教授
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
スネイプは薬瓶を集める名無しの後ろ姿を見つめた。
「名無し…。」
「何ですか?」
名無しが振り向いて美しい笑顔を返す。
「くだらん映画は楽しかったか?」
「くだらんって…まぁ、くだらなかったです。」
笑いながら手を動かして、次々と瓶を回収していく。
「それから…我輩の部屋に狐をやる時は声をかけてからにしたまえ。」
「えっ?!」
作業の手を止めて名無しがギョッとする。
「玉が教授の部屋に行きましたか?」
名無しは知らなかったのだろうか?
ショックだったのか青い顔で突っ立っている。
「我輩が撫ぜてやったら大人しく出て行った。それだけのことだが。」
話を聞いた名無しはホッとした顔ですいませんでしたと小さく謝った。
突然背後からセブルス、名無しと名前を呼ばれ二人が振り返るとダンブルドア校長が微笑んでいた。
「魔法省に行けるとは思っていませんでした。」
今日はくしゃくしゃさせていないショートヘアにパールの一粒ピアスをつけ、スーツを着ている名無しの姿が慣れないスネイプは目のやり場に困る。
体にぴったりしたジャケットと、タイトなスカート、すらりとした足に踵の高いパンプスを履いている。
そのせいかいつもより少し身長が高いのも違和感があった。
助手というより、今日の名無しは秘書と言った感じである。
「魔法省は人が多い。我輩に着いて来るように。」
「はーい。」
子供みたいな返事が返ってきて、中身は変わらずだなと安心した。
「理事のところに行くんですか?」
「左様。我が寮のドラコの父親のルシウスに校長からの伝言を渡すのだ。」
「ドラコ君のパパさんですか。お会い出来るのが楽しみです。」
パパさん…ルシウスの顔を想像して少しだけ可笑しくなる。
「さぁ、入るぞ。」
「わぁ!凄い!」
名無しは天井を見つめて魔法大臣の巨大ポスターを眺めた。
「本当に凄い人ですね!…あっ!教授待って!」
言った側から遅れ出し、スネイプは名無しを振り返りジロリと睨んでやる。
「あれ!フルーパウダー!使ったことありません!凄い!
あ、あれは何ですか?」
いちいち目につくものに感動している。
エレベーターの前は人だかりで乗り込むのも一苦労しそうだ。
名無しは横で呑気にキョロキョロしている。
スネイプをツンツン突いて、頭上を飛ぶ伝言用の紙飛行機を指差し『折り紙』とはしゃいでいた。
チンという音と共にエレベーターが開き、後ろから人波に押される。
「あっ…教授…」
スネイプは咄嗟に名無しの腰に手を回して、自分の横に引き寄せた。
小さな箱は一瞬にして満員になる。
腰に回した手を引っ込めることも出来ず、仕方なくそのままにする。
名無しの右横は恰幅の良い魔女で、随分と幅を取っている。
右から左に体を押された名無しが少しよろけてスネイプのローブを掴んだ。
「ごめんなさい。」
上目遣いにスネイプを見上げて、小さく呟く名無しの顔を間近でみたスネイプはドキリとした。
ビジネスメイクのせいだろうか?
中性的で大人びた美しい名無しがそこにいた。
美しい瞳に吸い寄せられそうで、何も言わずに視線を外す。
扉が開き、何人かが降りて行った。
やっと隙間ができ、スネイプは腰に回した手を離した。
気まずそうに名無しが苦笑いする。
今度はエレベーターが後ろへ下がり、地下へと動き出した。
その動きが名無しにとって不自然なのか、またグラリと体を揺らす。
危なっかしくて見ていられないスネイプは自分の腕に名無しの手を導いた。
名無しは少し戸惑った後、その腕を握った。
「ご迷惑をおかけしました。」
ふぅと一息、名無しがため息をついた。
「急ぎたまえ。」
名無しを置いて先を行く。
その時タイミングよく、ルシウスが廊下を曲がってこちらにやって来た。
「セブルス。よく来たな。」」
「これを。ダンブルドアからだ。」
ルシウスはムスっとした顔でそれを受け取り、それから背後の名無しを見た。
「これはこれは。セブルス、こちらは?」
「はじめまして。名無しと申します。」
名無しは酷く緊張した様子で硬い挨拶をした。
「マホウトコロからホグワーツに来たのだ
。教師見習いで今は助手として働いている。」
スネイプが付け加えた。
「そうでしたか。うちのドラコはどうですかな?先生。」
ルシウスに見つめられ、名無しの頬がほんのり桜色に染まる。
「とても優秀な生徒です。クディッチでの活躍も毎回楽しみに拝見しております。」
ルシウスがニッコリ微笑むと名無しは恥ずかしそうに目を伏せた。
「あんなにステキなパパさんは初めて見ました!!」
興奮気味の名無しをジトっとした目で見る。
「それはそれは…結構なことだ。」
「目の保養になりました。ふふふ。」
喜ぶ名無しを見て何故かムッとしてしまう。
「ドラコ君の話をしてるルシウスさんの優しい顔が素敵でした。」
そっちか…家族愛のほうか…。
「まだ時間がある。」
「お茶しましょう。」
いつもの名無しから予想するに、飛びついて来るかと構えてみたが今日はその気配がない。
ホレと自分の方から腕を出して見た。
一瞬躊躇し、遠慮しながらそっと腕を絡めて、嬉しそうな顔をした。