Kyrie ―哀れみたまえ―
11
「テッド!待っててくれたんだ!」
「お疲れ」
士官学校の制服に身を包んだユエが門に寄りかかる俺をみた瞬間に、ふわりと笑う。
ほんの一瞬前まで一つの隙も見せずに凍りついたような顔でもくもくと歩いていた“テオ将軍の息子”の変化に、驚く同級生たちに、かすかな優越感を感じて。
「今日遊びに行く予定だっただろ?」
「そうだったね!」
俺とユエが仲良くなってから、屋敷の人たちは気を使ったのか、週に一度はユエを休ませることにしたようだった。
今日は講義も、修行もない。
だから、これから出かけることにしていたのだ。
こっそり変装して、下町に二人っきりで。
「テッドが迎えに来てくれるなんて思わなかった」
「・・・・・・・まぁ、な」
俺だってそんな予定でいたんじゃない。
だけど、時計を見上げるグレミオさんに、たまには迎えにいこうかと気まぐれを起こしただけだ。
「行こうか」
「うん」
何気なく差し出された手に気がつかなかったふりをして。
ちょっと傷ついた顔から目をそむけて。
だって、そうしなければユエが危ないのだから。
気がつけば、俺がグレックミンスターに来て、半年が経過しようとしていた。
自分の中で発せられてる警告から必死に目をそむけて。
俺は、それをわかっていて、あえて・・・向き合わなかった。
そのツケを何度も払ってきたのに。
手合わせを、といわれたときも。
勉強するユエの傍でそれを眺めているときも。
おやつを食べようと笑うユエに笑顔を返すときも。
ずっと、自分の中のそれから、目をそむけようとしていた。
自分にも、自覚がないまま。
それがなぜなのか、考えようともしなかった。
大丈夫だ、と。
もう何が起こるかわかってるのだから…それが起こる事などないとたかをくくって。
あと少しだけ。
少しだけ踏み出しても。
喰われたりなんか、しないはず・・・・・・
だって、俺はわかってるんだから。
俺が、好きになった人を、この紋章が喰らっていくことを・・・・・・
だから・・・好きになりさえしなければ・・・大丈夫だ・・・・・・
「テッド!待っててくれたんだ!」
「お疲れ」
士官学校の制服に身を包んだユエが門に寄りかかる俺をみた瞬間に、ふわりと笑う。
ほんの一瞬前まで一つの隙も見せずに凍りついたような顔でもくもくと歩いていた“テオ将軍の息子”の変化に、驚く同級生たちに、かすかな優越感を感じて。
「今日遊びに行く予定だっただろ?」
「そうだったね!」
俺とユエが仲良くなってから、屋敷の人たちは気を使ったのか、週に一度はユエを休ませることにしたようだった。
今日は講義も、修行もない。
だから、これから出かけることにしていたのだ。
こっそり変装して、下町に二人っきりで。
「テッドが迎えに来てくれるなんて思わなかった」
「・・・・・・・まぁ、な」
俺だってそんな予定でいたんじゃない。
だけど、時計を見上げるグレミオさんに、たまには迎えにいこうかと気まぐれを起こしただけだ。
「行こうか」
「うん」
何気なく差し出された手に気がつかなかったふりをして。
ちょっと傷ついた顔から目をそむけて。
だって、そうしなければユエが危ないのだから。
気がつけば、俺がグレックミンスターに来て、半年が経過しようとしていた。
自分の中で発せられてる警告から必死に目をそむけて。
俺は、それをわかっていて、あえて・・・向き合わなかった。
そのツケを何度も払ってきたのに。
手合わせを、といわれたときも。
勉強するユエの傍でそれを眺めているときも。
おやつを食べようと笑うユエに笑顔を返すときも。
ずっと、自分の中のそれから、目をそむけようとしていた。
自分にも、自覚がないまま。
それがなぜなのか、考えようともしなかった。
大丈夫だ、と。
もう何が起こるかわかってるのだから…それが起こる事などないとたかをくくって。
あと少しだけ。
少しだけ踏み出しても。
喰われたりなんか、しないはず・・・・・・
だって、俺はわかってるんだから。
俺が、好きになった人を、この紋章が喰らっていくことを・・・・・・
だから・・・好きになりさえしなければ・・・大丈夫だ・・・・・・