『共犯者』
「暗くなる前に行きます。……また後で」
彼はそう言って担架を握っていた手を器用にトランクに掛けてそのドアを開ける。
ガチャ、と音の鳴った瞬間、トランクから先程の部屋で嗅いだ薬品に似た匂いが漂ってきた。トランクの中には青いビニールシートが敷いてあり、言葉にせずとも私はこの中に死体を詰めるのだと理解する。
「ああ」
男性は短くそう答え、此方を振り返る事なく私がこの死体を生み出した場所へと歩いていった。
「──では、先程と同じ様にトランクに移しますよ」
「いち、に、さん」と言う彼の合図と共に、私の憎んでいた人はトランクに詰め込まれ、何だかそれが凄く滑稽に見えた。
……この人だって、今日私に殺される為に私を害していたわけではないだろうに。
力なくだらりと垂れた腕は今、その罪を覆い隠したブルーシートの下で神に祈るかのように結ばれている。私の愛しい人の手によって。