テニスって面白い?(完結)
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この小説の夢小説設定・男性夢主
デフォルト名「望月光瑠(もちづきみつる)」
切原赤也と同い年
テニス初心者
ふざけるが根は真面目
しっかり者
ポジティブ
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全国優勝すると部員も一気に増える。それは良いことだが、中には真面目に練習しない部員も増える。俺たちは全国3連覇を目指しているから、わざわざ気にかけてやるほど暇ではない。今年は40人ほど入部して、内13人が初心者だそうだ。立海テニス部の練習はかなり厳しいので半分くらいは夏休み前に辞める。先輩にも同級生にも一定数いる幽霊部員も含めても最終的に残るのは経験者の中から15人ほどだろう。
後輩の面倒なんて見ている暇はないのに、真田は初心に戻る良い機会だって言うし、柳はデータを増やしたいって言う。皆、動きが悪すぎるよ。……なんて、部活という組織には必要だと分かっている。それでも、ずっと見てあげる必要があるだろうか?
「真田、初心者にはまだ綺麗なフォームは難しいよ」
「幸村。しかし変な癖がついてしまっては上手くはならない。正しい動きを回数重ねて覚えなければ意味がない」
「そうだけど、毎回言ってたら真田が練習にならないよ。それに、まずは見よう見まねで良いんじゃないだろうか?俺たちのペースに合わせるだけでも大変だと思うし、余裕が出きてからで良いんじゃないか?」
「むぅ。一理あるな」
真田の仲間思いで熱いところはとても良いと思うが、おそらく初心者の子には真田のアドバイスがキツく聞こえていると思う。酷だとは思うが、もし本当に立海でテニスを続けるなら耐えてもらわなきゃ困る。
ーーー
1年生の人数も減って、4月末にはかなり厳選されていた。驚いたのは初心者が1人残っているということだ。その望月も朝練の差が縮まっていることには気づいていた。それでも放課後の部活では部長の考えた初心者用メニューを時間以内に終わらせられないのか、ボールを打っているところを見たことがなかった。見えないところでサボっているんだと思い込んでいた。
足を怪我している同期が、初心者の1年生は文句ばかりで、いつ辞めてもおかしくないとは言っていた。それに対して仁王が何か言いたそうにしていたが、やる気がないなら辞めたほうがお互いのためという私情もあって気にしなかった。1年生が入部してもうすぐ1ヶ月経つ。
「のぉ。部長が作った初心者のメニューってのはテニスコート何周させるつもりなんじゃ?」
「詳しいメニューは知らないけれど、基礎練習に加えてラケットに慣れる練習だとは聞いたよ?部長のことだから無茶な距離では無いと思うけど……」
「そうか」
仁王は歯切れの悪い返事をしてコートを離れる。そういえば、1時間前からずっと走っている気がする。少しずつ違和感が大きくなっていく。
「柳、ちょっと気になることがあるんだけど……」
ーーー
もうすぐ部活が終わってしまう。真田と柳に望月の練習メニューに違和感がある事と、あくまで予感なので先輩には言わずに隠密に探りたい事を伝えた。
「柳は仁王が何か知っているかもしれないから情報を聞き出して欲しい。真田には部長に本当のメニューを確認。俺は望月と話をしてくる」
「あぁ」「分かった」
ーーー
望月の所に行くと、練習終了を伝えにきた3年生の先輩にもう少し走りたいと説得している所だった。話をするのに丁度いいと思って、望月と先輩の間に入った。
「先輩、俺と真田と柳で久しぶりに30分だけ打って行きます。彼のことは俺たちで見ていますから」
「……分かった。お前ら無理はするなよ30分だけだからな。部長と先生には話しておくよ」
「ありがとうございます」
「あ……ありがとうございます!幸村先輩もありがとうございます」
「さて、30分で終わるかい?それ以上は風紀委員の真田を説得しないといけなくなるけど」
「あと43周です」
残りが43周。ずっと見ていた訳ではないが、少なくとも既に100周以上は走っているはずだ。望月の力強い目と残ってまで達成させようとする真面目さから、初心者に最初の走り込みとは別に200周以上走らせる無茶な練習をさせているのかと疑惑がより深まった。とりあえず穏便に真田と柳と合流しようと考えていた。
「今のスピードだと難しいだろう。また明日頑張ればいいんじゃないかな?焦らなくてもテニスは逃げないよ」
「でも……どうしても今日やり遂げたいです。俺、走ってきます」
「え?ちょっと、望月!待って、練習量を部長と相談したいんだ」
いくら呼び掛けても走ることに集中していた。止めないといけないが、ゾーンに入った望月の本気を見守りたいとも思っていた。そこに丸井が慌てて俺に声をかけてきた。
「幸村君!やべーよ。仁王のやつが部室で暴れているんだ。柳君に幸村君を呼んでほしいって言われて来た」
「仁王が!?分かった。行こう」
望月に後ろ髪を引かれながらも、部室へ向かう。
ーーー
「ごめんなさいっ……ごめんなさい……」
「実力無いのは……お前の方じゃろ……くそ離せジャッカル!!」
「ぐっ……落ち着け仁王!暴力はダメだろ」
「……これは一体?」
「精市。お前の言った通りだった。初心者の練習メニューは、部長の考えていた筋トレ及び外周を各10倍……つまり30回の所を、300回で指示していたそうだ」
今回の事件は、怪我をして部活が出来ない状態から同期と差がついてくることに苛立ち、入部してきた初心者組に辛く当たったとの事だった。たまたまサボってた仁王が初心者組が重苦しい空気で先輩の悪口を言っている所を見つけて問題が発見した。仁王がこっそり裏を取っており、部長と本人の前で暴いたところだったらしい。休みの日にも20km走らせたこと、ボールには決して触らせなかったこと、全て自白させたところ仁王が手を出して取っ組み合いになったそうだ。
「ええぃ!喧嘩は辞めんか!!部活停止になるぞ」
真田の一声で部室が静まる。
「とりあえず今日は望月に、他の1年には明日教室に行って謝罪するしかないな。幸村、望月は?」
「あっ……止めても聞かなくて、そしたら丸井が来たから」
「マジっすか!?あいつまだ走ってんじゃ……」
「赤也、このアイシングを持って先に行ってくれ。俺たちもすぐ行く」
「柳先輩あざっす」
「さて、俺は顧問のところに行ってくる。部長から報告したほうがいいだろう。丸井とジャッカルはそこの問題児らを保健室に連れて行け。仁王も暴れるなよ?幸村、真田、柳で望月と切原のことを頼む。可能なら軽く部室の片付けも。下校時間は過ぎているから早く帰るように」
『『はい』』
ーーー
3人で望月のところまで走っていくと、赤也の笑い声が聞こえてほっと胸を撫で下ろす。
「先輩ら、光瑠は大丈夫っす」
「幸村先輩!走り切りましたよ」
「すまない望月俺、止めないといけなかったのに……でも、ふふ。走り切ったのかい」
「軽い痙攣も見られる。部長も訳を知ってるから、明日部活は休んだほうがいいだろう。お疲れ様」
「望月、強くなるものはお前の様に誤魔化さず、己に牙を向けることが出来る者だ。よく頑張ったな」
「先輩……ありがとうございます」
「光瑠てめぇ!俺の服に鼻水つけるなよ!」
中学生の間にレギュラーになれるかは分らないが、ぜひ続けてほしいと心から思う。立海3連覇だけでなく、卒業してからも立海のテニス部が活躍して欲しい。
(続く)