教授
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
珍しく名無しの前にはサラダと紅茶のみで、スネイプはギョッとした。
クリスマス休暇に入り、生徒はもちろん教師も大半は自宅に戻ってしまった。
構内は閑散としていて、ここ最近は大広間の食事もこじんまりとしている。
それでもメニューは手が込んでいて、大食らいの助手は毎日誰よりも先にテーブルに腰掛けているのだ。
思わず具合でも悪いのか?と声をかけたら、惚けた顔で自分を見上げた。
…心配して損をした。この顔!ここの生徒なら5点は減点している。
「教授、おはようございます。
今日はこのチーズたっぷりのポテトが私を誘惑するんです…」
グリーンリーフをむしゃむしゃ食べながらさりは悲しそうな顔をする。
「食べればよかろう。好きなだけ。」
「今晩、トンクスとご飯行くので我慢してるんです。
私の好きなメニューばっかりだっていうからたくさん食べたいし…」
名無しはジトーっとポテトを見つめながらため息をつく。
「今食べても結局食べるのだろう。入れてやろう。皿をよこせ。」
「…じゃあ…ちょっとだけ。」
心底嬉しそうな笑顔を見せる名無しを可愛いらしいと思う自分の気持ちを悟られないよう、スネイプはポテトを山盛り皿に乗せた。
「あ!入れ過ぎです!
ワンピースが入らなくなっちゃう!」
言ってからしまったっという表情で名無しがスネイプを見た。
「フン…。トンクス相手の食事会だろう。普段着で行け。」
名無しは何か言いかけてから口をつぐむ。
「トンクスに言いつけてやろー…」
「何?!」
ジロリと睨むと横にはスネイプを無視してチーズをビョーンと口から伸ばしている名無しがいた。
一瞬イラっとした後、気を取直して紅茶に口をつける。
「…スネイプ教授?」
紅茶くらいゆっくり飲ませて欲しい。
「なんだ。」
「明日…覚えてますよね…?」
チラリと名無しを見て、ワザと意地悪な表情を浮かべてやる。
「はて?何のことですかな?」
名無しは片方の頬をポテトで膨らませながら目を丸くして驚いている。
「…覚えている。我輩の側にいるのだろう、一日中。」
口に物を入れてうまく喋れない為ホッとした表情を浮かべウンウンと頷く名無しの仕草を見ると頭を撫ぜてやりたくなって、慌ててティーカップを手に取った。
スネイプ教授が明日のこと忘れちゃったのかと思って私は喉を詰まらせそうになった。
でもそれは冗談でホッとする。
明日はワンピースを着たいから朝から頑張ってサラダだけ食べてるのに、教授が山盛りポテトを入れるから嫌々…有り難く頂戴することにした。
今夜のディナーは食べすぎ注意!
本当はトンクスだけじゃなくて、ルーピン教授とシリウスも一緒だけどそれをわざわざ言う必要ないよね。
私はチラリとスネイプ教授の左手を見た。
トンクスとルーピン教授のイメージを見てから、スネイプ教授の左手に触れたくて堪らない。
一番最初が最高の映像だったせいか、私ももしかしたら…と欲が出てしまった。
運命を覗き見るのはやり過ぎだとしても、小指の糸を確認するくらいは許されるんじゃないだろうか?…と、あれほど見ないと誓ったくせにそればかり考えてしまう。
糸があるかだけ。
自分の糸は出さないから、辿って見ることはできない。
スネイプ教授の指の糸をちょこっと確認するだけよ…。
教授は紅茶を飲みながら、新聞に目を落としている。
(…玉、見せて)
目の前の景色が紫色に変わる。
私はゆっくりと視線を教授の左手に向けた。
筋張った大きな手。長い指。
この手に触れられたい。
私は教授の小指に集中した。
……?!
…無い。
何も見えない。
視界は確かに紫色で、自分の左手に集中してみたら金色の糸がスッと現れた。
もう一度確認しようとしたら、教授がティーカップを置く音がした。
私はパッと瞬きをする。
「何だ?まだ足りないのか?」
微妙な表情で固まる私を見て教授が言う。
「いえ、もうお腹いっぱい…です…」
教授は?という表情で私を見ると、席を立ち行ってしまった。
スネイプ教授の糸…
何故?
リリーさんと結ばれなかったから消えてしまったの?
スネイプ教授はやっぱりリリーさんしか見てないんだ…
知ってた!ずっと前から知ってたよ!
側にいろだなんて言われて、少しだけ期待して……
…食べよう。
もっと食べよう。
口いっぱいにポテトを入れて天井を見つめる。
今日の天井はぐにゃぐにゃしてる。
ポテトが急に塩辛い。
でもおいしい…
偶然出てきた首なしニックが私を見てギョッとしてから静かに消えて行った。