人里離れた静かな丘。美しい自然に囲まれたその場所に、そのホテルは厳かに佇んでいた。
広い敷地内にはチェスを模した庭や立派な噴水、フォトジェニックな庭園、大きなプールなどが設備されていた。ホテルの中はおしゃれなエントランスホールから始まり、ロビー、ラウンジ、そして階段を登った先には長い廊下とたくさんの部屋があった。
ここは言わば高級ホテルである。だから都心から離れているものの、年がら年中観光客が絶えることはなかった。いつも多くの人々が訪れる人気のホテルだ。

「…ふふ」

──そんなホテルに住み着いている「それ」は、今夜も人知れず遊び相手を探している。