教授
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ペラペラと小さなヒトガタが名無しの周りを飛び交う。
名無しが何やらヒトガタに指示すると、飛び交う速度を速め瓶を探す。
見つけた瓶の前でヒトガタがツンツンと可愛らしい動きをすると、彼女はそれ目指して梯子を上り薬品を手に取った。
スネイプは少し奥で木箱の中の薬品を整理しながら時々名無しを見つめる。
珍しい薬を見つけて目の前にかざす彼女の顔はとても美しい。
多少の下心を持ってこの狭い薬品庫に呼びつけたものの、いざ作業してしまうと自分も調子が出て本当に薬の選別作業を初めてしまった。
何かアクションを起こしてみようか?
…しかし、何をすれば?
「教授、この棚の薬の日付けですが…」
名無しが梯子に上ったまま、スネイプに尋ねた。
スネイプはのっそりと立ち上がった。
「これは熟成順に並べてあるのか、それとも日付順に並び変えたほうが…」
「よく見たまえ。ここはこのように並べるのだ。」
名無しが驚いた顔で体を震わせた。
スネイプは名無しに覆いかぶさるよう、自分も梯子に上って背後から指示を出した。
背の高いスネイプが名無しに覆いかぶさると、名無しの頭が胸の位置に来る。
梯子の上で身動きの取れない彼女は前を見たまま固まっている。
スネイプはそのまま棚の瓶を整理していく。
「何をしている。手を動かしたまえ。」
我ながら意地の悪い…と思いつつ、わざと名無しに声をかける。
「…!はっ、はい!」
至近距離でいるのに聞こえないくらいの小さい返事をして、名無しが薬瓶に手を伸ばす。
その手は小さく震えていて、スネイプはこのまま背後から名無しを抱きしめてしまいたい衝動にかられた。
この美しい助手は自分を愛している。
もう少し虐めてみたくて、スネイプはさらに上の薬品を取る仕草で腕を伸ばし、彼女に体重をかけた。
名無しの小さな背中と自分の上半身が触れてジワリと熱がこもる。
なんて心地よい暖かさだ。
ふわりと甘い香りがスネイプの鼻をくすぐった。
名無しは震える手でスネイプの並べた瓶を手本にしながら一心不乱に瓶を入れ替えている。
わかりやすすぎる彼女の行動に笑いがこみ上げたところで名無しが不意にスネイプを振り返った。
「…あの、教授…そろそろ下に降りたいのですが…」
頬を桜色に染めた名無しの大きな瞳がスネイプを見つめた。
少し泣きそうな顔、スネイプの好きな名無しの顔が今目の前にある。
今彼女の唇に自分の唇を重ねたら、ふたりはどうなってしまうのだろうか?
彼女の髪に、頬に、唇に触りたい…
「教授!」
名無しがスネイプの右頬をむにゅっとつねった。
「なっ、何をする!」
「下の作業があるのでどいてください!」
スネイプは思わず梯子から片手を外し半分体を浮かせた。
名無しは梯子から飛び降りるようにして、スネイプの胸の中から消えてしまった。
教授は私を異性として見ていない。
ベッドの上で私は何度目かのため息をつく。
私の上に覆いかぶさって作業するなんて、リリーさん相手なら絶対にしないと思う。
覆いかぶさるときは作業中ではなくて、愛を囁くときだろう…。
なんて想像をしてしまって、私はなんてことを!!と赤面する。
薬品庫の出来事は正直とても嬉しかった。
でも同時にとても苦しい。
リリーさんのことを知らなかったら、きっと今頃嬉しくてこのベッドの上で転げ回ってるはずなのに。
「…はぁ…。玉はいいね、素直に教授に甘えられて。」
尻尾を揺らしながら私の横に体を丸めている玉の頭をひと撫ぜすると、紫の大きな目でじっと私の目を見つめ、二本の尻尾をぐるりと回した。
ナイトウェアの胸元に玉が頭を突っ込むとジワッと胸に熱が表れて、急に眠気が襲ってくる。
「…玉、おやすみぃ…」
言い終わらないうちに私は夢の中に落ちていった。
コンコン。
薬学室の扉をノックされてスネイプは顔を上げた。
こんな時間に一体誰だろう?
コンコン。
不審に思って黙ったままでいたら、またノックされる。
仕方なしに椅子から立ち上がり扉を開けた。
「!こんな夜更けに何か用かね?」
暗がりに俯いた名無しが立っていて、細い明り目掛けて体を滑り込ませた。
驚いたスネイプは扉を閉め、背後にいる名無しを振り返る。
突然ぎゅっと甘い香りに包まれた。
名無しがスネイプの体に飛びつき、力いっぱい抱きしめているからだ。
「…!名無しっ」
何かがおかしい。
スネイプは無理やり名無しを引きはがすと、彼女の顔を見つめて息をのんだ。
「…せ…ぶう…す」
真っ黒な瞳でない、紫の瞳の名無しが口を開いた。
自分の発した言葉に『んっ?』という顔をした後、彼女はもう一度口を開く。
「セブ…ルス…セブルス、セブルス、セブルス!」
顔いっぱいの笑みと蒸気させた頬で何度もスネイプの名前を呼ぶ。
「…名無しの狐か?」
名無しは上目遣いにスネイプを見ると、無邪気な笑顔でまたセブルスと名前を読んだ。