もう戻りたくない(ブラウニー)
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食霊として顕現する前は、何も知らなかった。
自身で歩く喜び。花の香りの甘さ。豊かな自然の雄大さ。
そして、唯一の存在を。
数多の食霊の主、御侍様。
ブラウニーの心を掴んだ、たった一人。
微笑まれれば、心が浮き立つ。
隣に並べば、幸せに身が震えた。
御侍様に出会えた奇跡に、全てに感謝した。
「御侍様」
呼べば、優しく振り向いてくれるのが心の底から嬉しい。
そばにいられるのが、幸せで泣きたくなる時もある。
今のブラウニーの全て。
全身全霊をかけて、守りたいお方。
あどけなく、心優しい少女を悲しませたくない。
「御侍様、わたくしはあなたの為にいるのです」
それは本心だが、まだ口にはできない。
勇気が、足りない。
想いばかりが募っていく。
食霊になる前にはなかった幸福。
もう、戻ることはない。
ブラウニーの感情は全て御侍様、ただ一人の為に。
「御侍様、お手をどうぞ」
ブラウニーは溢れる愛しさを押さえ、少女の手を取る。
この小さく暖かな手を知らなかった頃が信じられない。
だが、これからはずっとおそばにいる。
幸せが、あるのだ。
食霊になる前の自分に、さよならを。
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