セブルスを弟として迎えるお話
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父や母は友の繋がりがとても強い。
それに頭を悩ませる時が来た。
金曜の夜の事だった。
その日はとても寒かった。
高校に上がる前に、両親が仕事の関係で海外に行くことになった。
一緒に行きたかったのは本音だが、どうも治安が悪いらしく、私は1人、日本に残って高校生活を送っていた。
両親には内緒の飲食のバイトから帰ってきて、22時が過ぎた頃、インターホンが鳴った。
「はーい」
恐る恐る出てみると知り合いの小学生だった。
マンションに住んでる私はオートロックを急いで外し、上がってくるエレベーターの前で待った。
扉が開いた瞬間、子供が私に抱きついてきた。
「どうしたのセブルス!」
この子はセブルス。母の友人の子供。
私が休みの日など、両親の友人から子供を預かって欲しいと頼まれることがある。
セブルスもそのひとりだ。
生まれた時から知っていて、弟のようなもので、泊まりに来るほど仲がいい。
しかし、セブルスの家庭は少し複雑なんだと思う。
私はセブルスの両親にちゃんと会ったことがない。
母親は問題ないとして、父親の方が虐待やDVをしていると思われる。
細く痩けた腕や脚にアザが見える。
湿った頬を撫でながら背中をさする。
「寒かったでしょ?今ココア出すね。」
2月の寒空の中を、半袖で上着も着ず、裸足に靴で走ってきたのを見て、飛び出してきたのが分かる。
色々聞きたいことはあるけれど、冷えきった身体を早く温めたかった。
コタツに入れて、ブランケットを肩にかける。
ミルクココアを出すと、フーフーと息をかけてから飲む。
「おいしい?」
「うん」
「お家…飛び出してきちゃったの?」
「…うん」
「一応セブルスのお母さんに今ここにいること連絡してもいい?」
「…うん。でも家に帰りたくない。」
「勿論!今日1人なの寂しかったから、セブルスが来てくれてすごく嬉しい。後で一緒にゲームしよっか!晩御飯食べた?」
首を横に振るのをみて、すぐになにか作ろうと立ったその時だった。
セブルスもいきなり立ち上がり、トイレへ行った。
不安になりついて行く。
「うっ、ウエッ」
ビチャビチャビチャ
「セブルス!?!吐いたの?!」
「ぅ、おぇっ」
ビチャビチャ
出てきた彼は涙目で、完全に発熱している顔だった。
急いで口をゆすがせて、ソファで横になってもらい、体温計と袋を渡し、私はすぐにセブルスの母親に電話をかけた。
が、出ない。
「セブルス、お母さん今お仕事かな?」
「おうちにいると思う。」
「OK、熱は?」
差し出された体温計は39.1℃?!?!
「すぐに病院行こうね。今タクシー呼ぶから」
タクシーを手配して、私は自分の財布と、一応のため、お母さんが緊急用に置いてた現金の入った封筒をとりだし、セブルスにマスクを渡して、私の上着を着せる。
おんぶして、玄関の鍵をしっかりかけたのを確認して下に降りた。
ちょうど予約してたタクシーが来て、急病センターまでお願いした。
膝枕しているから、震えてるのがよく分かる。
この体温の高さなら関節も痛いだろう。
涙が止まらないようで可哀想だ。
病院に着いて受付をした。
保護者じゃないし保険証もないが、セブルスの容態を見ると、診察して貰えることになった。
一番不安だった点だから胸をなでおろした。
診察で腹部を見ると大きなアザがある。
そしてやけに細い。
診察結果はまさかのインフルエンザ。
しかも予防接種をしてなかった模様。それは辛い…。
腹部のアザに関しては内蔵まで損傷はしてなさそうだと言われた。
セブルスは点滴することになり、別室でおじいちゃん先生と話す。
「保護者に連絡つかないんだよね?」
「はい……」
「本当はね。保護者と連絡つかないってことだから、警察に連絡するべきなんだけど、今聞いたお話しといい、あのアザを見る感じ、お家に返すのちょっと怖いのよ。土日も貴方のお家で見れる?」
「もちろんです。面倒見ます。」
「良かった!
で、月曜日なんだけど小学校に連絡して、先生に相談して欲しいの。
それとどうしてもね。1週間は熱下がらないし学校にも行けないから、他に頼れる大人いるかな?」
「手当り次第聞いてみます。」
「うんうん。お姉さんしっかりしてるから大丈夫かな。うん。」
しっかりしてなんかいないし、本当は大丈夫では無い。
正直いうと学年末考査がもう来週から始まるから、気を抜かないためにもテスト勉強しなければならないし、月曜の朝なんて忙しいに決まってる。
普段から勉強していれば問題ないと言われるだろうが、進学する先で推薦は欲しいし、特待生になるためにも、今ここでインフルエンザになる訳にも行かないし、遅刻になってまで内申点は削りたくない。
でも辛い思いしてる子供の前で、そんな本音を言ってられるわけが無い。
入院させてくださいって言ったところで、いくらバイトしていても、保険証無しの入院費の負担を私1人で出来る気がしない。
諦めの気持ちと、預かる覚悟は出来ていた。
処方箋を貰って、点滴が終わったセブルスとタクシーに乗り、途中でコンビニに寄って、スポーツドリンクや食べられそうなものをありったけ買った。
帰ってきたらもう日付が変わっていた。
「おつかれ!ソファーにちょっと寝てて!」
空気清浄機をON。
中学の体操着をパジャマ代わりに着させた。
リビングに来客用のエアーベッド設置。
羽根布団と毛布、手触りのいいタオルケットも出した。
好きなものを食べさせて薬も飲ませるとだいぶスッキリした顔になった。
「アイスノン気持ちい?」
「うん…ごめんなさい」
「えっ?!なんで!?」
「お金、使わせちゃったから。」
「大丈夫大丈夫!何も問題ないよ。
ふふっ面白い子やな。
そんなん子供が気にすることじゃないよ?
で、ちょっとは眠れそう?」
「うん。」
「良かった。私まだ起きてるから、なんかあったら言ってね。」
そう言うとすぐまぶたを閉じた。
セブルスは比較的大人しくて手が掛からない。
部屋は暗くして、キッチンの照明だけ付けた。
(そういえば私、バイトから帰ってきて晩御飯食べてないや…)
梅干しのお茶漬けを作り、ダイニングで単語帳と片耳だけイヤホンをしてリスニングを聴きながら食べる。
温かい。
美味しい。
でも、ちょっと虚しい
食べ終わり、テキストを数ページ進めた頃だった。
「ふっ、うぅ、ぐすっ」
そっと寝ているところを覗くと魘されているようだ。
おでこの冷えピタの上から手を当てると、起こしてしまった。
「ごめん起こして。しんどい?」
「手、気持ちい」
「冷え性だからね。手冷たいでしょ。
首触るね。うん、ちょっと汗ふこか。」
解熱剤が効いてよく発汗している。
予備に私の服に着替えをさせて、スポーツドリンクを飲ませる。
ストロー買っててよかった。
コップに入ってる分を全部飲ませると、落ち着いたようでまた眠りについた。
気を抜けない。シャワーも浴びる気力もないほどに今日は疲れた。
明日の朝にしようと思ったが、知り合いの大人たちのグループLINEに事情と助けて貰えないかを送り、私はソファーで目を閉じた。
それに頭を悩ませる時が来た。
金曜の夜の事だった。
その日はとても寒かった。
高校に上がる前に、両親が仕事の関係で海外に行くことになった。
一緒に行きたかったのは本音だが、どうも治安が悪いらしく、私は1人、日本に残って高校生活を送っていた。
両親には内緒の飲食のバイトから帰ってきて、22時が過ぎた頃、インターホンが鳴った。
「はーい」
恐る恐る出てみると知り合いの小学生だった。
マンションに住んでる私はオートロックを急いで外し、上がってくるエレベーターの前で待った。
扉が開いた瞬間、子供が私に抱きついてきた。
「どうしたのセブルス!」
この子はセブルス。母の友人の子供。
私が休みの日など、両親の友人から子供を預かって欲しいと頼まれることがある。
セブルスもそのひとりだ。
生まれた時から知っていて、弟のようなもので、泊まりに来るほど仲がいい。
しかし、セブルスの家庭は少し複雑なんだと思う。
私はセブルスの両親にちゃんと会ったことがない。
母親は問題ないとして、父親の方が虐待やDVをしていると思われる。
細く痩けた腕や脚にアザが見える。
湿った頬を撫でながら背中をさする。
「寒かったでしょ?今ココア出すね。」
2月の寒空の中を、半袖で上着も着ず、裸足に靴で走ってきたのを見て、飛び出してきたのが分かる。
色々聞きたいことはあるけれど、冷えきった身体を早く温めたかった。
コタツに入れて、ブランケットを肩にかける。
ミルクココアを出すと、フーフーと息をかけてから飲む。
「おいしい?」
「うん」
「お家…飛び出してきちゃったの?」
「…うん」
「一応セブルスのお母さんに今ここにいること連絡してもいい?」
「…うん。でも家に帰りたくない。」
「勿論!今日1人なの寂しかったから、セブルスが来てくれてすごく嬉しい。後で一緒にゲームしよっか!晩御飯食べた?」
首を横に振るのをみて、すぐになにか作ろうと立ったその時だった。
セブルスもいきなり立ち上がり、トイレへ行った。
不安になりついて行く。
「うっ、ウエッ」
ビチャビチャビチャ
「セブルス!?!吐いたの?!」
「ぅ、おぇっ」
ビチャビチャ
出てきた彼は涙目で、完全に発熱している顔だった。
急いで口をゆすがせて、ソファで横になってもらい、体温計と袋を渡し、私はすぐにセブルスの母親に電話をかけた。
が、出ない。
「セブルス、お母さん今お仕事かな?」
「おうちにいると思う。」
「OK、熱は?」
差し出された体温計は39.1℃?!?!
「すぐに病院行こうね。今タクシー呼ぶから」
タクシーを手配して、私は自分の財布と、一応のため、お母さんが緊急用に置いてた現金の入った封筒をとりだし、セブルスにマスクを渡して、私の上着を着せる。
おんぶして、玄関の鍵をしっかりかけたのを確認して下に降りた。
ちょうど予約してたタクシーが来て、急病センターまでお願いした。
膝枕しているから、震えてるのがよく分かる。
この体温の高さなら関節も痛いだろう。
涙が止まらないようで可哀想だ。
病院に着いて受付をした。
保護者じゃないし保険証もないが、セブルスの容態を見ると、診察して貰えることになった。
一番不安だった点だから胸をなでおろした。
診察で腹部を見ると大きなアザがある。
そしてやけに細い。
診察結果はまさかのインフルエンザ。
しかも予防接種をしてなかった模様。それは辛い…。
腹部のアザに関しては内蔵まで損傷はしてなさそうだと言われた。
セブルスは点滴することになり、別室でおじいちゃん先生と話す。
「保護者に連絡つかないんだよね?」
「はい……」
「本当はね。保護者と連絡つかないってことだから、警察に連絡するべきなんだけど、今聞いたお話しといい、あのアザを見る感じ、お家に返すのちょっと怖いのよ。土日も貴方のお家で見れる?」
「もちろんです。面倒見ます。」
「良かった!
で、月曜日なんだけど小学校に連絡して、先生に相談して欲しいの。
それとどうしてもね。1週間は熱下がらないし学校にも行けないから、他に頼れる大人いるかな?」
「手当り次第聞いてみます。」
「うんうん。お姉さんしっかりしてるから大丈夫かな。うん。」
しっかりしてなんかいないし、本当は大丈夫では無い。
正直いうと学年末考査がもう来週から始まるから、気を抜かないためにもテスト勉強しなければならないし、月曜の朝なんて忙しいに決まってる。
普段から勉強していれば問題ないと言われるだろうが、進学する先で推薦は欲しいし、特待生になるためにも、今ここでインフルエンザになる訳にも行かないし、遅刻になってまで内申点は削りたくない。
でも辛い思いしてる子供の前で、そんな本音を言ってられるわけが無い。
入院させてくださいって言ったところで、いくらバイトしていても、保険証無しの入院費の負担を私1人で出来る気がしない。
諦めの気持ちと、預かる覚悟は出来ていた。
処方箋を貰って、点滴が終わったセブルスとタクシーに乗り、途中でコンビニに寄って、スポーツドリンクや食べられそうなものをありったけ買った。
帰ってきたらもう日付が変わっていた。
「おつかれ!ソファーにちょっと寝てて!」
空気清浄機をON。
中学の体操着をパジャマ代わりに着させた。
リビングに来客用のエアーベッド設置。
羽根布団と毛布、手触りのいいタオルケットも出した。
好きなものを食べさせて薬も飲ませるとだいぶスッキリした顔になった。
「アイスノン気持ちい?」
「うん…ごめんなさい」
「えっ?!なんで!?」
「お金、使わせちゃったから。」
「大丈夫大丈夫!何も問題ないよ。
ふふっ面白い子やな。
そんなん子供が気にすることじゃないよ?
で、ちょっとは眠れそう?」
「うん。」
「良かった。私まだ起きてるから、なんかあったら言ってね。」
そう言うとすぐまぶたを閉じた。
セブルスは比較的大人しくて手が掛からない。
部屋は暗くして、キッチンの照明だけ付けた。
(そういえば私、バイトから帰ってきて晩御飯食べてないや…)
梅干しのお茶漬けを作り、ダイニングで単語帳と片耳だけイヤホンをしてリスニングを聴きながら食べる。
温かい。
美味しい。
でも、ちょっと虚しい
食べ終わり、テキストを数ページ進めた頃だった。
「ふっ、うぅ、ぐすっ」
そっと寝ているところを覗くと魘されているようだ。
おでこの冷えピタの上から手を当てると、起こしてしまった。
「ごめん起こして。しんどい?」
「手、気持ちい」
「冷え性だからね。手冷たいでしょ。
首触るね。うん、ちょっと汗ふこか。」
解熱剤が効いてよく発汗している。
予備に私の服に着替えをさせて、スポーツドリンクを飲ませる。
ストロー買っててよかった。
コップに入ってる分を全部飲ませると、落ち着いたようでまた眠りについた。
気を抜けない。シャワーも浴びる気力もないほどに今日は疲れた。
明日の朝にしようと思ったが、知り合いの大人たちのグループLINEに事情と助けて貰えないかを送り、私はソファーで目を閉じた。
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