教授
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医務室には私とルーピン教授だけ。
他の教授は校長室に行ってしまった。
ルーピン教授に噛まれたと話したら大事になってしまった。
でも噛まれたのは私であって私じゃない。
擦り傷以外の外傷は無く、体調もすこぶるいい。
ルーピン教授はスネイプ教授の脱狼薬を飲んでまだ眠っている。
薬を飲んでいても時々不安定になる事があるらしい。
いつもそういう時は一人で過ごすルーピン教授を追いかけてしまった私が全ての原因だ。
目を覚ましたら何て謝ればいいの?
私はため息をつく。
肩を叩かれ振り返ると、マグゴナガル教授がそこにいた。
ダンブルドア校長先生がお呼びだと言う。
私はクビだろうか?
日本に返されてしまうのだろうか?!
「ご迷惑とご心配をおかけして本当にすいませんでした。」
私は頭を下げたまま、ふかふかの絨毯を見つめた。
「名無し、顔を上げなさい。」
ダンブルドア校長先生の声は優しい。
「体調はどうじゃ?」
「いつもと変わりありません。」
「ルーピンに噛まれたと聞いたが…人狼に噛まれるとどうなるか…知っておるな?」
「…知っています。噛まれたと言いましたが、噛まれたのは私では無く私の狐です。」
ダンブルドア校長先生は半月眼鏡の奥から私を見つめる。
「狐を出してみなさい。」
私は心の中で玉に声をかけた。
胸元がジワリと熱くなって、ふわりと玉が飛び出した。
「あっ!!!」
私は玉を見て驚いた。
「尻尾が二股になってる!!!」
校長先生のことも忘れ、私は大声を出してしまった。
玉は校長先生の肩に乗ると、恐れ多くも頬を擦り寄せ甘え出した。
ダンブルドア校長先生が楽しそうに笑う。
「思った通りじゃ。また一つ成長したの。この調子でもっともっと経験を積みなさい。」
「私、まだここにいてもよろしいんですか?」
「学びに来た魔法使いを中途半端に放り出したりせんよ。
セブルスとリーマスを守ったことも賞賛に値する。
これからも頑張りなさい。」
玉が二股の尻尾を左右にブンブン振って校長先生の顔をペロリと舐めた。
医務室まで猛ダッシュして、扉の前で深呼吸する。
そっと開けるとポンフリー先生の背中が見える。
「…失礼しまぁす…」
私の小声に気がついて振り返ったポンフリー先生の背後にルーピン教授が体を起こしていた。
「ルーピン教授!!ごめんなさい!!」
急に涙が溢れて視界が歪む。
大丈夫よとポンフリー先生が優しく私の肩を叩いて奥に歩いて行った。
「名無し、すまない!どう責任を取れば良いか!」
ルーピン教授が突然大声を出したので私の涙が止まった。
「君の人生を壊してしまった!僕はどうしたら…」
「教授、落ち着いてください。私は何ともありません。」
えっ?とルーピン教授が私を見る。
「教授が噛み付いたのは私の狐です。
ルーピン教授の目にはどう見えていたかわかりませんが、私は無傷だし、狐も健康です。」
心底ホッとした顔でルーピン教授が私を見つめた。
目にはうっすら涙が浮かんでいる。
「泣かないでください。知らなくて近寄ってしまった私の方が悪いんです。本当にごめんなさい。」
私はルーピン教授の手を握った。
それから、実家の事、祖母や母の事、狼人間について私が感じている事を教授に話した。
「ルーピン教授のこと…兄のように大切です。
そうだ、これ聞いたら安心しますよ?!
ルーピン教授のお陰で玉が一つ成長しました!尻尾が二股に分かれたんです!!拍手!!!」
拍手しながらドヤ顔でルーピン教授を見ると、やっといつもの優しい笑顔で笑い返してくれた。
「防衛術の授業、実は限界です…スネイプ教授がグリフィンドールいじめに授業を利用するので早く帰ってきてください!」
そう小声で囁いたら、医務室の入り口に真っ黒な人物がヌッと現れた。
「今の話は秘密で!」
私は立ち上がって、スネイプ教授の元に近づく。
「ルーピンの様子は?」
「ご自分で確認されては?」
ジロっと私を睨む教授の横をすり抜け私は軽い足取りで医務室を後にした。