1年生(親世代) 完結 (99話)
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43
とある日の、魔法史。
「ん?なにかしら、これ・・・」
かさり、と指先にふれた感触に、心当たりはなかった。
と、いうか。
あたしは寮を出てからここに座るまで、一度もこの教科書の類から手を放してはいない。
寮を出る前に、教科書はそろえたが、そのときには決してこんなものはなかった。
・・・・・・・・・・・・あやしい。
「ええと?」
目の前に持ち上げてみる。
・・・・・・手紙?
「あら、ラブレター!?」
え?らぶれたー??
「サク!誰から?」
いや~…女の子ってどこの国もいつの時代も変わらないわね…
そんなに覗き込まなくたってみせ・・・・・・
「ト、ム・・・?」
「トム・M・…リドル?」
自分の目が、信じられなかった。
なぜ。どうして?
どうして、彼からの手紙がここにある!?
差出人の名前は、TOM・M・RIDDLE。
その名前は。
手が、小刻みに震えた。
吐息すらも震えているような気がした。
「サクラ・キリュウさま。いつも元気なあなたを見かけて以来、いつもあなたの姿を目で追っています。この思いをあなたに伝えたい。どうか、今日の4時。地下教室の隣、小さい今は使われていない教室においでください。お待ちしてます…ですって!!」
「すごーい!サク、行くわよね!?」
「う、うん・・・・・・・・・」
それは、彼なのだろうか。
かつての、あの日記のなかにいるような、彼なのだろうか。
それとも。
握り締めた手紙が、くしゃり、とゆがんだ。
「来たわよ。姿を現しなさいよ」
杖を硬く握り締めて、あたしはぎゅっと目を閉じて…宙をにらみつけた。
怖い。
死ぬことが、こんなにも怖い。
おそらく、彼と出会うということは死と直結している。
通り道に迷い出たがために殺された、セドリック・ディゴリー。
付けねらわれた、ジェームズとリリー。
殺された、多くの魔法使い。
そして、最初の犠牲者。マートル。
かたん、と小さな音が・・・あたしのとがった神経にひっかかった。
「出てきなさいよ。トム・マールヴォロ・リドル。いいえ・・・ヴォルデモート卿!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・え?
「よくきたな」
「・・・・・・マルフォイ!?」
そこにいたのは、銀の髪の…スリザリン生。
「闇の帝王の御名まで知るか・・・」
その秀麗な顔に皮肉を浮かべて、ルシウス・マルフォイは唇だけで笑った。
「どこまで私の興味をそそる?」
近寄ってきたマルフォイが、あたしの髪をすくって、口付けた。
「・・・この手紙は」
「私が出した」
「――――――――――――――――・・・・・・・・・」
どっと、汗があふれ出した。
無意識にとめていた息を吐き出す。
体中から、力が抜けて、今にも座り込みそうだった。
「なんの変哲もない、かつての偉大なる先輩の名。それをかの人と結びつけるものは少ない」
「・・・なぜ?」
「私の父はかの人とご学友でね」
「下僕ではなく?」
くっと喉で笑って、マルフォイがあたしの手を取る。
味方、ではありえない。
それは、『秘密の部屋』での彼の行動が示している。
ヴォルデモート卿にすら、抜け目がないと言わしめる彼が、学生であるからといってその本質を欠くとはとても思えなかった。
「お前は、おもしろい」
「そう」
手を、腕を引き寄せて・・・髪に、耳に、頬に唇を触れたマルフォイが、わざとらしいぐらいにゆっくりと、あたしの唇の脇に、キスをした。
「誰も、そのようなことを考えるものはいない。あの方は偉大。それは、動かしようのない事実」
「真に偉大なものは、ヴォルデモートじゃない」
真に偉大なものは。
ハリー・ポッター。
幾多の闇に、立ち向かう勇気と、涙を持った、『生き残った男の子』。
成したことよりも、その力よりも、なによりも…すべてをなくしてなお泣きながら立ち上がり続ける、その姿こそが。
真に偉大だと。
「放してちょうだい」
今は、あなたの相手をする気になれない。
早く、帰り着きたかった。
あたしが、安心できる場所に。
一刻も、早く。
「嫌だ、と言ったら?」
「放して」
自分でも驚くぐらい冷徹に響いたその言葉に、マルフォイの顔が、ゆがんだ。
「あまりいい気になるなよ?」
ぐっと、喉に大きな手が添えられる。
「どうするの?」
「二度と目をそらすことが出来ないように・・・」
しゅるりとその首から解かれたネクタイが、あたしの顔にまきついた。
視界が、緑と銀でふさがれる。
「こうして・・・すべてを閉じて隠してしまおうか・・・」
耳元にささやかれる声が、ぞくりとするほど冷たく・・・やさしく響いた。
「お前が、私を見るように。私を感じるように。私の声を聞くように」
「・・・思い通りにならない娘はお嫌いでしょう?」
「・・・・・・・・なに?」
「あなたは、すべてを自分の計算の下に、支配したいだけ。それは・・・」
振り払った手で、ネクタイをつかんだ。
視界に入る、白金の髪。
「ヴォルデモートに対しても同じこと」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あなたは退屈が嫌いなだけ。いつも変わったことを探してる」
「お前、は・・・」
「でも、真の意味であなたの予想に入らない人間は、必要ないと思ってる」
すべては、己の思うがままに。
すべてを予測したつもりで、幾通りもの予想を張り巡らせて、そのどこかに引っかかるものが、あなたの世界のすべて。
その範疇に入らないものは、除外する。
それがあなたのやり方でしょう?
「あたしは、あなたの思い通りになるかもしれない」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、なりたくないから、あなたの思い通りにならないように行動するわ」
挑戦するように、一歩も引くことないのだという意思を込めて。
あたしは、マルフォイをみつめた。
にらむというほど、熱くなく。冷めた視線でもなく。
ただただ、この思いを貫き通すように。
と、マルフォイの顔が、薄ら笑いでも、作り笑いでも冷笑でもなく、ほころんだ。
初めて年相応の青年に見えた。
「困ったな。本当にお前を私の物にしたくなった」
「あんたにはナルシッサがいるでしょ?」
「あれは、婚約者だ」
「・・・同じでしょう?」
「いいや。純血の一族として、マルフォイの跡取りとして、最良の妻を選んだ。ただそれだけだ。意思があろうとなかろうと私には関係がない」
「・・・最低ね」
限界だ。
「ごめんなさい。今日は失礼するわ。用事はこれで済んだでしょう?」
返答を待つことなく、あたしは扉をすり抜けて、階段を駆け上った。
悟られるわけにはいかなかった。
こんなに、冷え切った指先を。
とある日の、魔法史。
「ん?なにかしら、これ・・・」
かさり、と指先にふれた感触に、心当たりはなかった。
と、いうか。
あたしは寮を出てからここに座るまで、一度もこの教科書の類から手を放してはいない。
寮を出る前に、教科書はそろえたが、そのときには決してこんなものはなかった。
・・・・・・・・・・・・あやしい。
「ええと?」
目の前に持ち上げてみる。
・・・・・・手紙?
「あら、ラブレター!?」
え?らぶれたー??
「サク!誰から?」
いや~…女の子ってどこの国もいつの時代も変わらないわね…
そんなに覗き込まなくたってみせ・・・・・・
「ト、ム・・・?」
「トム・M・…リドル?」
自分の目が、信じられなかった。
なぜ。どうして?
どうして、彼からの手紙がここにある!?
差出人の名前は、TOM・M・RIDDLE。
その名前は。
手が、小刻みに震えた。
吐息すらも震えているような気がした。
「サクラ・キリュウさま。いつも元気なあなたを見かけて以来、いつもあなたの姿を目で追っています。この思いをあなたに伝えたい。どうか、今日の4時。地下教室の隣、小さい今は使われていない教室においでください。お待ちしてます…ですって!!」
「すごーい!サク、行くわよね!?」
「う、うん・・・・・・・・・」
それは、彼なのだろうか。
かつての、あの日記のなかにいるような、彼なのだろうか。
それとも。
握り締めた手紙が、くしゃり、とゆがんだ。
「来たわよ。姿を現しなさいよ」
杖を硬く握り締めて、あたしはぎゅっと目を閉じて…宙をにらみつけた。
怖い。
死ぬことが、こんなにも怖い。
おそらく、彼と出会うということは死と直結している。
通り道に迷い出たがために殺された、セドリック・ディゴリー。
付けねらわれた、ジェームズとリリー。
殺された、多くの魔法使い。
そして、最初の犠牲者。マートル。
かたん、と小さな音が・・・あたしのとがった神経にひっかかった。
「出てきなさいよ。トム・マールヴォロ・リドル。いいえ・・・ヴォルデモート卿!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・え?
「よくきたな」
「・・・・・・マルフォイ!?」
そこにいたのは、銀の髪の…スリザリン生。
「闇の帝王の御名まで知るか・・・」
その秀麗な顔に皮肉を浮かべて、ルシウス・マルフォイは唇だけで笑った。
「どこまで私の興味をそそる?」
近寄ってきたマルフォイが、あたしの髪をすくって、口付けた。
「・・・この手紙は」
「私が出した」
「――――――――――――――――・・・・・・・・・」
どっと、汗があふれ出した。
無意識にとめていた息を吐き出す。
体中から、力が抜けて、今にも座り込みそうだった。
「なんの変哲もない、かつての偉大なる先輩の名。それをかの人と結びつけるものは少ない」
「・・・なぜ?」
「私の父はかの人とご学友でね」
「下僕ではなく?」
くっと喉で笑って、マルフォイがあたしの手を取る。
味方、ではありえない。
それは、『秘密の部屋』での彼の行動が示している。
ヴォルデモート卿にすら、抜け目がないと言わしめる彼が、学生であるからといってその本質を欠くとはとても思えなかった。
「お前は、おもしろい」
「そう」
手を、腕を引き寄せて・・・髪に、耳に、頬に唇を触れたマルフォイが、わざとらしいぐらいにゆっくりと、あたしの唇の脇に、キスをした。
「誰も、そのようなことを考えるものはいない。あの方は偉大。それは、動かしようのない事実」
「真に偉大なものは、ヴォルデモートじゃない」
真に偉大なものは。
ハリー・ポッター。
幾多の闇に、立ち向かう勇気と、涙を持った、『生き残った男の子』。
成したことよりも、その力よりも、なによりも…すべてをなくしてなお泣きながら立ち上がり続ける、その姿こそが。
真に偉大だと。
「放してちょうだい」
今は、あなたの相手をする気になれない。
早く、帰り着きたかった。
あたしが、安心できる場所に。
一刻も、早く。
「嫌だ、と言ったら?」
「放して」
自分でも驚くぐらい冷徹に響いたその言葉に、マルフォイの顔が、ゆがんだ。
「あまりいい気になるなよ?」
ぐっと、喉に大きな手が添えられる。
「どうするの?」
「二度と目をそらすことが出来ないように・・・」
しゅるりとその首から解かれたネクタイが、あたしの顔にまきついた。
視界が、緑と銀でふさがれる。
「こうして・・・すべてを閉じて隠してしまおうか・・・」
耳元にささやかれる声が、ぞくりとするほど冷たく・・・やさしく響いた。
「お前が、私を見るように。私を感じるように。私の声を聞くように」
「・・・思い通りにならない娘はお嫌いでしょう?」
「・・・・・・・・なに?」
「あなたは、すべてを自分の計算の下に、支配したいだけ。それは・・・」
振り払った手で、ネクタイをつかんだ。
視界に入る、白金の髪。
「ヴォルデモートに対しても同じこと」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あなたは退屈が嫌いなだけ。いつも変わったことを探してる」
「お前、は・・・」
「でも、真の意味であなたの予想に入らない人間は、必要ないと思ってる」
すべては、己の思うがままに。
すべてを予測したつもりで、幾通りもの予想を張り巡らせて、そのどこかに引っかかるものが、あなたの世界のすべて。
その範疇に入らないものは、除外する。
それがあなたのやり方でしょう?
「あたしは、あなたの思い通りになるかもしれない」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、なりたくないから、あなたの思い通りにならないように行動するわ」
挑戦するように、一歩も引くことないのだという意思を込めて。
あたしは、マルフォイをみつめた。
にらむというほど、熱くなく。冷めた視線でもなく。
ただただ、この思いを貫き通すように。
と、マルフォイの顔が、薄ら笑いでも、作り笑いでも冷笑でもなく、ほころんだ。
初めて年相応の青年に見えた。
「困ったな。本当にお前を私の物にしたくなった」
「あんたにはナルシッサがいるでしょ?」
「あれは、婚約者だ」
「・・・同じでしょう?」
「いいや。純血の一族として、マルフォイの跡取りとして、最良の妻を選んだ。ただそれだけだ。意思があろうとなかろうと私には関係がない」
「・・・最低ね」
限界だ。
「ごめんなさい。今日は失礼するわ。用事はこれで済んだでしょう?」
返答を待つことなく、あたしは扉をすり抜けて、階段を駆け上った。
悟られるわけにはいかなかった。
こんなに、冷え切った指先を。