教授
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大広間に入ると、マクゴナガル教授とダンブルドア教授、それにスネイプ教授が三人集まって何やら神妙な話をしているようだ。
私は邪魔しないように大回りして自分の席に着いた。
横を見るとルーピン教授も来ていない。
持ってきた本を広げ読みながら、紅茶やサラダを食べていると、視界が急に暗くなった。
顔を上げると机を挟んだ目の前にスネイプ教授が立っていて私を見下ろしている。
「…おはようございます??」
「さっさと食事を終わらせて、我輩に着いてこい。」
本をバタンと閉じて、もう食べましたというように席を立った。
教授はもう歩き出していた。
「ルーピン教授はどうされましたか?」
「体調不良だ。」
土曜日あんなに元気だったのに…。
無理していたんだろうかと心配になる。
ルーピン教授がお休みの間、スネイプ教授が闇の魔術に関する防衛術の授業を担当するというので、私は映写機を出して指定された場所に運んで来た。
スネイプ教授がルーピン教授の机の教科書をトントンと指で叩いた。
「名無し、教科書三九四ページを読んでおきたまえ。生徒が来る前に。」
教科書をひらくと、『人狼』と書いてある。
『…狼人間。M .O .M分類 XXXXX
噛まれた人だけが狼人間になる。…』
ルーピン教授の授業はこんなところまで進んでいただろうか?
狼人間…。
日本では、人狼伝説そのものは極めて希少だけれど、祖母や母が憑き物を呪術に使う時、呪われた相手が変調をきたすと狼が憑いたというマグルもいる。
特に祖母の狐は強力で、憑かれたマグルや魔法使いが目を覆いたくなるような行動をした様を何度か見たことがある。
そのせいでうちの家系はマグルからはもちろん、一部の魔法使いからも差別と恐怖の対象に見られている。
噛まれてしまった狼人間の事を考えるとなんとも言えない気持ちになって気分が沈んだ。
「授業は十分前に始まったぞ、ポッター。」
私はスネイプ教授とMrポッターのやりとりを見て冷や汗をかいた。
何故いつもMrポッターへの当たりが強いんだろう。
顔を引きつらせて座るMrポッターが私をチラリと見たので、元気出してという意味を込めてニッコリしておいた。
MsグレンジャーとMrウィーズリーにもきつく当たり、グリフィンドールの点数が大幅に減点された所で、レポート(それも大量!羊皮紙二巻!)がさらに追加された。
人狼の授業内容と、スネイプ教授のグリフィンドールいびりに精神をすり減らされ終わりのチャイムと共にため息をついた。
「ウィーズリー、処罰を与える…」
かわいそうにMrウィーズリーはスネイプ教授に捕まって机の前に立たされている。
私は映写機を移動させながら、ハラハラした気持ちで二人をチラチラ見た。
処罰の内容は聞き取れなかったけれど、私の横をすり抜けたMrウィーズリーの表情を見ると最悪な処罰なのは明らかだ。
「…スネイプ教授…他に片付けるものはありますか?」
朝より三倍は機嫌が悪い教授に話かけるのは気が重い。
スネイプ教授は音一つ立てずに黒板を消している。
生徒がいなくなった教室に静寂が走る。
「…気をつけることだな。」
意地悪そうな目で私を振り返り、教授がポツリと私に呟いた。
「何を…ですか?」
急に私は怖くなって教授に近寄る。
二人きりの静かな教室で脈略もなく気をつけろと言われて私はゾッとした。
「さぁ…」
自分から気をつけろと言った癖に、口の端を片方だけ釣り上げた冷たい笑みで私を笑う。
「怖いです…教授…」
ますます怖くなって教授のローブを掴んだ。
クククっと肩を震わせて教授が笑い出してので、私は冷や水を浴びせられたように全身が震えた。
教授がこんな楽しそうに笑う姿を初めて見て、嬉しいはずがこんなに怖いなんて!
教授はローブをひったくるように私の手から外すと、ツカツカと教室を出て行ってしまった。