疲れた。

仕事から家に帰ってきて早々、化粧も落とさず真っ先にソファーへ向かい、深く腰を掛けて真っ暗な部屋へ溶け込む。
しばらくぼーっとしていると、携帯の画面が明るくなったのが視界に入り、急いで内容を確認する。



"今日はお友達の誕生日です"



どうでもいいLINE通知。少しの期待と落胆が瞬間で押し寄せては引いていく。
しょーもない。イライラする。くそ、普段はこんなことどうってことないのに。
余裕のない自分にむしゃくしゃして、思いっきりソファーの一番やらかい所に携帯を放り投げる。







なんでこんなにイライラしているのかは自分ではよくわかってる。
付き合っているはずの男と２か月も会えてない。私も一応いい大人なのでいちいちそんなことで怒りたくはないのだが、

"しゃーないやん"　"どうもできへんもん"

こんな言葉で毎回のらりくらりかわされるとさすがに、こう、イラっと来るときもあるのだ。

わかってますとも勿論。忙しいのはわかってるけどなんか、その代わりにもっと言葉とか物とか何かしらあってもいいんじゃないの、とは正直思ってまうねん。
いや、別に物が欲しいわけじゃない。気持ち悪い言い方をするとわかりやすい愛がほしいのだ。

付き合いたての頃はもっと愛されてた気がしたのんやけどなあ。

幸か不幸かその男はプロバレー選手としてたまにテレビに映る。今はシーズン中らしく、会えなくても画面越しに生存確認をすることはできる。

テレビを付けて録画履歴を確認する。ひとつも見れていない試合とバラエティ番組がちょこちょこ。ここ最近は仕事が忙しすぎてなにも見る余裕がなかった。


・・・

今の私にあいつをみる余裕は、ない。

「水ダウでも見るか」