教授
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今日はピンス先生に呼ばれ、夜間の図書室で本の整理を手伝っていた。
本は大好きだけど、英語があまり得意じゃない私は残念に思う。
もっとちゃんと勉強してここの本をスラスラ読めるようになりたいな…とくに禁書の棚には随分面白そうな本がある。
本の量が凄いので、玉とヒトガタもたくさん用意して手伝わせている。
ピンス先生はペラペラのヒトガタが本を運んでいるのを見て、可愛らしいと喜んでいた。
「占い学関連の棚を探して来てくれる?」
玉に声をかけたらすぐに消えた後一瞬で戻ってきた。
いつも私に尻尾を巻きつけて、道案内してくれる玉がいつものように私にふわりと尻尾を巻き付けた。
でも今日はそれが新しく生えた方の尻尾だということに私は最初気付かずにいた。
「こっち?」
玉は巻きつけていない尻尾をゆらゆら揺らしてゆっくり私の前を歩く。
その時不意に力が入ったのか、私に巻きついた尻尾が微かに発光した。
『「われ、ここに誓う。われ、よからぬことをたくらむ者なり」』
私の頭の中にくしゃくしゃした髪の男子生徒の顔が浮かぶ。
その後映像は映画のように流れ出した。
とてもハンサムな生徒が悪戯いっぱいの笑顔をしている。
鼻のとんがった小さな男子生徒も笑っている。
「えっ?誰?」
私は立ち止まった。
玉が私を振り返って、何を思ったのかまた尻尾を光らせた。
『「あそこにいるやつを見ろよ…」
「いいぞ、スニベルスだ」』
くしゃくしゃ髪の生徒とハンサムな生徒の背中と、その奥に筋張って生気のない黒髪をだらりと垂らした男子生徒がいる。
「スニベルス…?」
この言葉知ってる。なんだっけ?
私は本棚の真ん中に立ち尽くす。
玉がまた光る。
『「やめなさい!」』
赤毛がふわふわ揺れる女子生徒の後ろ姿。
それから本のページ。
誰かの目から見た記憶…?
『「おっと!」』
くしゃくしゃ頭の生徒の頬から血がしたたりおちる。
怒ったその子は髪の長い生徒に杖を向けた。
鋭い閃光が走り、逆さ吊りにされた…
「名無し先生?!」
「…!!!はいっ!!!!」
ピンス先生が背後から私に声をかけた。
「もう遅いので今日は終わりにしましょう。明日もお願いできるかしら?」
「もちろんです!お疲れ様でした。」
玉はもう私の胸の中に消えていた。
「 ルーピン教授の記憶!!!!」
私はシャワーを浴びながら絶叫した。
シャワー中で良かった。
私の絶叫はシャワーの音にかき消されて、泡と一緒に消えていった。
構わず私は絶叫し続ける。
「シリウス!スニベルス!
あの黒髪の子!!!スネイプ教授!!!」
熱いお湯を浴びながら、図書館で見た映像を思い出し『スニベルス』って何だっけと考えていたら、突然全部が繋がった。
あの森でルーピン教授に巻きついた時、どろりとした黒い物が玉の白い体に流れ込んだ。
もしかして…玉は相手の記憶を抜き取れるの?
あの黒い物は負の感情が詰まっていた気がする。
私の見た記憶はルーピン教授が後ろめたく思っている記憶なのかもしれない…。
「シリウス!なんて意地悪なの!!」
ハッと顔を上げると私はまた絶叫した。
スネイプ教授はただ木陰でテスト用紙を読んでいただけのように見えた。
それなのに逆さ吊りにするなんて…。
スネイプ教授を庇ってたあの子は誰…?
濡れた髪を拭きながらベッドに座って冷静になると、ルーピン教授の記憶を見てしまった後悔が襲ってきた。
どんな理由であれ、人のプライベートを勝手に覗くなんて…。
それも私にいつも優しくしてくれるルーピン教授の記憶だ。
気になりすぎるけれど、もう二度と記憶を見るのはやめよう。
…もう少し映像を拡大できたら若かりし頃のスネイプ教授がはっきり見えたのにな…遠目でみた教授、色が白くて細くてきれいだったな…
「私!最低!」
ボフっと枕に顔を埋めて足をバタバタさせた。
「名無し、どうかしたかい?
今日のチョコレートはお気に召さないかな?」
ルーピン教授が私を心配そうに見つめた。
あれから誓ってルーピン教授の記憶は見ていないものの、気になって仕方がない。
スネイプ教授を庇う可愛らしい女の子。
教授の彼女なの…?
「いえ、美味しいです!」
「シリウスが昨日僕に送って来たんだ。」
ルーピン教授の記憶のシリウスはハンサムで、女の子達がみんな振り返っていた。
スネイプ教授は…女子生徒が避けて歩いていたような気もする…。
「名無しとの週末デート、とっても楽しみだって言ってたよ。」
「…はぁ。」
私は気の無い返事をした。
「ん?気乗りしない?」
「そんなことないです。楽しみです!」
記憶を先に見ていたら、映画はスネイプ教授を誘ったのになぁと小さくため息をついた。
「シリウスは話好きだから、僕らの学生時代の武勇伝なんかが色々聞けるはずだよ。」
えっ?と私は顔を上げた。
確かに!その手があった!
あの赤毛の美少女のこと、シリウスから聞き出そう!!
そう思ったら俄然、シリウスに会いたくなった。
「私、このオレンジのチョコレートが好きです!」
チョコレートも美味しく感じる。
「…それは良かった。」
ルーピン教授は私の顔を見て、クスクス笑っていた。