教授
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「…どういうつもりだ…スニベルス。」
「久しぶりの再会に随分なご挨拶ですな。ブラック…」
凍った空気が更に冷たく張り詰めている。
私はスネイプ教授の腕の中で顔を上げた。
教授は真っ直ぐに前を見つめて私を見ようともしない。
それなのに背中に回された手は私をしっかりと捕まえて離さない。
「教授、やめてください!」
私はスネイプ教授に向かって口を開く。
「名無しは嫌がっているぞ?離してやれ。」
「…黙れ。」
「お前はちっとも変わらないんだな。
地下室で一人薬だけ作っていればいい。
俺たちの邪魔をしないでいただきたいね。」
私の背中に回った手に力が篭るのがわかる
。
「シリウスもやめて!」
首をひねってシリウスを見ると、ポケットから杖を取り出すのが見えた。
まずい!どうしたらいいの?!
「教授…」
口を開いた瞬間、体が捻れて溶けてしまいそうな感覚と耳をつんざく風の音が起こり世界が回転した。
「オエッ…きもちわるっ…」
地面にうずくまった私をスネイプ教授が見下ろしている。
「…ここ、何処ですか…」
「…何故ブラックといた?」
ああ…説教が始まるのか…私は気持ち悪い胸を押さえて立ち上がった。
フラつく私の二の腕をスネイプ教授が掴む。
辺りを見回すとどうやら駅の近くらしい。
教授の背後に線路が見える。
「我輩の質問に答えろ!ブラックに何をされた!」
教授が声を荒げるから、ますます気分が悪くなる。
「…スネイプ教授…落ち着いて…」
「手を掴まれた後、突き飛ばされてベンチから転げ落ちただろう!」
「…えっ?!違います!違います!誤解です!
自分で転げ落ちたんです!ベンチから!」
スネイプ教授のはぁ?!っと言いたげな顔のお陰で少しだけ気分が良くなった。
「……。
今日はトンクスとの食事会と言っていたが?」
ギロリとした教授の視線が怖い。
「トンクスがルーピン教授と二人きりは恥ずかしいと言うので食事会に参加したらシリウスも来ていたんです。
シリウスが飲みすぎて体調が悪そうだったので外の風に当たろうかと思って…」
説明したらますますスネイプ教授の表情が固くなる。
「酔っ払いの介抱に手を握る必要が…?」
「だから私もびっくりしてベンチから転げ落ちたんです!!」
赤面した私を見て、少しだけ鬱憤が晴れたらしい。
フンっと鼻を鳴らしてスネイプ教授はそっぽを向いた。
「どうするんですかぁ…。
コートもバッグも財布も置いてきちゃいましたよ〜…。」
スネイプ教授は震える私を見て悪いと思ったのかコートを脱いで私にかけてくれた。
教授のいい香りに包まれて私の体温が一気に急上昇する。
「私、姿表し苦手なんです…。
一緒にお店まで戻ってください…。」
「……断る。」
えー!!勝手に連れてきたくせにぃ!!
唖然とする私を見て焦った教授がいい事を言った。
「狐に取りに行かせれば良かろう!」
「あ、そうか!教授頭いい!!玉、おいで。」
私の胸元からふわりと玉が飛び出す。
スネイプ教授を見て二本の尻尾をブンブン振り回し、私の事などそっちのけで甘えている。
「玉、お願い!お店から私の荷物全部持ってきて欲しいの。」
スネイプ教授の体に巻きついた玉が私をジっと見つめる。
「取ってきてくれるか?」
玉の頭を撫でながらスネイプ教授が玉に微笑む。
私にもあんな優しい顔して欲しいわ…と思ったら、玉が二本の尻尾を発光させた。
『スネイプ先生、ここはこの解釈で合っていますか?』
『どれどれ?…うん。よく書けてるわ。』
可愛らしい生徒に私が説明している。
『同じスネイプでも、スネイプ先生は優しくて大好きです。』
『ふふふ…ありがとう。
そんな事、薬学のスネイプ先生には言っちゃダメよ?』
はーい!と元気よく返事をして走り去る生徒の後ろ姿。
微笑みながらそれを見守る私…
頭の映写機が消えて我に帰ると、そこにはスネイプ教授の後ろ姿があった。
私はスネイプ先生と呼ばれていて、同じスネイプ先生でも私の方が好きだって可愛い生徒が言ってくれた…
左手を見たら私の小指の糸がスネイプ教授の左手に繋がっていた。
「凄いスピードで消えて行ったが、ちゃんと戻ってこられるのだろうな?」
夜空を見ながら教授が私に話しかける。
「………。ふっ…グスッ…」
何事かと教授が振り返っても私は溢れ出す涙を止める事が出来ない。
拭っても拭っても、涙は後から後から溢れてくる。
悲しい涙じゃなくて…嬉しい涙が止まらない。
「今度は何だ?!」
珍しくスネイプ教授が混乱した様子を見せたから、私は泣きながら笑ってしまった。
ついに頭がおかしくなってしまったと言いたげなスネイプ教授の左手小指にはしっかりと私に繋がった金色の糸がキラキラと輝いていた。