教授
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青空の下、薬草の入った大きなカゴを持った名無しが立ち止まっている。
ルーピンは向かいの廊下からそれを見つけ、声をかけようと自分も立ち止まった。
名無しはルーピンには気付かず、ルーピンのいる廊下の反対の校舎を見つめている。
ルーピンも名無しに近づきながらそちらを向くと、開け放たれた大きな窓から育ち過ぎの大蝙蝠の姿が見えた。
また説教でもしているのか、眉間に皺を寄せながら何やら目の前の生徒に絡んでいる。
やれやれ…誰だか知らないが本当にお気の毒だな…
ルーピンは肩をすくめた。
「名無し…」
ルーピンは名無しの横顔を見て立ち止まった。
名無しがとても愛おしそうにセブルスを見つめていたからだ。
元気で明るい彼女の笑顔は見慣れているが、こんな女性らしい優しい微笑みを初めて見たルーピンはドキリとして見てはいけないものを見たようにその場に固まった。
少し困ったような愛らしい微笑みを浮かべ、熱っぽい視線をセブルスに向けている。
彼女にこんな表情をさせている人物があのセブルスだということにもびっくりして、そっと体の向きを変えると元来た道を引き返した。
廊下を歩きながら学生の頃の記憶を手繰り寄せる。
セブルスがリリー・エバンズを見つめる視線は今でも記憶に強く残っている。
自分は人の恋愛に関して敏感に察してしまうところがある。
彼がまだ独身であるのは、あの性格のせいだけではなさそうだ。
セブルスは未だに幼馴染のリリー・エバンス、今は自分の親友の妻のことを忘れられずにいるのではないだろうか。
名無しはそんなこと、知るはずもない。
ルーピンはなんとも複雑な気分になって、妹のように思い始めた名無しが心配で堪らなくなった。
玉とファングに飛びかかられて、私は藁の上に倒れこんだ。
玉はグルグルと私の体に巻きつき、ファングがベロベロと私の顔をヨダレまみれにする。
お化けカボチャに水遣りをするハグリット教授が声を上げて笑う。
「ファングと玉は本当に仲がええ。」
大きなティーカップに入ったハーブティーを飲みながら私も相槌をうつ。
「犬と狐は仲良しなんですねぇ。玉に友達ができて嬉しいです。」
ソファでくつろぐファングの上に玉がダラリと体を預け、ファングの尻尾をハムハムと甘噛みしている。
玉は実態こそあるものの、重さがないのでファングはいつも好きにさせてくれる。
「お前さんも犬みたいだぞ。
いっつも楽しそうに駆け回っちょる。
そんなにキレイな顔しとるのに、ホレ。」
そう言って、大きな手で私の頭についた藁クズを取ってくれた。
「私もたまにはお洒落してみようかなぁ…」
ハグリット教授が出してくれたロッククッキーにかぶりついたら、全く歯が立たない。
「それがええ。
ハロウィンにお姫様の格好でもして校舎中歩き回ったら、みんな驚くぞ。」
ロッククッキーを口に入れたまま、自分がドレスを着た姿を想像してみたけれど、場違いすぎて想像できない。
ハグリット教授の育てたカボチャをくり抜いて頭からスッポリ被ってヨタヨタ歩く自分がしっくり来すぎて苦笑いした。
玉を肩に乗せながら校舎に戻る。
風が涼しくて気持ちいい。
玉も大きな尻尾をゆらゆらさせて嬉しそうにしている。
…もう少し女らしくしたら、スネイプ教授は私を意識してくれるだろうか。
もっと教授に近づけたら、玉の力も強くなるのかもしれない。
グルンと急に玉が私の首元にまきつき、尻尾を背中にピタっと貼り付けた。
いつもピンと立っている耳がぺたんと下向きになっている。
前を見ると、階段の所にルーピン教授がいて手を振り笑っていた。
「玉…ルーピン教授がまだ怖いの?」
何故か玉は菩薩のようなルーピン教授が苦手らしく、いつも少し怯えるのだ。
「失礼だから戻ってなさい。」
玉は素直に私の胸下に消えていった。