教授
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さっきまて晴天だった空からポツポツと雨が降り出した。
スネイプはマフラーと手袋をつけながら窓の外を眺めた。
冬の雨は冷える。
トンクスとの食事会にワンピースを着て行くと話していた名無しが濡れて風邪をひかないだろうか。
明日は名無しと何をしようか。
沢山美味しい料理やデザートを用意してやろう。
嬉しそうに料理を頬張る笑顔が目に見えるようだ。
プレゼントも用意してやるか…
スネイプはもう一度空を見上げると部屋の扉を開けた。
空は急に真っ暗になり、雨まで降り出した。
ガラスにポツポツと雨粒が当たっては雫になって落ちて行く。
…涙みたい。
私は待ち合わせ時間より随分早く学校を飛び出し、一人カフェの椅子に座っていた。
瞬きをして目を開けると、紫色の世界には無数の糸が広がっている。
見間違いでないことが証明されたようで、胸がズキッと傷んだ。
ほら、元気出して!
楽しい空気を壊すような真似はダメ。
ルーピン教授とトンクスがうまく行くように応援しなきゃ!
私はそう決意して、甘いホットチョコレートを一口飲む。
雨はさっきより強くなっていて、三人は傘を持って来ているだろうかと心配になった時だった。
「早いじゃないか…」
私の頬に雨の雫が一粒。
肩に大きな手が置かれた。
その手を見てから顔を上げるとビックリしたシリウスの顔があった。
「…その瞳!!」
ハッとして瞬きをすると世界の色彩が戻ってくる。
「シリウス!久しぶりです。」
私が笑顔を向けるとシリウスは少しだけ怪訝な表情をして隣の席に座る。
どうやら紫色の瞳がシリウスをびっくりさせてしまったみたい。
「…名無し…だな?」
「はい。びっくりしましたか?」
「…いや…ああ、少しな。」
シリウスの様子が少しだけ変なのは気のせいだろうか。
「あ、寒かったでしょ?髪が少し濡れてますよ。」
私は杖を出し、シリウスに呪文をかける。「使えたんだな、杖。」
冗談っぽくシリウスが笑う。
「当たり前です!飲み物買ってきます、何がいいですか?」
自分で…と私の頭に手を置いてからシリウスはカウンターの方に行ってしまった。
私はその後ろ姿をぼんやりと眺めた。
…どこか違和感がある。
「!!」
手元のホットチョコレートを倒しそうになって慌ててカップを掴んだ。
シリウスは糸を持ってない!
さっき私の肩に置かれた手は左手だった。
紫色の世界を通して見たシリウスの大きな手には何もなかった!
こんな短時間にしかも知り合いで、運命の相手を持たない人が二人現れるなんて…
カウンターに立つシリウスを女性が振り返る。
注目して見ると、数人の女性がシリウスを熱い視線で眺めている。
あんな素敵な男性になぜ相手がいないの?
ザワッと胸騒ぎがする。
不意にシリウスが私に手を振ってニコリと微笑んだ。
私も不安を打ち消すように微笑み返した。