10.お帰りはあちらです
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「何故だ」
「いくら謙信様でも、駄目なものは駄目です」
「その様な理由で納得出来る筈がなかろう」
佐助の部屋で。
空になった徳利を辺りに散らばせ、謙信は佐助を問い詰めている。
「佐助、答えろ」
「謙信様、呑む量を控える様、〇〇さんに言われていましたよね?」
「だったら何だ」
「言いつけは守らないと」
「しかし、最近は戦もない。退屈でやれん。… 〇〇は〇〇で、日々、城での仕事が忙しい。働く必要など全く無いのだがな、何もしないのは性に合わんと言って聞かん」
ふんっ、と謙信は新しい徳利を持ち、お猪口に酒を注ぐ。
「謙信様といえど、このアルコール摂取量が毎日続けば、肝臓がやられます」
「あるこーる?かんぞう?」
「身体を壊すという意味です。…それに」
佐助はふと、入口の襖に目をやった。
「それに、なんだ」
気付いた謙信が、同じ方を眺めながら静かに問い掛ける。
「いつもは、〇〇さんの部屋で呑みますよね?今日は何故ここへ来たんです?まさか謙信様、〇〇さんと喧嘩し「佐助」
と、立ち上がった謙信が、上から佐助を睨み、堂々と告げた。
「俺は自棄酒などしない」
佐助は黙って謙信を見つめている。
そして、謙信が目を逸らしたタイミングで、こう呟いた。
「謙信様、お帰りはあちらです」
言うやいなや、佐助は襖をすっと開けて、謙信の背中を優しく押した。
怪訝そうな顔をする謙信を見て、佐助は微笑しながらこう言った。
「寂しい時は寂しいと素直に伝えた方が、きっと〇〇さんは嬉しいはずです」
俯き、少し思案した後、謙信は顔を上げ振り返った。
「…佐助」
「はい?」
「斬る」
「お断りします」
さっと謙信から距離を取り、佐助は言った。
「佐助。〇〇のことをお前に語られるのは、どうも気分が良くない」
「それは失礼しました」
「俺は帰る」
そう言い残し、部屋を出ていった謙信を見て、佐助は苦笑しながら呟いた。
「寂しいが言えずに拗ねる、か。まるで10代の恋愛だな。…だけど、謙信様らしい」
そろそろ、〇〇さんの部屋に着いた頃だろうか…
そんな事を考えながら、佐助は謙信が散らかした徳利とお猪口を拾った。
End*2019.11.07*
「いくら謙信様でも、駄目なものは駄目です」
「その様な理由で納得出来る筈がなかろう」
佐助の部屋で。
空になった徳利を辺りに散らばせ、謙信は佐助を問い詰めている。
「佐助、答えろ」
「謙信様、呑む量を控える様、〇〇さんに言われていましたよね?」
「だったら何だ」
「言いつけは守らないと」
「しかし、最近は戦もない。退屈でやれん。… 〇〇は〇〇で、日々、城での仕事が忙しい。働く必要など全く無いのだがな、何もしないのは性に合わんと言って聞かん」
ふんっ、と謙信は新しい徳利を持ち、お猪口に酒を注ぐ。
「謙信様といえど、このアルコール摂取量が毎日続けば、肝臓がやられます」
「あるこーる?かんぞう?」
「身体を壊すという意味です。…それに」
佐助はふと、入口の襖に目をやった。
「それに、なんだ」
気付いた謙信が、同じ方を眺めながら静かに問い掛ける。
「いつもは、〇〇さんの部屋で呑みますよね?今日は何故ここへ来たんです?まさか謙信様、〇〇さんと喧嘩し「佐助」
と、立ち上がった謙信が、上から佐助を睨み、堂々と告げた。
「俺は自棄酒などしない」
佐助は黙って謙信を見つめている。
そして、謙信が目を逸らしたタイミングで、こう呟いた。
「謙信様、お帰りはあちらです」
言うやいなや、佐助は襖をすっと開けて、謙信の背中を優しく押した。
怪訝そうな顔をする謙信を見て、佐助は微笑しながらこう言った。
「寂しい時は寂しいと素直に伝えた方が、きっと〇〇さんは嬉しいはずです」
俯き、少し思案した後、謙信は顔を上げ振り返った。
「…佐助」
「はい?」
「斬る」
「お断りします」
さっと謙信から距離を取り、佐助は言った。
「佐助。〇〇のことをお前に語られるのは、どうも気分が良くない」
「それは失礼しました」
「俺は帰る」
そう言い残し、部屋を出ていった謙信を見て、佐助は苦笑しながら呟いた。
「寂しいが言えずに拗ねる、か。まるで10代の恋愛だな。…だけど、謙信様らしい」
そろそろ、〇〇さんの部屋に着いた頃だろうか…
そんな事を考えながら、佐助は謙信が散らかした徳利とお猪口を拾った。
End*2019.11.07*
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