死だけの秘密の話
「……あ、こんばんは」
夜。
死の姿を確認した彼は、ニコリと笑いかけた。
それに答えるように死も笑みを浮かべ、長椅子に腰掛けている彼へと近付く。そしてその膝の上へと乗り上げた。
「待たせてしまったかな」
「いいえ。僕も今来たところです」
嘘か本当か分からないことを言いながら、死の腰に手を回す彼。
その手はだんだんと下りていき、死の小さな尻へと辿り着いた。愛でるように、服の上から優しく優しく揉み上げる。
死はそんな彼を見て思う。
最初の頃に比べると、ずんぶんと積極的になったものだ。
…あれから死と彼は、時折会っては体を重ねていた。
場所はいつもの教会。人のいない夜に、誰にも知られずふたりでこっそりと楽しんでいた。
会う日は死の気分次第だ。
交わりたいと思ったら、彼の前に姿を現す。それは朝であったり、昼であったり、夕方であったり。
そして、その日の夜に教会で落ち合う。
死が教会に現れる時間もまちまちで、1時間以上も彼を待たせることだってあった。この季節の夜となると、それはとても酷なことだ。
普通ならそんな相手には不満しかないはずだが、それでも彼は死に会い体を交えることが嬉しかった。
ゆえに、彼は今まで1度も約束の日を破ったことはない。急なお誘いでも、必ず教会へと足を運んだ。
それほど彼は死に心を奪われていたのだ。
一方 一途な彼とは違って、死は彼だけでなく、月とも関係を続けていた。
変わらず月のは反応しないので、キスや前戯、口淫などの死にとっては物足りない戯ればかりだ。
今は彼ので楽しんではいるが、時々、月のがたまらなく欲しいときがある。
というのも、月と彼を比べてみると、やはり月のほうが大きかったのだ。月は彼より奥まで入ってきて、その存在感を見せてつけていた。
何ヶ月も前の記憶だが、体は鮮明に覚えている。あの凶器のようなモノで、また奥の奥まで暴いてほしい。
…彼とキスを交わしながら、そんなことを考える死。もちろん彼は知るはずもない。
そもそも月の存在だって、彼は知らないのだから。
「……あの、いいですか…?」
服越しに揉んでいた彼の手が、ゴソ…と服の中へと入ってきて、直接 死の膨らみを揉む。
そしてその手はゆっくりと、彼を受け入れる場所へと移動した。
つぷ…と中に指を差し入れ、そのあと慣らすように抜き差しを繰り返す。
控えめな態度だが、彼の動き続ける手や死を見つめる目には、男の欲が見えた。
ちらりと彼のを見ると、まだ会ったばかりだというのに、それは大きく成長していた。
「んっ……ふふ。強欲な事だ。…おいで」
死は妖艶に微笑み、下ろしている腰を浮かせた。
するとその隙に、彼はズボンから勃ち上がった自身のを取り出す。
「…そうだ。いつも貴方に動いてもらってばかりだから、今日は僕が動きます。貴方は横になっていて」
死の頭の後ろに手を添えると、そのまま左側に倒れ込ませる。仰向けになった死の上に、彼が覆い被さる体勢となった。
「頭とか体、大丈夫ですか?痛くない?」
木製の長椅子のため、固い場所に寝転んでいる死を気遣う彼。
月よりもあとに童貞を卒業したのに、もうすでに月以上に男としての質が上がっていた。月は気遣うどころか、未だに押し倒すことだってできない。
死はまたしても、密かに月と彼を比べている。
……ああ、忘れていた。彼に返事をしなければ。
「痛くないから、早く。夜が明けてしまう」
ねだるように腰を揺らす死。
月のことはいい。今は彼と楽しもう。
「…ふふ。強欲なのはどっちだか」
誘われた彼は、死の足を大きく開かせると、中へと自身を深く埋め込む。
「んんっ…」
指とは比べものにならないその圧迫感に、死は体を仰け反らせて喘ぐ。はだけた胸が、彼の目の前へと晒された。
彼は腰を動かしながら、かわいい色のぷっくりとしたそれの片方へとしゃぶりつく。
「あッ…」
あたたかい口内とぬるりとした感覚を胸で感じ、びくりと体が震えた。
彼はそのままちゅうっと強く吸い付いたり、舌で転がしたり、唇で甘噛みしたりと、死から教え込まれたあらゆるテクニックを使って死の感度を高めていった。
もう片方も忘れておらず、指でつまんだり、弾いたり、ころころと転がしたりして可愛がる。
「ぁんッ あッ はぁ…ッ」
ギシッギシッと律動に合わせて長椅子の軋む音と、死の嬌声が教会内に鳴り響いていた。
じゅぼっじゅぼっと奥を突かれながら胸も刺激され続け、死のそれも徐々に反応しはじめる。
そのことに気付いた彼は、死も感じているのだと嬉しくなった。
今どんな顔をしているのか見たい。そう思った彼は、胸を舐めるのを一旦やめると、顔を上げて死を見た。
「…ッ」
その姿に息を呑む。
レースの下の乱れた髪と紅く染まったその顔。蕩けた瞳はうるうると潤み、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
小さな口の端からは甘い蜜のような液体がたらたらと垂れ落ち、中に覗くピンクの舌もその蜜でたっぷりと濡れていた。「はぁ…はぁ…」と漏れる息さえも美味そうに思えた。
死の中で、ズクンッ…と彼のがまた大きくなる。
我慢できずに、彼はその唇へと食らいついた。
「んっ」
「ん、んん…ッ」
貪るように死の口内を犯しながら、腰の動きをさらに激しくしていく。
ぬぢゅぬぢゅと響く水音も、ふたりをより興奮させた。
すると死は彼の首へと腕を回した。そのままぎゅっと頭を抱きしめる。
まるで縋り付きながら、「もっと、もっと」と求めているかのようなその行為に
彼の中の独占欲というものが、ゾクリ…と顔を覗かせた。
「は…ッ」
彼は死の足をぐっと掴んで、もう一度大きく開かせる。
そして、ドロドロとしたドス黒い欲望をぶつけるように、思いきりその腰を打ち付けた。
「あぁッ」
死からひときわ大きな声があがった。
いつもの優しい彼からは想像もできないほどの強い突きだった。
さらに激しく、ガクガクと死を揺さぶり続ける彼。
相手を気遣う様子は一切ない、ただただ自分の欲望のためだけのような行為。
最初に死を心配していたのが嘘のようだ。怪我をさせそうなほどの勢いで、彼は死を攻めたてる。
「あッ あ"ぁッ」
絶える事なく与えられる強すぎる刺激に死はただ喘いでいた。その様は、地上にいるのにまるで溺れているかのように苦しげだ。…しかし、その口元は微かに笑っているように見えた。
彼にここまで酷く乱されるのは初めてだったのだ。今までに味わえなかった未知の快楽に体が喜んでいた。
…それは彼も同じだ。
「はぁッ はぁッ… とまらない…ッ」
夢中で腰を振りながら、独り言のようにそんな言葉を吐き出す彼。
体だけではない。死への思いも、愛おしさも、欲望も、あふれて止まらなくなっていた。
…思えば、この人とはただの体だけの関係だ。親友でも、ましてや恋人同士でもない。
たまにしか会うことはないが、本当は毎日だって会いたいくらいだった。
会っていない間、この人は一体どこで何をしているのだろう。誰かと会っていたりするのだろうか。
さらに奇妙なことに、体を交える仲であるがお互いの名も今まで一度も口にしたことはない。この人が名乗りたくないのなら、と深く詮索はしなかったのだが。
……ああ。自分は今 目の前にいるこの人のことをなんにも知らないのか。
彼は動き続けながら、今抱いている相手をじっと見つめる。
美しく、気高く、自分よりもずっと大人に思えるその人。
しかし、抱かれている時は少し違う。淫らに体をよじり、甘い声で啼き、感じ入っているような表情で妖艶な笑みを浮かべるその人。こんなにも心を奪われる人なんてきっともうどこにもいない。
この人のことをもっと知りたい。
この人に名前を呼んで欲しい。
この人の名前を呼びたい。
この人の特別になりたい。
この人が欲しい。
「…欲しい 貴方が欲しいッ…」
閉じ込めるように死へと覆い被さり、その体を強く抱きしめる。
「く…ッ」
そして腰をグッ…と押し付けると、中の奥深くに植え付けるように大量の精を吐き出した。
「んんんッ…」
腹の中に熱い液体が注がれたのを感じると、死も同じく精を吐き出した。
それは死の腹の上へと流れ出す。外も中も、熱い液体にまみれた。
荒い呼吸を繰り返すふたり。
…行為は終わったはずだが、いつもと違って今日の彼はまだ死から離れようとはしない。
「はあっ…はあっ… まだ、足りない…ッ」
力がこもった手で、死の足をぐっと掴む。
獣のようなギラギラとした目が死を捕らえた。
「…ふふ」
死はそんな目を受けて静かに笑うと、首に回したままの腕でさらに彼を引き寄せた。
まるで甘やかすかのように、頭を優しく優しく撫でる。
そして、彼の耳元で妖しく囁いた。
「ああ。お前が満足するまで、楽しもうね」
夜。
死の姿を確認した彼は、ニコリと笑いかけた。
それに答えるように死も笑みを浮かべ、長椅子に腰掛けている彼へと近付く。そしてその膝の上へと乗り上げた。
「待たせてしまったかな」
「いいえ。僕も今来たところです」
嘘か本当か分からないことを言いながら、死の腰に手を回す彼。
その手はだんだんと下りていき、死の小さな尻へと辿り着いた。愛でるように、服の上から優しく優しく揉み上げる。
死はそんな彼を見て思う。
最初の頃に比べると、ずんぶんと積極的になったものだ。
…あれから死と彼は、時折会っては体を重ねていた。
場所はいつもの教会。人のいない夜に、誰にも知られずふたりでこっそりと楽しんでいた。
会う日は死の気分次第だ。
交わりたいと思ったら、彼の前に姿を現す。それは朝であったり、昼であったり、夕方であったり。
そして、その日の夜に教会で落ち合う。
死が教会に現れる時間もまちまちで、1時間以上も彼を待たせることだってあった。この季節の夜となると、それはとても酷なことだ。
普通ならそんな相手には不満しかないはずだが、それでも彼は死に会い体を交えることが嬉しかった。
ゆえに、彼は今まで1度も約束の日を破ったことはない。急なお誘いでも、必ず教会へと足を運んだ。
それほど彼は死に心を奪われていたのだ。
一方 一途な彼とは違って、死は彼だけでなく、月とも関係を続けていた。
変わらず月のは反応しないので、キスや前戯、口淫などの死にとっては物足りない戯ればかりだ。
今は彼ので楽しんではいるが、時々、月のがたまらなく欲しいときがある。
というのも、月と彼を比べてみると、やはり月のほうが大きかったのだ。月は彼より奥まで入ってきて、その存在感を見せてつけていた。
何ヶ月も前の記憶だが、体は鮮明に覚えている。あの凶器のようなモノで、また奥の奥まで暴いてほしい。
…彼とキスを交わしながら、そんなことを考える死。もちろん彼は知るはずもない。
そもそも月の存在だって、彼は知らないのだから。
「……あの、いいですか…?」
服越しに揉んでいた彼の手が、ゴソ…と服の中へと入ってきて、直接 死の膨らみを揉む。
そしてその手はゆっくりと、彼を受け入れる場所へと移動した。
つぷ…と中に指を差し入れ、そのあと慣らすように抜き差しを繰り返す。
控えめな態度だが、彼の動き続ける手や死を見つめる目には、男の欲が見えた。
ちらりと彼のを見ると、まだ会ったばかりだというのに、それは大きく成長していた。
「んっ……ふふ。強欲な事だ。…おいで」
死は妖艶に微笑み、下ろしている腰を浮かせた。
するとその隙に、彼はズボンから勃ち上がった自身のを取り出す。
「…そうだ。いつも貴方に動いてもらってばかりだから、今日は僕が動きます。貴方は横になっていて」
死の頭の後ろに手を添えると、そのまま左側に倒れ込ませる。仰向けになった死の上に、彼が覆い被さる体勢となった。
「頭とか体、大丈夫ですか?痛くない?」
木製の長椅子のため、固い場所に寝転んでいる死を気遣う彼。
月よりもあとに童貞を卒業したのに、もうすでに月以上に男としての質が上がっていた。月は気遣うどころか、未だに押し倒すことだってできない。
死はまたしても、密かに月と彼を比べている。
……ああ、忘れていた。彼に返事をしなければ。
「痛くないから、早く。夜が明けてしまう」
ねだるように腰を揺らす死。
月のことはいい。今は彼と楽しもう。
「…ふふ。強欲なのはどっちだか」
誘われた彼は、死の足を大きく開かせると、中へと自身を深く埋め込む。
「んんっ…」
指とは比べものにならないその圧迫感に、死は体を仰け反らせて喘ぐ。はだけた胸が、彼の目の前へと晒された。
彼は腰を動かしながら、かわいい色のぷっくりとしたそれの片方へとしゃぶりつく。
「あッ…」
あたたかい口内とぬるりとした感覚を胸で感じ、びくりと体が震えた。
彼はそのままちゅうっと強く吸い付いたり、舌で転がしたり、唇で甘噛みしたりと、死から教え込まれたあらゆるテクニックを使って死の感度を高めていった。
もう片方も忘れておらず、指でつまんだり、弾いたり、ころころと転がしたりして可愛がる。
「ぁんッ あッ はぁ…ッ」
ギシッギシッと律動に合わせて長椅子の軋む音と、死の嬌声が教会内に鳴り響いていた。
じゅぼっじゅぼっと奥を突かれながら胸も刺激され続け、死のそれも徐々に反応しはじめる。
そのことに気付いた彼は、死も感じているのだと嬉しくなった。
今どんな顔をしているのか見たい。そう思った彼は、胸を舐めるのを一旦やめると、顔を上げて死を見た。
「…ッ」
その姿に息を呑む。
レースの下の乱れた髪と紅く染まったその顔。蕩けた瞳はうるうると潤み、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
小さな口の端からは甘い蜜のような液体がたらたらと垂れ落ち、中に覗くピンクの舌もその蜜でたっぷりと濡れていた。「はぁ…はぁ…」と漏れる息さえも美味そうに思えた。
死の中で、ズクンッ…と彼のがまた大きくなる。
我慢できずに、彼はその唇へと食らいついた。
「んっ」
「ん、んん…ッ」
貪るように死の口内を犯しながら、腰の動きをさらに激しくしていく。
ぬぢゅぬぢゅと響く水音も、ふたりをより興奮させた。
すると死は彼の首へと腕を回した。そのままぎゅっと頭を抱きしめる。
まるで縋り付きながら、「もっと、もっと」と求めているかのようなその行為に
彼の中の独占欲というものが、ゾクリ…と顔を覗かせた。
「は…ッ」
彼は死の足をぐっと掴んで、もう一度大きく開かせる。
そして、ドロドロとしたドス黒い欲望をぶつけるように、思いきりその腰を打ち付けた。
「あぁッ」
死からひときわ大きな声があがった。
いつもの優しい彼からは想像もできないほどの強い突きだった。
さらに激しく、ガクガクと死を揺さぶり続ける彼。
相手を気遣う様子は一切ない、ただただ自分の欲望のためだけのような行為。
最初に死を心配していたのが嘘のようだ。怪我をさせそうなほどの勢いで、彼は死を攻めたてる。
「あッ あ"ぁッ」
絶える事なく与えられる強すぎる刺激に死はただ喘いでいた。その様は、地上にいるのにまるで溺れているかのように苦しげだ。…しかし、その口元は微かに笑っているように見えた。
彼にここまで酷く乱されるのは初めてだったのだ。今までに味わえなかった未知の快楽に体が喜んでいた。
…それは彼も同じだ。
「はぁッ はぁッ… とまらない…ッ」
夢中で腰を振りながら、独り言のようにそんな言葉を吐き出す彼。
体だけではない。死への思いも、愛おしさも、欲望も、あふれて止まらなくなっていた。
…思えば、この人とはただの体だけの関係だ。親友でも、ましてや恋人同士でもない。
たまにしか会うことはないが、本当は毎日だって会いたいくらいだった。
会っていない間、この人は一体どこで何をしているのだろう。誰かと会っていたりするのだろうか。
さらに奇妙なことに、体を交える仲であるがお互いの名も今まで一度も口にしたことはない。この人が名乗りたくないのなら、と深く詮索はしなかったのだが。
……ああ。自分は今 目の前にいるこの人のことをなんにも知らないのか。
彼は動き続けながら、今抱いている相手をじっと見つめる。
美しく、気高く、自分よりもずっと大人に思えるその人。
しかし、抱かれている時は少し違う。淫らに体をよじり、甘い声で啼き、感じ入っているような表情で妖艶な笑みを浮かべるその人。こんなにも心を奪われる人なんてきっともうどこにもいない。
この人のことをもっと知りたい。
この人に名前を呼んで欲しい。
この人の名前を呼びたい。
この人の特別になりたい。
この人が欲しい。
「…欲しい 貴方が欲しいッ…」
閉じ込めるように死へと覆い被さり、その体を強く抱きしめる。
「く…ッ」
そして腰をグッ…と押し付けると、中の奥深くに植え付けるように大量の精を吐き出した。
「んんんッ…」
腹の中に熱い液体が注がれたのを感じると、死も同じく精を吐き出した。
それは死の腹の上へと流れ出す。外も中も、熱い液体にまみれた。
荒い呼吸を繰り返すふたり。
…行為は終わったはずだが、いつもと違って今日の彼はまだ死から離れようとはしない。
「はあっ…はあっ… まだ、足りない…ッ」
力がこもった手で、死の足をぐっと掴む。
獣のようなギラギラとした目が死を捕らえた。
「…ふふ」
死はそんな目を受けて静かに笑うと、首に回したままの腕でさらに彼を引き寄せた。
まるで甘やかすかのように、頭を優しく優しく撫でる。
そして、彼の耳元で妖しく囁いた。
「ああ。お前が満足するまで、楽しもうね」