死にお持ち帰りされた花婿と月が穴兄弟になる話5
…花婿と死は体を重ねた後、しばらくの間ベッドの上で寝転んでいた。
初体験を終えた花婿は遠い目でぼー…と天井を見ており、死はそんな花婿を見つめながら体を寄せていた。
花婿は黙ったままだが、その表情から彼の心中は容易に察しがつく。おおかた「…死と…男と…やったのか…俺は…」といった具合だろう。行為中はそんなことも気にならないほどに夢中だったため、行為後の賢者タイムという時間に陥ったことで、その事実をまじまじと実感し始めていた。嫌悪というよりは、どちらかと言うと驚きの感情のほうがはるかに勝っていた。なかなかに盛り上がったのもあるからだろう。
花婿の隣で、死は耳元へと囁くように話しかけた。
「ふふ。お前も楽しめたようでよかったよ」
「…別に、楽しんでなんか…」
楽しいと思う余裕はなかった、というのが正解かもしれない。なんというか、とにかく必死だったのである。
だがもし徐々に慣れていければ、いずれは……
そこまで考えて、自分が次も期待しているかのように思えた花婿はハッとなった。
死はそんな花婿の思いなんてお見通しのように、くすくすと笑った。
「ふふふ。そうだね。また遊ぼうか。
……なあ? ※※※※」
死が口にしたのは、花婿の名だった。
「── …、」
当然 死には教えていなかったので、もうこの存在には何もかもが知られているようだ。
唐突に本名で呼ばれた花婿は、不覚にもドキリと心臓が高鳴ったのだった。
初体験を終えた花婿は遠い目でぼー…と天井を見ており、死はそんな花婿を見つめながら体を寄せていた。
花婿は黙ったままだが、その表情から彼の心中は容易に察しがつく。おおかた「…死と…男と…やったのか…俺は…」といった具合だろう。行為中はそんなことも気にならないほどに夢中だったため、行為後の賢者タイムという時間に陥ったことで、その事実をまじまじと実感し始めていた。嫌悪というよりは、どちらかと言うと驚きの感情のほうがはるかに勝っていた。なかなかに盛り上がったのもあるからだろう。
花婿の隣で、死は耳元へと囁くように話しかけた。
「ふふ。お前も楽しめたようでよかったよ」
「…別に、楽しんでなんか…」
楽しいと思う余裕はなかった、というのが正解かもしれない。なんというか、とにかく必死だったのである。
だがもし徐々に慣れていければ、いずれは……
そこまで考えて、自分が次も期待しているかのように思えた花婿はハッとなった。
死はそんな花婿の思いなんてお見通しのように、くすくすと笑った。
「ふふふ。そうだね。また遊ぼうか。
……なあ? ※※※※」
死が口にしたのは、花婿の名だった。
「── …、」
当然 死には教えていなかったので、もうこの存在には何もかもが知られているようだ。
唐突に本名で呼ばれた花婿は、不覚にもドキリと心臓が高鳴ったのだった。
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