「えっ、私が戦闘訓練を？」
シャンクスさんに呼び出された私は一体何を言われるのかと思っていたら、「もうユリもここに来て少し経過してまだ日が浅いとは言え、そろそろ戦闘を覚えて貰わないといけないと思ってな。」と真剣な顔で言われてしまい驚きを隠せない私。
「でも私はともかくベックは何かそれに対して言ってなかったですか？」
「まだ実は話をしてなくて先にユリに話してからにしようと思って今こうして話したんだが、この調子だといろいろと教えがいがありそうで俺としては結構ありがたいな(⌒∇⌒)」
シャンクスさんはガハハと笑ってベックと私の共同部屋に行ってしまった。多分私に戦闘訓練を受けさせる事についての話をするんだろうけど、ベックはきっとそう簡単には許さなくてシャンクスさんもきっと困っちゃうんだろうなぁ・・・。

　1時間くらい経過した頃だろうか。ベックが神妙な面持ちで私の所にやって来た。
「ユリ、お頭から話は聞いていると思うが戦闘訓練をする事になった。」
「最初シャンクスさんから聞いた時は私も驚いたよ(￣▽￣;)でも私だってもう村娘じゃなく海賊なので、そう考えたら戦闘訓練も悪くないかなって思ったの。」
「俺は最初お頭から聞かされた時は断固反対だった。俺の大事な女にもしも万が一ケガでもされたら俺も正気ではいられないだろうし、もしもそのケガが一生消えない傷跡になってしまったらユリも後悔するだろうとな。」
「ベック・・・。そこまで私の事心配してくれたんだね。」
「基本的に俺とお頭、そしてヤソップも教える事になると思う。・・・もしも体調が悪いとか気分が優れないと思ったら、無理せずに俺達に相談して欲しい。俺が直ぐに看病してやるし支えてやるから。」
「分かった！(⌒∇⌒)」

　こうして私達が上陸した島はパイレーツアイランドという海賊御用達の島で、武器でも何でもが手に入る素敵な島らしい。海賊御用達の島というだけあって色んな海賊達がウヨウヨ居て、私は思わず息を呑んだけどそれを察したかの様にベックが手を握ってくれた。
「安心しろ。俺が何かあったら守るから。」
「ありがとうベック(⌒∇⌒)」
シャンクスさんの指示で私とシャンクスさんとベックは訓練場に向かう事になり、それ以外の船員は武器の調達なり何なりの自由時間となった。
今から起こるのは私の為の戦闘訓練だけど、もしも万が一私だけではなくシャンクスさんやベックにケガなんて生じたら？そんな事ばかりが頭の中を駆け巡っていた。
「・・・ユリ。ユリ！」
「あっ、すみません！考え事してて・・・。」
「大方ベックについて考えてたんだろ～？彼氏の事を考えるのは結構だが、大概にしろよ～？」
「お頭、余計な事を言うな。俺達はユリの戦闘訓練の為に訓練場に向かっているんだ。」
「すまんなベック(⌒∇⌒)それに今回は特別ゲストが来てくれているから、きっとスキルアップには丁度良いんじゃないかと思っている。」
「特別ゲスト？」
「俺にとってはお世話になった人だな。」
「・・・まさかと思うが。」
「多分ベックの考察はあってる(⌒∇⌒)」

　訓練場に着くと入り口で仁王立ちした人影が。私は唯々ベックの傍に立つ事しか出来なかったけど、シャンクスさんはニヤッと笑っているしベックはやっぱりなという顔をしている。そして人影に光が当たり姿が露になるとその人は白髪に長身の老人の男性だった。
「久し振りだなぁ、レイリーさん(⌒∇⌒)」
「赤髪海賊団の大頭がこんな所に呼び出すから何事かと思ったが、その女性の訓練を頼みたい・・・といった所で合ってるかな？」
「レイリーさんには説明も不要か(⌒∇⌒)俺の仲間でもあり新入りでもありベックの彼女さんを鍛えて欲しいんだ。」
「冥王レイリーがここに居るってのも驚きだな。」
冥王レイリー？しかもシャンクスさんとは久々の再会ってどういう事？ベックが言う冥王って？
「で、お嬢さん。お名前は何て言うんだ？」
「ユリです！・・・ベックの彼女です///」
「副船長の彼女さんが私に指導を受けに来るとは恐れ入ったよ。私の名はシルバーズ・レイリー。気軽にレイリーと呼んでくれて構わない。」
「レイリーさんがけいこをつけている間、俺達はすぐ傍で見守ってるから安心してな(⌒∇⌒)」
「はい！」

　こうして私の戦闘訓練の日々が幕を開けた。一体どんな訓練が待ち受けているのか、そしてこの訓練の日々が私にどの様な強さを齎してくれるのか少し胸を躍らせながら私はレイリーさんと訓練を始めるのだった。