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囚われた親友に

「ねぇねぇ!あの人カッコよくない?」
「確かに!チョーイケメンじゃん!」
「あんたら知らないの?柏木 陵かしわぎ りょうさん。社内一のイケメンよ」
「へぇー。あんなカッコイイ彼氏がいたら幸せだろうな~」
「じゃあ狙ってみたら?」
「ムリムリ。ハードル高すぎでしょ!男版高嶺の花って感じだし」
「あはは!言えてるー」
「………」

 こっちにはその会話が駄々漏れなんだが……
 柏木 陵。35歳の独身。一流企業と呼ばれる会社に勤めるサラリーマンだ。俺は若い頃から一流を目指して勉強してここまで辿り着いた。今も会社では上司から高い評価を頂いている。同僚や周りの行員からも慕われて、充実したベストワーク生活だと思う。
 だが、全てが上手くいっていたわけじゃない。今は仕事を評価して下さる立場にある。けれど学生の頃は、ただ勉強ばかりしていたからか、周りの視線は痛いものだった。
 子供は残酷だ……。いつまでが子供かなんて抽象的だけれど、自分を客観的に見ることの出来ない輩はまだ子供だと俺は思う。そんなことを考えると、俺は歪んだ大人に育ったんだなと思い知らされる。
 つまらない学生生活にも楽しみがあった。ただ一つ。………いや………ただ一人。俺の中で唯一無二の友達、親友がいた。
 彼の名は―――――。
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