幸せな選択
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う~、久しぶりに飲んだ。頭がイタイ。身体がオモイ。
「た、だいま~…。」
小声で呟きながら音を立てないようにパンプスを脱ぐ。
寝室で寝ている治に届かないのは分かっているが、それでいい。
治は毎日店の仕込みで朝が早い。
だから先に寝てることは不思議じゃないし、むしろそうしてくれてたほうがこちらも気を遣わずに済むのでありがたい。
飲み会の途中、帰宅時間の目途が立ったタイミングで"11時30分頃には帰れそう"と前もって連絡を送っていた。
それに対しての返信は"了解"とだけ。
現在時刻は…12時ちょい前。まあまあまあ、及第点でしょう。
飲み会の後はスピード勝負。動きを止めたら負けだ。
襲ってくる睡魔に追いつかれる前に最低限の事を済ませる。
コートをかけ、化粧を落とし、歯を磨く。
つま先歩きで部屋から部屋へと移動し、静かに、それでいて素早くそれらを終わらせる。
よし、できた。
飲んだ後はいつも温かいお茶で締めたくなる。
ティーバッグを入れたコップを机の上に準備し、すぐ沸くように必要分だけの水を入れスイッチを押す。
お湯が沸くのを待つ間に、ソファに深く座り天を仰ぎ目を閉じる。
お風呂、明日の朝でいいかな。私明日休みやし。
リビングの扉が開く音がした。
『帰ってきたんか不良娘。』
「ふふ、ど・こ・が・や・ねーん!」
『売れてない芸人みたいな返しすんなや。』
私の精一杯の返しすらもあっさり一蹴するこの男。寝起きとは思えへん。
そんな酔っぱらってるつもりはなかったんやけど、さすがにシラフの人間と話すと会話のコントラストが出てまうな。
「ごめん起こした?」
『まあ、せやな。』
「ごーめーんて。」
『別にええけど。このお湯茶ぁ飲むやつ?』
気付けばとっくにお湯は沸いていた。
うん、とだけ返事をすると手際よくコポコポとお湯を注いでこっちへ近づいてくる気配がした。
コトン、と目の前の机にコップを置かれた音がしてようやく目を開ける。
「ありがと。」
『お疲れ様でございます、営業部長さん。』
優しい顔で微笑みながら隣に座る治が労いの言葉をかけてくれた。
今日の飲み会は私の営業部長昇進お祝いの為に開かれたものだった。
だから、主役の私が外すわけにはいかなった。
元々飲み会も嫌いじゃないし人と話すのも好きだから苦ではないけど、同棲を始めてからは無意識のうちに長引きそうな飲み会を避けていたから、今日が久しぶりのがっつり飲み会だったんだけど。
別に治はこんなことで怒る人じゃない。分かってはいても後ろめたさがなかったといえば噓になる。
それでもこの笑顔を向けられただけで少し許されたような気がしてホッとした。
『風呂どうすんの。』
「んー…明日、の、朝。」
『明日の朝水道止まってますように、パンパン。』
「ふふ、そんな御祈願して叶ったら泣くのあんたやろ。じゃあ治が一緒入ってくれたら入る。」
しまった、と思った。こんなこと普段の私なら言わないのに。
やっぱり酔いが醒めてないかもしれへん。
すぐさま、なーんてねと付け足そうとしようとしたのに
『しゃーないな。じゃあ先入って体洗っとき。』
俺はもう入ったから湯舟だけ一緒に浸かったるわって。
その言葉で少しだけ、酔いが醒めた。
「た、だいま~…。」
小声で呟きながら音を立てないようにパンプスを脱ぐ。
寝室で寝ている治に届かないのは分かっているが、それでいい。
治は毎日店の仕込みで朝が早い。
だから先に寝てることは不思議じゃないし、むしろそうしてくれてたほうがこちらも気を遣わずに済むのでありがたい。
飲み会の途中、帰宅時間の目途が立ったタイミングで"11時30分頃には帰れそう"と前もって連絡を送っていた。
それに対しての返信は"了解"とだけ。
現在時刻は…12時ちょい前。まあまあまあ、及第点でしょう。
飲み会の後はスピード勝負。動きを止めたら負けだ。
襲ってくる睡魔に追いつかれる前に最低限の事を済ませる。
コートをかけ、化粧を落とし、歯を磨く。
つま先歩きで部屋から部屋へと移動し、静かに、それでいて素早くそれらを終わらせる。
よし、できた。
飲んだ後はいつも温かいお茶で締めたくなる。
ティーバッグを入れたコップを机の上に準備し、すぐ沸くように必要分だけの水を入れスイッチを押す。
お湯が沸くのを待つ間に、ソファに深く座り天を仰ぎ目を閉じる。
お風呂、明日の朝でいいかな。私明日休みやし。
リビングの扉が開く音がした。
『帰ってきたんか不良娘。』
「ふふ、ど・こ・が・や・ねーん!」
『売れてない芸人みたいな返しすんなや。』
私の精一杯の返しすらもあっさり一蹴するこの男。寝起きとは思えへん。
そんな酔っぱらってるつもりはなかったんやけど、さすがにシラフの人間と話すと会話のコントラストが出てまうな。
「ごめん起こした?」
『まあ、せやな。』
「ごーめーんて。」
『別にええけど。このお湯茶ぁ飲むやつ?』
気付けばとっくにお湯は沸いていた。
うん、とだけ返事をすると手際よくコポコポとお湯を注いでこっちへ近づいてくる気配がした。
コトン、と目の前の机にコップを置かれた音がしてようやく目を開ける。
「ありがと。」
『お疲れ様でございます、営業部長さん。』
優しい顔で微笑みながら隣に座る治が労いの言葉をかけてくれた。
今日の飲み会は私の営業部長昇進お祝いの為に開かれたものだった。
だから、主役の私が外すわけにはいかなった。
元々飲み会も嫌いじゃないし人と話すのも好きだから苦ではないけど、同棲を始めてからは無意識のうちに長引きそうな飲み会を避けていたから、今日が久しぶりのがっつり飲み会だったんだけど。
別に治はこんなことで怒る人じゃない。分かってはいても後ろめたさがなかったといえば噓になる。
それでもこの笑顔を向けられただけで少し許されたような気がしてホッとした。
『風呂どうすんの。』
「んー…明日、の、朝。」
『明日の朝水道止まってますように、パンパン。』
「ふふ、そんな御祈願して叶ったら泣くのあんたやろ。じゃあ治が一緒入ってくれたら入る。」
しまった、と思った。こんなこと普段の私なら言わないのに。
やっぱり酔いが醒めてないかもしれへん。
すぐさま、なーんてねと付け足そうとしようとしたのに
『しゃーないな。じゃあ先入って体洗っとき。』
俺はもう入ったから湯舟だけ一緒に浸かったるわって。
その言葉で少しだけ、酔いが醒めた。
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