教授
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「外出ですか?!」
名無しがキョトンとした顔でルーピンを見た。
「そうなんだ。明日、突然なんだが、友人が近くに来ることになってね。
男二人で食事もなんだから、名無しが来てくれると楽しいと思うんだけど。」
そう偶然を装ったが、実は少し前から親友のシリウス・ブラックと名無しを合わせてみようと計画を練っていたのだ。
あれから名無しをこっそり観察していたルーピンであるが、セブルスとの距離は一向に近づきそうもない。
セブルスは鈍感なのか名無しをとにかく雑に扱っている。
リーマスは可愛い妹が邪険にされているようで、いい加減イライラしてきた。
男はセブルスだけではない。
まして、あんな根暗の偏屈に名無しは全然釣り合っていない。
名無しにはもっといい男…シリウスもどうかとは思うが、楽しく明るい男性がお似合いだと思う。
一度合わせてみて、仲良くなればそれでいい。
ダメなら後にピーターも控えている。
そんな事を考えながら、目の前の美しい助手を見下ろした。
「…久しぶりのお友達とのお食事に私がついて行ってお邪魔ではないでしょうか…?」
「それはないよ!
彼は美しい女性に目が無くてね!
きっと私より君を気にいるさ。」
名無しはうーん…と考えている。
「…ローストビーフとロブスターの美味い店に行こうと思ってるんだが…デザートのチョコレートパフェも絶品なんだ。」
名無しがパッと顔をあげる。
その素直な反応が可愛くて、リーマスは内心ニヤニヤした。
「わかりました!ダンブルドア校長先生に外出許可をいただいてきます!」
名無しはそういうと、ペコリと頭を下げて歩き出した。
「名無し!」
「なんですか?」
「悪いけれど、少しだけお洒落して来てくれると有難いんだが。」
「お洒落……。」
名無しの顔が少し引きつる。
「君を彼に自慢したいからね。」
そういうと、名無しは困ったようにヘラっと笑って行ってしまった。
明日が楽しみだ。
私は鏡の前に立ち尽くした。
イギリスの男性が気にいるお洒落を知らない。
困った…。
着物は数枚持ってきているが、やりすぎのような気がする。
ましてや私は今日、ロブスターを食べたいのだ!着物では食べずらい!
悩んだ挙句に、幼馴染の八雲がコレ好きや!と言っていた組み合わせをチョイスしてみた。
太リブトップスとラッププリーツスカート。
ブラウンとワインレッドの秋らしい配色でまとめてみる。
普段はつけない細いゴールドのブレスレットと、揺れるピアスをつけた。
これまたたまにしか履かないパンプスを用意する。
ここに来てからガッツリメイクもしていなかったので、アイカラーをつけると新鮮な気がした。
やっぱりお洒落もメイクもやり始めると楽しい。
髪もショートなりに、今日はストレートにして真ん中分けしてみたら意外にも大人っぽい女性に仕上がった。
先生なのか生徒なのかわかんない!と生徒達にからかわれる私も、これなら少し大人に見える。
ぴったりした上半身とふわりとした下半身のバランスも良い。
八雲が好きや!と言ってた意味がわかる気がする。
スネイプ教授も好きだろうか?
時計を見ると待ち合わせ時間10分前で、私はハンドバッグを掴んで慌てて部屋を飛び出した。
早足で階段を下って行く。
階段の途中で、下にいるルーピン教授の頭が見える。
「ルーピン教授、大変お待たせしました!」
そう言いながら階段を降りたところで、こちらを凝視する二人と目が合った。
階段を降りて来た女性を見て、スネイプは固まった。
白シャツにブラックパンツとスニーカー。
短い髪は無造作にぐしゃぐしゃとしていて、お洒落といえばピアスくらいだろうか。
化粧気がなく、美しいが青年のようにも見える名無し。
その名無しが見違えるほど美しい姿で自分の目の前に現れた。
ダボっとしている白シャツの時は知らなかった体のラインが今日は強調されている。
長い睫毛が今日はメイクのせいか強調され、ほんのりオレンジ色の頬が女性らしい。
土や薬草の香りも今日はせず、甘いシナモンのような…アップルパイのような香りがする。
「名無し!!とてもキレイだよ!!」
横で同じく固まっていたリーマスが名無しに声をかける。
名無しは固まるスネイプをチラリと見て、顔を赤くして俯いた。
「セブルス。薬は今夜帰って来たら君の研究室まで取りに伺うよ。
今から名無しと外出予定があるのでね。」
スネイプは驚いて、二人を見る。
名無しは自分に、一言もリーマスと外出するなどと言わなかった!
「では、失礼するよ。行こう、名無し。」
リーマスが嫌な笑みを浮かべて、スネイプを見る。
「スネイプ教授…失礼します。」
名無しは小さく頭を下げると、リーマスの横を歩いて行く。
スネイプはかける言葉も見つからずに呆然と二人の背中を見つめた。
音もなく扉が閉まり、後には名無しの甘い香りだけが残る。
この動揺はなんだ。
成人した男と女が休日に出かける。
おかしいところは一つも無い。
子供のように見える名無しも、れっきとした独身女性なのだ。
自分に懐き、いつも周りをうろちょろするので勝手に所有物のように思ってしまっていた。
しかし、何故リーマスなのだ?!
納得できない。
あの派手な格好は何だ?!
謎の怒りがこみ上げて来る。
スネイプはいつもより足をふみ鳴らし、イライラしながら地下室に向かって歩いた。
名無しはリーマスと何を話すのだろうか。
どんな顔で笑うのだろうか。
どんな仕草をするんだろうか。
何故自分はそんなことが気になってしょうがないんだろうか。