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梅雨の午前3時52分




雨がまだやまない。
大雨警報が発令されて、1時間。雨音で目が覚めた。雨音というには轟音だったけど。まるで汽車がトンネルを抜ける時のような、飛行機に乗っている時のような。ザーザー降りなんてもんじゃない。
ベッド脇のカーテンを開けてみた。
バケツをひっくり返したような雨はコンクリートの上で跳ね、白い飛沫に変わっている。団地の斜面にできた川は、色んなものを流していく。実りすぎた枇杷、片っぽだけの誰かの手袋。せっかくだから、おばさんのくだらない井戸端会議も。何もかも側溝に消えてしまえ。
窓も開けてみる。
雨音が一段と大きくなった。部屋に風が入り込む。あぁ、雨のにおい。カーテンがバタバタとはためいた。寝ている間に吐いた二酸化炭素をかき消してくれそうな勢いだ。風向きが変わり、雨が少し顔にかかって、なんだか気がそがれてしまった。
窓もカーテンも閉めた。スマホの時計は午前4時31分。空は少し白み始めているが、二度寝を決め込むとしよう。
叩きつける雨音と、軒先から滴り落ちる雫の音が響くワンルーム。「水の檻に閉じ込められた気分だ」まどろみながら、そんなことを思った。
雨はまだやまない。
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