教授
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「?…教授も食べますか?」
さっきから度々、スネイプ教授がサラダのトマトをほうばる私を穴が空くほど見つめるので気まずい…。
「…いらん。」
何かしてしまっただろうか?
それとも顔に何かついているのかと私はナフキンで口元を拭った。
「名無し、今週末の予定は?」
蓄音機を運び終わった私の肩にルーピン教授の大きな手が乗った。
「部屋の片付けでもしようと思っています。」
「シリウスがまた名無しと会いたいと言ってたよ。どうかな?」
「……」
シリウスの名前を聞いて私は固まった。
映画を見た日、なんとなく気まずい別れ方をしてしまったから、もう誘ってもらえないと思っていたのだ。
「…シリウスは素敵だし、私を誘わなくても…」
「君がいいんだって。」
ルーピン教授の声が私の言葉にかぶさる。
「連絡だけでもしてやってくれないかな?」
ルーピン教授の優しい笑顔でお願いされると断れない。
「わかりました。手紙書いてみます。」
ありがとうと笑うルーピン教授の笑顔が眩しい。
「ホグワーツにいても出会いがないだろう。君は若いんだから、もっと遊んだり恋をしたり…いろんな経験を積まないと。」
そう言って笑いながら私の頭に優しくポンと手を置いて奥に行ってしまった。
恋をしたり…
スネイプ教授の顔が浮かんで、またため息が出そうになる。
ため息は幸せが逃げるんだった!
私は代わりに大きく息を吸った。
シリウスは一緒にいると楽しいし、この前のこともちゃんと会って謝ろう。
私はそう自分に言い聞かせ、防衛術の教室を後にした。
クリーチャーに入れさせた紅茶を飲みながら読書をしていたシリウスの目の端に白いものが映る。
「んっ?」
閉じたカーテンとカーテンの隙間が3センチほど開いていて、そこに何か白いものがチラチラ蠢いていた。
近寄ってカーテンを開ける。
窓に人の形をした白い紙が張り付き、時折クルっとその身を回転させていた。
「なんだこいつ?!」
窓を少し開けると、隙間からピュっとヒトガタが入ってきて、シリウスの顔の前にピタリと静止した。
『こんばんは。お髭が紅茶で濡れています。』
白いヒトガタの胴体部分に赤いインクの文字が浮かぶ。
びっくりして口を拭うと、文字は消え次の文章が浮かんできた。
『ルーピン教授に言わず、直接連絡くれればいいのに。』
「名無し!」
シリウスは顔をくしゃくしゃさせて笑う。
『何か話しかけてみて。』
【名無し、君は面白いことができるんだな】
ベッドに座る名無しの目の前のヒトガタに赤い文字が浮かぶ。
シリウスからのメッセージだ。
どうやら無事、飛ばしたヒトガタはブラック家にたどり着けたようだ。
『今週末は部屋の片付け。片付けは嫌い。』
【そんなことやめて遊びに行こう】
『クディッチ観戦はどう?』
【クディッチに興味が?】
『見るよりする方が好き』
シリウスはヒトガタに浮かぶ文字を見て声を出して笑った。
本当に名無しは少年のようだ。
【君と会えるのを楽しみにしている】
『ラフな格好で来てね』
【了解】
『ヒトガタはそのままで。おやすみなさい』
文字の消えたヒトガタが、ふわりとシリウスの体の周りを回り出した。
頭からつま先まで体全体をなぞるように飛んでいく。
その姿が可愛らしくて、シリウスは笑いながらヒトガタを目で追う。
満足したヒトガタはいちどピタリと止まって一回転した後、窓の外から闇世の中に消えてしまった。
シリウスはおおきく窓を開けて、清々しい気分で夜空を見つめた。
狐の名無しがスネイプの羽ペンの匂いを嗅いでいる。
羽が鼻をくすぐり、クチュンっと小さなくしゃみをした。
今朝の名無しの態度を見ていると、夜中に狐が表に出てこうして徘徊していることなど想像すらしていないのだろうとスネイプは思う。
「…おいで。」
スネイプは微笑みながら椅子を用意してやる。
名無しは嬉しそうに椅子に飛び乗ると紫の瞳でスネイプを見た。
「質問する。
リリーを知ってるのは何故だ?」
狐の名無しはジッとスネイプを見つめる。
「おんしつでみた」
それだけ言って、嬉しそうににっこりと笑った。
時折、温室に足を運んでいる姿を名無しに見られていたのか…。
スネイプは目をつぶりため息をついた。
感の良い名無しのことだ。
百合を見つめる自分の姿を見て、何かを察したのだろう。
それで、ルーピンにでも話を聞いたのかリリーの存在を知ったのかもしれない。
「リリーは確かに大切な人だ。」
名無しはにこりと笑う。
「しかし…今はお前の主人に…」
無垢な瞳でスネイプを見つめる狐の名無しを見てスネイプは口を閉じた。
「…主人は今日も元気だったか?」
スネイプは質問を変えた。
今日は薬学の授業は無かったので名無しとは朝食の席でしか会っていない。
「シリウス」
嬉しそうな笑顔の名無しからまたブラックの名前が飛び出し、スネイプはムッとする。
「…ブラックがどうした?」
「くでぃっちはみるよりするほうがすき きみとあえるのをたのしみにしている らふなかっこうできてね りょうかい」
狐の名無しの口から壊れたラジオのように言葉が飛び出した。
頭の中で整理してみると、どうやらまたブラックと会う約束をしているようだ。
眉間に深いシワを寄せたスネイプは黙りこくった。
名無しは私を愛しているのでは?
女の心は理解不明だ。
「おんなのこころはりかいふめいだ」
ギョッとすると、いつの間にか背中に狐の名無しがしがみついてスネイプを見て笑っている。
「…書物を読むように人の心を読むものではない。」
狐が怒らないでとでも言うように、可愛らしい顔でスネイプに微笑んだ。
さっきから度々、スネイプ教授がサラダのトマトをほうばる私を穴が空くほど見つめるので気まずい…。
「…いらん。」
何かしてしまっただろうか?
それとも顔に何かついているのかと私はナフキンで口元を拭った。
「名無し、今週末の予定は?」
蓄音機を運び終わった私の肩にルーピン教授の大きな手が乗った。
「部屋の片付けでもしようと思っています。」
「シリウスがまた名無しと会いたいと言ってたよ。どうかな?」
「……」
シリウスの名前を聞いて私は固まった。
映画を見た日、なんとなく気まずい別れ方をしてしまったから、もう誘ってもらえないと思っていたのだ。
「…シリウスは素敵だし、私を誘わなくても…」
「君がいいんだって。」
ルーピン教授の声が私の言葉にかぶさる。
「連絡だけでもしてやってくれないかな?」
ルーピン教授の優しい笑顔でお願いされると断れない。
「わかりました。手紙書いてみます。」
ありがとうと笑うルーピン教授の笑顔が眩しい。
「ホグワーツにいても出会いがないだろう。君は若いんだから、もっと遊んだり恋をしたり…いろんな経験を積まないと。」
そう言って笑いながら私の頭に優しくポンと手を置いて奥に行ってしまった。
恋をしたり…
スネイプ教授の顔が浮かんで、またため息が出そうになる。
ため息は幸せが逃げるんだった!
私は代わりに大きく息を吸った。
シリウスは一緒にいると楽しいし、この前のこともちゃんと会って謝ろう。
私はそう自分に言い聞かせ、防衛術の教室を後にした。
クリーチャーに入れさせた紅茶を飲みながら読書をしていたシリウスの目の端に白いものが映る。
「んっ?」
閉じたカーテンとカーテンの隙間が3センチほど開いていて、そこに何か白いものがチラチラ蠢いていた。
近寄ってカーテンを開ける。
窓に人の形をした白い紙が張り付き、時折クルっとその身を回転させていた。
「なんだこいつ?!」
窓を少し開けると、隙間からピュっとヒトガタが入ってきて、シリウスの顔の前にピタリと静止した。
『こんばんは。お髭が紅茶で濡れています。』
白いヒトガタの胴体部分に赤いインクの文字が浮かぶ。
びっくりして口を拭うと、文字は消え次の文章が浮かんできた。
『ルーピン教授に言わず、直接連絡くれればいいのに。』
「名無し!」
シリウスは顔をくしゃくしゃさせて笑う。
『何か話しかけてみて。』
【名無し、君は面白いことができるんだな】
ベッドに座る名無しの目の前のヒトガタに赤い文字が浮かぶ。
シリウスからのメッセージだ。
どうやら無事、飛ばしたヒトガタはブラック家にたどり着けたようだ。
『今週末は部屋の片付け。片付けは嫌い。』
【そんなことやめて遊びに行こう】
『クディッチ観戦はどう?』
【クディッチに興味が?】
『見るよりする方が好き』
シリウスはヒトガタに浮かぶ文字を見て声を出して笑った。
本当に名無しは少年のようだ。
【君と会えるのを楽しみにしている】
『ラフな格好で来てね』
【了解】
『ヒトガタはそのままで。おやすみなさい』
文字の消えたヒトガタが、ふわりとシリウスの体の周りを回り出した。
頭からつま先まで体全体をなぞるように飛んでいく。
その姿が可愛らしくて、シリウスは笑いながらヒトガタを目で追う。
満足したヒトガタはいちどピタリと止まって一回転した後、窓の外から闇世の中に消えてしまった。
シリウスはおおきく窓を開けて、清々しい気分で夜空を見つめた。
狐の名無しがスネイプの羽ペンの匂いを嗅いでいる。
羽が鼻をくすぐり、クチュンっと小さなくしゃみをした。
今朝の名無しの態度を見ていると、夜中に狐が表に出てこうして徘徊していることなど想像すらしていないのだろうとスネイプは思う。
「…おいで。」
スネイプは微笑みながら椅子を用意してやる。
名無しは嬉しそうに椅子に飛び乗ると紫の瞳でスネイプを見た。
「質問する。
リリーを知ってるのは何故だ?」
狐の名無しはジッとスネイプを見つめる。
「おんしつでみた」
それだけ言って、嬉しそうににっこりと笑った。
時折、温室に足を運んでいる姿を名無しに見られていたのか…。
スネイプは目をつぶりため息をついた。
感の良い名無しのことだ。
百合を見つめる自分の姿を見て、何かを察したのだろう。
それで、ルーピンにでも話を聞いたのかリリーの存在を知ったのかもしれない。
「リリーは確かに大切な人だ。」
名無しはにこりと笑う。
「しかし…今はお前の主人に…」
無垢な瞳でスネイプを見つめる狐の名無しを見てスネイプは口を閉じた。
「…主人は今日も元気だったか?」
スネイプは質問を変えた。
今日は薬学の授業は無かったので名無しとは朝食の席でしか会っていない。
「シリウス」
嬉しそうな笑顔の名無しからまたブラックの名前が飛び出し、スネイプはムッとする。
「…ブラックがどうした?」
「くでぃっちはみるよりするほうがすき きみとあえるのをたのしみにしている らふなかっこうできてね りょうかい」
狐の名無しの口から壊れたラジオのように言葉が飛び出した。
頭の中で整理してみると、どうやらまたブラックと会う約束をしているようだ。
眉間に深いシワを寄せたスネイプは黙りこくった。
名無しは私を愛しているのでは?
女の心は理解不明だ。
「おんなのこころはりかいふめいだ」
ギョッとすると、いつの間にか背中に狐の名無しがしがみついてスネイプを見て笑っている。
「…書物を読むように人の心を読むものではない。」
狐が怒らないでとでも言うように、可愛らしい顔でスネイプに微笑んだ。