りを包む。
寒いが心地よい。
人通りの多いショッピング街を抜けると、道は飲食街へと続く。
その先には小さな公園があったように思うが…と思っていたら、記憶通り公園らしきものが見えてきた。
今の時間、飲食街と道路一本を挟んだ公園には人気がない。
ベンチがポツポツと並ぶだけだ。
その時、ベンチの一つに男女の人影が見えた。
男が女の手を突然掴むと後ろに押し倒したように見えた途端、ベンチから女が転げ落ち地面に腰から激突した。
男は立ち上がると笑っているようだ。
女は男を見上げたまま動かない。
…痴情の縺れか。女の暴力を振るうとは…
横を通り過ぎる為近寄ったスネイプがもう一度二人を見ると、そこには自分がよく知るブラックと名無しの姿があった。
しかしそれは全くの誤解で姿くらましして連れてきた助手はフラフラと青い顔をして呻いた。
ブラックと名無しを見ると冷静でいられない。
身一つでここに連れてこられた彼女はスネイプに文句を言う。
「狐に取りに行かせれば良かろう!」
苦し紛れに呟いた言葉に名無しが嬉しそうな顔をして真っ白い狐を胸から出してきた。
美しい狐はスネイプの体に巻きつくと、いつものように体を擦り寄せ甘えてくる。
名無しが知るより、自分とこの狐には絆があるのだ。
狐は二本の尻尾を発光させると、スネイプの頬をペロリと舐めてから肩に飛び乗った。
それからフワッと空中に飛び上がったと思うと、閃光のように夜空に消えてしまった。
夜空に浮かぶ大きな青白い狐の姿は幻想的でとても美しい。
思わず見惚れてしまう。
戻ってくるのだろうな?などと口では言いながら、自分を慕い懐いてくる賢く美しい狐の事を信頼していた。
その時、背後から名無しの嗚咽が聞こえて慌ててスネイプは振り返った。
「今度は何だ?!」
溢れ出る涙を一所懸命手で拭って号泣している助手がいる。
元々奇行が多い女だが、遂におかしくなってしまったのだろうか…
何か彼女を泣かせることをしてしまったか?
びっくりしたスネイプの表情を見て名無しが泣きながら笑った。
「…スネイプ教授が…心配してくれたのが…今更嬉しくて…」
切れ切れにはそんなことを呟きながら涙を拭っている。
本当におかしな奴だ。
いつも自分を混乱させる。
危なっかしくて放っておけない。
「涙を拭け。
でも我輩のコートでは拭くな!
鼻水もつけるな!」
「ふぁい…」
名無しは間の抜けたおかしな返事をして、ゴシゴシと顔を擦った。
俯く彼女の頭にそっと手を回し、それから優しく自分の胸に引き寄せた。
「…あ…胸に鼻水がついちゃいました…」
「……つけるなと言っただろうが…」
本当にコイツは…ムードもへったくれもない。
「お腹も空きました…グスッ…」
「…明日は好きなものを食わせてやる。」
白い狐はまだ帰って来ないかと夜空を見上げながら、スネイプは大きなため息をついた。