その目に映りたい(ブラウニー)
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ブラウニーの主である少女は、縁側でくつろいでいた。
そのことを思い出したブラウニーは厨房にて紅茶からもらった上質な茶葉で、お茶を用意する。
御侍様に喜んでもらいたい、その気持ちで丁寧に淹れる。
「良い匂い」
漂う香りに、満足げに頷いた。
トレイに湯気の立つカップを置き、ブラウニーは厨房を後にする。
今日も空はよく晴れている。心地よい陽の光は、御侍様の心を温めてくれるだろう。
あの方には、太陽がよく似合う。
ブラウニーは自然と笑みをこぼした。
縁側に出ると、庭に咲く花の香りが鼻孔をくすぐる。
今日もよく咲き誇ってくれている。
御侍様の為にと、日々食霊たちが世話をしているのだ。御侍様自身も、時折水をやっているのを見かける。
可憐な花と共にある御侍様は、それはもう……。
そこまで考えて、ブラウニーは頭を振った。これ以上は危険な気持ちになる。自重すべきだ。
「え、えと、御侍様は……」
誤魔化すように視線を向ければ、主は縁側に座り庭を見つめていた。
その横顔に、ブラウニーの時間が止まる。
御侍様は、それはもう優しく花を見ていたのだ。
いつかの折り、花を育ててくれる食霊が愛しいのだと言っていたのを思い出す。
御侍様は今、花を育てた食霊に思いを馳せているのだ。
ブラウニーの胸が、ちくりと痛む。
御侍様の心にある食霊が、妬ましく思った。
駄目だ。
こんな醜い感情を、仲間に向けては。
ブラウニーは、唇を噛む。
御侍様、声にならない呼び掛けは届くはずもなく、彼女はブラウニーに気づかない。
御侍様、あなたの心には誰がおられるのですか?
聞きたくとも、すくむ心が邪魔をする。
もし、誰かの名前が出てしまったら……。
ブラウニーは、目を伏せた。
そして、再び視線を御侍様に向けると一歩を踏み出す。
少しの間でも、主の目に留まりたいがゆえに。
ブラウニーは、ただ、御侍様を見つめ歩くのだ。
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