第1話
夢小説設定
この小説の夢小説設定神の子と突然義理の兄妹になってしまった話です。
高校生設定、最強、微嫌われ
以前フォレストページにて掲載していたものを修正、追加したものです。
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『ただいま』
玄関を開けると、家の中にはいい匂いが漂っていた。
「おかえり~。手洗いうがいしてねー」
『はーい』
リビングから聞こえた母の声に返事をしながら、自分の部屋へ。
制服を脱いで、洗面所でメイクを落とす。
それからカラコンとウィッグを外して──鏡に映った、自分の素顔。
銀髪のロングに、蒼い瞳。
これが、本当の私。
顔の違和感が消えていくたびに、どこか心まで軽くなる気がした。
夕飯は、母とふたりで向かい合って食べた。
この時間だけは、子どもの頃から変わらない、安心できる時間。
「明日もテニス部、見に行くの?」
『うん。まあ、いつも通り』
「じゃあ、見終わったらあのお店に来て。話したいことがあるの」
『えっ……うん。わかった』
あのお店というのは、たまに母と一緒に行くちょっと豪華なレストランのこと。
そんな場所で話すってことは──ただ事じゃない気がした。
「心配しないで。良い話だから」
母は私の不安を察したように、いつもの穏やかな笑顔でそう言った。
その言葉に、少しだけ胸がほっとする。
──なら、信じてみよう。
『そういえば今日ね、国語の時間に先生がめっちゃ噛みまくっててさ』
「また?」
『うん。“伝統”って言いたかったのに、“でんちょ……で、でん……えぇい!”って自分でキレてた』
「ふふっ、想像できるわ」
母は、私が学校でどんな日を過ごしたかを聞くのが好きだ。
どんなに疲れていても、私が話すと、必ず目を細めてニコニコしながら聞いてくれる。
『あと、ちょっとだけ委員長と話したよ』
「委員長?」
『うん。クラスの。あんまりしゃべったことなかったんだけど、今日はたまたま話す機会があって』
「どんな子なの?」
『うーん……正直、よく分かんない人だった』
「ふふ、どういうこと?」
『話し方は静かで丁寧なんだけど、どこか読めないっていうか……表情も感情が出てるようで出てない感じで』
「なるほど、不思議なタイプね」
『うん。嫌な感じは全然しないんだけど、距離感が掴みにくいというか……話しやすいけど、何考えてるのかまでは分かんない』
母はふーんと笑いながら、特に深掘りはせず、いつもの優しい調子で相槌を打ってくれる。
『まあ、嫌な人じゃないと思う。むしろ、ちょっと気になる感じ』
「そういう人が、案外あとで仲良くなったりするのよ」
母のその言葉に、私はそうかな?と曖昧に返事をしながら、頭の片隅でその子の表情をもう一度思い出していた。
学校では気を張ってる分、こうやって気を抜いて話せる相手がいることが、どれだけ救いになってるか
『ごちそうさまでした』
「今日も?」
『うん、お願い』
「任せなさい」
食後、私は部屋に戻って動きやすい格好に着替える。
そして、ラケットを手に玄関を開けた。
「ドリンク用意しとくから、先にアップしておきなさいね」
『はーい!』
夜の空気は、昼間よりもずっと静かで澄んでいて、私の心も穏やかになっていく。
そして家の裏手にある、プライベートのテニスコートに立つ
『さて、始めますか』
ボールを1つ、軽く地面に落として、ラケットで拾う。
リズムよく、呼吸を整えて、ゆっくりと動き始めた。
──この時間が、何よりも好きだ。
誰の目も気にせず、自分だけのフォームで、自分のペースで打ち返す。
嘘も仮面もいらない、自分だけの場所。
だけど、私はまだ知らなかった。
この“当たり前”が、明日から大きく変わっていくなんて──。
更新:2025.06.15