夢一会

 こいつん家は隣だから嫌でも一緒に帰ることになる。別に一緒に帰らなくてもいいけど、どーせ近いし、嫌なわけでもないし流れで帰ってる。
 そーいやこいつに話してなかったなー

「俺さ、この前変な夢見たんだ」
「どんな?」
「なんかさ、顔とか声もわかんないけどさ、知らない人とデートしてる夢」
「ふーん……変な夢だな」
「だろ?それ1回しか見てないけどさ、やたら楽しくて、俺チョー幸せな気分だったんだよ!」
「……手軽いヤツ」
「は、はぁ?」

 なんだ?なんか言葉にトゲがあるような……

「で?」
「で?って?」
「どこまで行ったんだよ」
「どこにも行ってねーよ。夢だし、場所がどことかわからなかったからな」

 蒼はそこで何故か溜め息を吐いた。

「ちげーって。どこまで進んだのかって聞いてんの」
「だからどこにも行ってねーって……」
「ウブかお前。つか童貞か。ヤッたのかどうかだよ」
「は、はぁ!?おまっ、夢の話だし!」

 話がぶっ飛び過ぎてついて行けない。地味に罵られて腹立つ。

「俺は付き合うなら清純な感じで付き合いたいんだよ!」
「それこそ夢だな」
「なんなんだよさっきから!夢の中の人は美人だし、優しいし最高だったんだからな!」
「顔わかんねーのに美人とかよく言えるな」
「っ……か、顔じゃなくて性格がってことだよ!」

 揚げ足取ってんじゃねーよ!あームカつく!何でコイツこんなイライラしてんだよ?
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