第1話
夢小説設定
この小説の夢小説設定神の子と突然義理の兄妹になってしまった話です。
高校生設定、最強、微嫌われ
以前フォレストページにて掲載していたものを修正、追加したものです。
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第1話
「キャァーーーー!!」
「キャーッ! 今の見た!? やばくない!?」
『見た見たーっ!』
「最高すぎたー!」
「「『かっこよすぎぃ!!』」」
──朝から校庭は、ものすごい熱気に包まれていた。
これが、立海大附属高校・男子テニス部の練習風景。
そして、それを取り囲む女子たちのテンションは、まるでアイドルのライブ会場みたいだ。
……いきなり騒がしくてごめんなさい
そう内心で思いながらも、私もその渦中にいた。
私の名前は、月影 しずく
高校2年生。立海大附属高校の女子生徒、というだけでいろんな型にハマらないといけない毎日を送っている。
──まず言っておきたい。私は別にアイドルみたいな彼らをキャーキャー言いながら見たいわけじゃない。これは演技。
周囲に合わせるための仮面みたいなもの。
この学校では、男子テニス部の人気が圧倒的で、女子の間ではファンクラブ加入が当たり前の文化として存在している。
1年から3年まで、ほぼ全員が推しを持っていて、校内はちょっとした異世界みたいなものだ。
当然、私もその流れに乗っている。というか、乗らなきゃいけなかった。
ファンクラブに入って、化粧をして、派手すぎるくらいの外見で周囲と同調する。
本当はこんなケバいメイクも、ウィッグも、カラコンも苦手。
でも、馴染まなきゃ孤立する──それが立海の女子校生活の現実。
少し前までは、ここまでじゃなかったらしい。
でも、2年前から明らかに空気が変わった。そう彼らが入学した年から。
彼らの影響力は絶大。
まるで、彼らが校則であるかのように、校内の常識が塗り替えられていった。
簡単に言えば、普通でいたかっただけなのに、それが許されない。
ミーハーのふりをして、ファンクラブに入り、メイクもばっちり。
そうしなければ──目立って、浮いて、居場所をなくす。
それが、今の立海のリアル。
「今日の練習はここまでー!」
「「「ありがとうございましたー!!」」」
練習が終わると同時に、周囲の女子たちから一斉にため息が漏れた。
それは残念さというより、満足感に近い熱気のため息。
「終わっちゃったねー」
「今日もかっこよかったー」
『うんうん! ほんと眼福だったぁ~!』
──その輪の中に、私の友達もいる。
一緒に練習を見ていたのは、いつものふたり。
1人目は肩甲骨までのウェーブのかかった茶髪の子。丸井ブン太のファンクラブに入ってる。
"スイーツ王子"なんて呼ばれてる彼にぴったりな、明るくて甘い雰囲気が大好きらしい。
2人目は前髪なし黒髪ワンレンボブの子。仁王雅治のファンクラブに入っている。掴みどころがなくて、いつもニヤニヤしてる彼に"ペテン師"って呼び名がついてるのも納得。
彼女たちと一緒にいると、テニス部の話題にも自然に乗れるし浮かないですむ。
彼女たちは少なくとも、押しつけがましくはない。ちゃんと私という存在を受け入れてくれるので一緒にいるのは苦ではない。
ちなみに私は──幸村精市のファンクラブに入っている。
理由は簡単。一番人気だったから。それだけ。
言わずと知れたテニス部の新部長。
いつも微笑みを浮かべていて、礼儀正しくて、穏やかな感じ。
でも、コートに立った瞬間、その存在感は一変する。
まるで相手を支配するような、静かな威圧感。
まさに"神の子"
──正直、ああいう人が身近にいたら緊張で話しかけられないと思う。
でも、だからこそ、一番人気なのも納得できる。
……だからって、特別に好きとか、そういうのじゃない。ファンクラブに入った理由は、ただの保険
一番人気の人を推しておけば、とりあえず浮かない。それだけ。
憧れとか恋とか、そんなキラキラした感情は、今の私にはない。
少なくとも、この仮面の下には。
部活が終わると、友達と一緒に校門を出た。
みんなでその日の推しのプレーを熱弁しながら歩く帰り道。
──この瞬間だけは、ちょっとだけ普通の高校生になれてる気がする。
『明日も朝練、見に行くよね?』
「もちろんだよ~!」
「しずく、遅刻しないでよねー!」
『わかってるってば! じゃあね〜!』
「「ばいばーい!」」
手を振って別れたあと、私は住宅街の方へ一人で歩き出す。
空は少しずつ夕焼けに染まり始めていて、騒がしかった昼間が嘘みたいに静かだった。
──ふぅ。やっとスイッチ、オフ。
周りに合わせてミーハーのフリをするのって、想像以上にエネルギーを使う。
彼女たちといるのは嫌じゃない。むしろ楽しいし、居心地も悪くない。
でも、それでもやっぱり、あの空気にはどこか窮屈さを感じてしまうのだ。