怪物
「 王子はどうされてしまったのでしょうか。ずっとお部屋から出てきませんね… 」
「 お食事も召し上がっていないみたいです 」
「 しかし、扉の向こうから聞こえるお声は落ち着いておられるのですよ。こもってお仕事をされているのでしょうか… 」
部屋の外から聞こえてくる話し声も、彼の耳には届いていた。
閉めきった暗い部屋の中、彼は書類に目を通すが、その内容はまったく頭に入ってこなかった。
彼が部屋にこもって数日。…狼のような姿になって数日が経った。
彼を苦しめていた謎の症状はぱたりと途絶え、体力も戻り始めていると感じた。そして数日 飲み物しか口にしていなくても、あまり空腹を感じることはなかった。
「……」
彼はずっと考えている。
何故このような姿になってしまったのか。
そして、自分は人間なのか、そうでないのか。
何もかもが分からないでいた。
うつむく彼の心は、崩れそうになっていた。
「……ん…」
…しかし、このままではよくしようとしていた国もまた崩れ始める。
彼の脳裏に、苦しみに喘ぎながらも精一杯生きてきた国民達の姿が思い浮かんだ。
「………」
…幼い頃は何もできなかったが、今はどうだ。
傲慢な王を退け、代理ではあるが今 この国の王座に居座っている。
もうあの頃のように、国民達に苦しい思いはさせたくないと、そう決意してこの座を奪い取ったのだ。
姿形が変わっただけだ。隠せばどうにでもなる。もう不調でもない。
「…悲観するな」
己を奮い立たせるように、ぽつりと呟いた。
「……よし」
どこか吹っ切れた様子の彼は、気分を入れ替えるように「ふう…」と息を吐いてから手元の書類に目線を落とした。
何もしていないから悩む時間ができるのだ。それなら没頭してしまえばいい。王としての仕事は山積みだ。
彼は遅れた分も取り返そうと、背負っている仕事に集中しようとペンを握った。
…その時、
「 あの~、少しよろしいかな? 」
ある人物が宮殿を訪ねてきたのだった。
「 お食事も召し上がっていないみたいです 」
「 しかし、扉の向こうから聞こえるお声は落ち着いておられるのですよ。こもってお仕事をされているのでしょうか… 」
部屋の外から聞こえてくる話し声も、彼の耳には届いていた。
閉めきった暗い部屋の中、彼は書類に目を通すが、その内容はまったく頭に入ってこなかった。
彼が部屋にこもって数日。…狼のような姿になって数日が経った。
彼を苦しめていた謎の症状はぱたりと途絶え、体力も戻り始めていると感じた。そして数日 飲み物しか口にしていなくても、あまり空腹を感じることはなかった。
「……」
彼はずっと考えている。
何故このような姿になってしまったのか。
そして、自分は人間なのか、そうでないのか。
何もかもが分からないでいた。
うつむく彼の心は、崩れそうになっていた。
「……ん…」
…しかし、このままではよくしようとしていた国もまた崩れ始める。
彼の脳裏に、苦しみに喘ぎながらも精一杯生きてきた国民達の姿が思い浮かんだ。
「………」
…幼い頃は何もできなかったが、今はどうだ。
傲慢な王を退け、代理ではあるが今 この国の王座に居座っている。
もうあの頃のように、国民達に苦しい思いはさせたくないと、そう決意してこの座を奪い取ったのだ。
姿形が変わっただけだ。隠せばどうにでもなる。もう不調でもない。
「…悲観するな」
己を奮い立たせるように、ぽつりと呟いた。
「……よし」
どこか吹っ切れた様子の彼は、気分を入れ替えるように「ふう…」と息を吐いてから手元の書類に目線を落とした。
何もしていないから悩む時間ができるのだ。それなら没頭してしまえばいい。王としての仕事は山積みだ。
彼は遅れた分も取り返そうと、背負っている仕事に集中しようとペンを握った。
…その時、
「 あの~、少しよろしいかな? 」
ある人物が宮殿を訪ねてきたのだった。
