秘めたるは(ブラウニー)
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自分は、食霊。
ブラウニーは、いつも自身に言い聞かせていた。
御侍様の為に存在し、仕えるのだと。
朝がくる度に、何度も繰り返す。
そして、朝日の光を浴び心を落ち着かせる。自分は、まだ大丈夫だと。
まだ、役割を果たせるのだと。
ブラウニーは、深呼吸をして部屋を出た。
食霊としてのブラウニーの役目は、主に堕神との戦いである。
店の経営には携わってはいない。
始めこそ、御侍様の成功に貢献出来ないことに不満を持っていた。もっとお役に立ちたいと、強く願っていたのだ。
主の為に存在したいという、純粋な気持ちで。
それはもう、過去となった。
今のブラウニーは、感謝している。
戦いの場では、無心でいることができたから。
ただ、目の前にいる敵に集中していればいい。
おかしなことに、安堵すらしていた。
ここにいれば、大丈夫なのだと。
食霊としてのブラウニーでいられる場所だから。
ブラウニーは、戦いに身を置くのだ。
安堵。絶対的な安心に身を任せたから、だからだろうか。
ブラウニーは油断をした。
あれほど、言い聞かせていたのに。
夜が明けるには、まだ早い時間。
ブラウニーは、薄暗い厨房で座り込み、浅い息を繰り返していた。
苦しげに、眉を寄せて。
油断した。うかつな自分を呪いたい。
ブラウニーは、小さく呻いた。
彼の視線は、一点に集中している。
反らすことは、出来ないのだ。
視線の先には、厨房にある椅子に腰かけた小柄な少女。
ブラウニーの主、御侍様だ。
椅子に腰かけたまま、目を閉ざした顔にはあどけなさが残っている。
おそらく遅くまで、料理の研究をしていたのだろう。疲れた様子で眠っていた。
「ああ……」
ブラウニーの口から吐息がこぼれる。息は熱い。
どうして、どうして。
気をつけていたのに。
何故、喉の渇きを我慢しなかったのか。
「御侍、様」
二人きりに、なりたくなかったのに。
ずっと、耐えてきたのに。
目の前に、あなたはいる。
こんなにも、近くに。
何度も言い聞かせた。自分は、食霊だと。
御侍様をお助けする存在なのだと。
そうして、納得させ、押さえつけてきたのだ。
でなければ。
気が狂いそうだった。
いつからかは、わからない。
ただ、常に御侍様を見つめているようになっていた。
目が、離せなくなった。
見つめ過ぎだとミルフィーユにからかわれて、やっと気がついた。
自分のなかにある気持ちに。
そうして、すぐに奥底にしまいこんだ。
気づかれてはいけない。
御侍様の邪魔には、なりたくないと。
それからブラウニーは耐えて、蓋をして、心を殺してきた。
全ては、自分の想いから御侍様を守る為に。
御侍様に想われたいと、浅ましい願いを持ってしまったがゆえに。
「御侍様……」
名を呼ぶ。
今は、他に誰もいない。
御侍様は、自分だけの。
「く……!」
きつく拳を握る。
駄目だ。
耐えるのだ。
真に御侍様を想うのならば。
ブラウニーの目から、静かに雫が流れる。
夜は、まだ明けない。
ブラウニーは、いつも自身に言い聞かせていた。
御侍様の為に存在し、仕えるのだと。
朝がくる度に、何度も繰り返す。
そして、朝日の光を浴び心を落ち着かせる。自分は、まだ大丈夫だと。
まだ、役割を果たせるのだと。
ブラウニーは、深呼吸をして部屋を出た。
食霊としてのブラウニーの役目は、主に堕神との戦いである。
店の経営には携わってはいない。
始めこそ、御侍様の成功に貢献出来ないことに不満を持っていた。もっとお役に立ちたいと、強く願っていたのだ。
主の為に存在したいという、純粋な気持ちで。
それはもう、過去となった。
今のブラウニーは、感謝している。
戦いの場では、無心でいることができたから。
ただ、目の前にいる敵に集中していればいい。
おかしなことに、安堵すらしていた。
ここにいれば、大丈夫なのだと。
食霊としてのブラウニーでいられる場所だから。
ブラウニーは、戦いに身を置くのだ。
安堵。絶対的な安心に身を任せたから、だからだろうか。
ブラウニーは油断をした。
あれほど、言い聞かせていたのに。
夜が明けるには、まだ早い時間。
ブラウニーは、薄暗い厨房で座り込み、浅い息を繰り返していた。
苦しげに、眉を寄せて。
油断した。うかつな自分を呪いたい。
ブラウニーは、小さく呻いた。
彼の視線は、一点に集中している。
反らすことは、出来ないのだ。
視線の先には、厨房にある椅子に腰かけた小柄な少女。
ブラウニーの主、御侍様だ。
椅子に腰かけたまま、目を閉ざした顔にはあどけなさが残っている。
おそらく遅くまで、料理の研究をしていたのだろう。疲れた様子で眠っていた。
「ああ……」
ブラウニーの口から吐息がこぼれる。息は熱い。
どうして、どうして。
気をつけていたのに。
何故、喉の渇きを我慢しなかったのか。
「御侍、様」
二人きりに、なりたくなかったのに。
ずっと、耐えてきたのに。
目の前に、あなたはいる。
こんなにも、近くに。
何度も言い聞かせた。自分は、食霊だと。
御侍様をお助けする存在なのだと。
そうして、納得させ、押さえつけてきたのだ。
でなければ。
気が狂いそうだった。
いつからかは、わからない。
ただ、常に御侍様を見つめているようになっていた。
目が、離せなくなった。
見つめ過ぎだとミルフィーユにからかわれて、やっと気がついた。
自分のなかにある気持ちに。
そうして、すぐに奥底にしまいこんだ。
気づかれてはいけない。
御侍様の邪魔には、なりたくないと。
それからブラウニーは耐えて、蓋をして、心を殺してきた。
全ては、自分の想いから御侍様を守る為に。
御侍様に想われたいと、浅ましい願いを持ってしまったがゆえに。
「御侍様……」
名を呼ぶ。
今は、他に誰もいない。
御侍様は、自分だけの。
「く……!」
きつく拳を握る。
駄目だ。
耐えるのだ。
真に御侍様を想うのならば。
ブラウニーの目から、静かに雫が流れる。
夜は、まだ明けない。
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