1年生(親世代) 完結 (99話)
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そいつは、突然襲ってきた。
いつものように図書館で、本を広げてお勉強。
羊皮紙でカリカリと書き進めながら、ふっと視線をあげたとき。
そいつは、やってきた。
ぽてっと音がしそうな様子で積み上げられた本の上に着地したそいつは・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ふよふよとゆれる、まるでひだのような異形の触覚。
ふわふわとした襟首と、羽にびっしりとついたりんぷん。
つぶらなつもりでかなり気持ち悪い巨大な目!
さらに!羽のキモチワルイまだら模様!!!!
「――――――――――――――――――っっっ」
いやああああああああああああああ!!!!!!
あたしは、視界に入った旧知の人に、ぐわしっと抱きついた。
「こ、こら!!何をする?!」
ぎゃー!!気持ち悪い気持ち悪いキモチワルイ!!!!
「なにがどうした!?おいっしがみつくな!離れろ!!」
「いやあああああああああ!!!!!!」
「おいっ!!マダムに怒られる!いいから落ち着け!!」
「たすけてええええ!」
「・・・・・・・・・・・なにがあった」
あきらめたように肩を落としたセブちゃんは、ふかいふかーいため息を肺から空気がなくなるんじゃないか、というほど吐き出した。
「蛾!?」
「そうなの!!キモチワルイの!!」
「蛾ごときでそんなに騒ぐな!!」
「騒ぐわよ!キモチワルイのよ!!」
想像しただけでぞわぞわする!
もう、ひたすらに嫌いなのだ。
あれだけは!!!!
うっかり間近で見てしまった、あの植物に似た、奇妙な触覚。
あれがなんとも形容しがたい、まるで虫が這うような動きをすることを知ったとき、知りたくなかった!と心から絶叫した。
こう・・・こまかな一本一本がうねうねと・・・・・・
いやあああああじんましんでるうううう
胸とでも言うんだろうか、頭の下にある、ふわふわとした毛。あれだけならなんともない。ないが、あれにこまかくちりばめられているりんぷんが・・・りんぷんが・・・っっ
産毛でも生えたかのようにふわふわとした羽根。その上、びっしりとついたりんぷんが羽根を動かすたびにはらはらはらはらと舞い落ちるし!
なんとも形容しがたいまだら模様。まして、あの色の不気味さが・・・不気味さが・・・!!!
その上、あのぽってりとした胴体が・・・胴体がつぶれたときの気持ち悪さといったら!!!!!!
ひいいいいいいいい
あたしは、アレを同じ地球上の生物として認定したくない!!
断じてお断りしたい!!
「もうとっくに逃げてるだろう?」
「甘いわよ!!あいつらはしぶといのよ!そう簡単にはいなくならないんだから!!」
あの、夏の夜に明かりに群がる蛾の数としぶとさといったら!!
その場に殺虫剤をまきつくして死体が燃え上がるように下に火をたいてやりたい気分よ!!
「それで、どうしたいんだ?」
「おっぱらって!あたしの気配のある範囲から!!」
「・・・・・・気配って・・・」
「セブちゃんいろんな呪い知ってるでしょ!アレにかけてよ!!それで抹殺してよ!!」
「・・・お前、なぁ・・・・・・」
無茶苦茶なことをいうな、と目をつりあげたって、セブちゃんより蛾の方が怖い!!いや!嫌い!!
「とりあえず、追い払えばいいのか?」
こくこく、とうなずくと、セブちゃんは無言であたしの座っていた場所に歩き出した。
慌てて追っかける。
でも、正面からあんなものにぶつかりたくない。
だから、セブちゃんを盾にしながらおそるおそるである。
「や、ちょっとそんなに早く歩かないでよ・・・!」
いつもと変わりない調子ですたすた歩かれたらついていけない!!
「一体、あれのなにがそんなに怖いんだ・・・」
「こわくない!!キモチワルイの!!」
はあ、とため息をついたセブちゃんが仕方ない、とつぶやいて・・・あたしに手を差し出した。
「ほら。つないでいくぞ」
「え・・・?」
「しがみつかれると歩きにくい」
さっさとあたしの手をわしづかみにしたセブちゃんがさっきより早足で歩き出す。
こーいうとこがシリウスより気が利かないっていうか・・・
でも、ま。
いっか。
いる!!
やっぱりいる!!!!
「ひ・・・」
「だから、騒ぐな。ちゃんと追い払ってやるから」
離れた手に、落ち着かなくてローブの背中をぎゅっと握り締めた。
「・・・そんなに怖いのか?」
「嫌いなの!!」
「仕方ない・・・つかまってろ」
おうともさ!!
セブちゃんの手が、あっさりと不用意に蛾を払った。
ふわっとその手から逃れた蛾が・・・・・・
「ぎゃー!!こっちくるこっちくる!!」
「引っ張るな!苦しい!!」
かまってられないわよ!!
ぎゃー!!ちかづくなー!!!!
セブちゃん!盾になって!!
「蛾嫌い嫌い嫌い嫌い!!!!」
「わかった!わかったから落ち着け!!」
杖を取り出してナニゴトかつぶやき、蛾に杖を向けると、蛾は・・・いなくなった!!
「セブちゃんっありがと!!」
「セブちゃんはやめろ!」
「やだ」
「・・・・・・・・・助けてやるんじゃなかった・・・」
げっそりと肩を落としたセブちゃんがあたしを見て・・・軽く目を見開く。
お?なんか驚いてる?
「・・・なんだ、泣いてるのか?」
「え?」
目元に手をやると、目じりににじんでいた涙が指に伝い落ちた。
「そんなに怖かったのか・・・仕方ないやつだな」
ぽん、と頭におかれた手が・・・暖かい。
別にそんなに怖かったわけではないんだけど。
でも・・・まぁ、こういうのってうれしいからいいか。
「ありがと」
「ほら。ちゃんと顔を拭け」
意外ときれいなハンカチがぽん、と手渡された。
「・・・きれいね。ハンカチ」
「お前は僕を馬鹿にしてるのか!?」
「いや、してないしていない。ごめんなさい」
はっはっは。つい・・・
薬草のような、独特な香りがする。
でも別に・・・そんなに嫌なにおいじゃない。
「・・・ありがとう・・・洗って返すわね」
「気にするな。で、もういいか?」
「うん。助かったわ」
うわ~・・・もうこんな時間?
レポートレポート・・・
と、椅子に座ったあたしの背後から、いなくなったと思っていたセブちゃんの声が聞こえた。
「次は・・・もうちょっと静かに呼びに来い」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?
こ、この人どんな顔してこんなこと言ってんの!?
振り返った先には、もう彼の姿はなくて。
ちょっとだけ・・・うれしい気持ちが・・・あたしの中に残っていた。
そいつは、突然襲ってきた。
いつものように図書館で、本を広げてお勉強。
羊皮紙でカリカリと書き進めながら、ふっと視線をあげたとき。
そいつは、やってきた。
ぽてっと音がしそうな様子で積み上げられた本の上に着地したそいつは・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ふよふよとゆれる、まるでひだのような異形の触覚。
ふわふわとした襟首と、羽にびっしりとついたりんぷん。
つぶらなつもりでかなり気持ち悪い巨大な目!
さらに!羽のキモチワルイまだら模様!!!!
「――――――――――――――――――っっっ」
いやああああああああああああああ!!!!!!
あたしは、視界に入った旧知の人に、ぐわしっと抱きついた。
「こ、こら!!何をする?!」
ぎゃー!!気持ち悪い気持ち悪いキモチワルイ!!!!
「なにがどうした!?おいっしがみつくな!離れろ!!」
「いやあああああああああ!!!!!!」
「おいっ!!マダムに怒られる!いいから落ち着け!!」
「たすけてええええ!」
「・・・・・・・・・・・なにがあった」
あきらめたように肩を落としたセブちゃんは、ふかいふかーいため息を肺から空気がなくなるんじゃないか、というほど吐き出した。
「蛾!?」
「そうなの!!キモチワルイの!!」
「蛾ごときでそんなに騒ぐな!!」
「騒ぐわよ!キモチワルイのよ!!」
想像しただけでぞわぞわする!
もう、ひたすらに嫌いなのだ。
あれだけは!!!!
うっかり間近で見てしまった、あの植物に似た、奇妙な触覚。
あれがなんとも形容しがたい、まるで虫が這うような動きをすることを知ったとき、知りたくなかった!と心から絶叫した。
こう・・・こまかな一本一本がうねうねと・・・・・・
いやあああああじんましんでるうううう
胸とでも言うんだろうか、頭の下にある、ふわふわとした毛。あれだけならなんともない。ないが、あれにこまかくちりばめられているりんぷんが・・・りんぷんが・・・っっ
産毛でも生えたかのようにふわふわとした羽根。その上、びっしりとついたりんぷんが羽根を動かすたびにはらはらはらはらと舞い落ちるし!
なんとも形容しがたいまだら模様。まして、あの色の不気味さが・・・不気味さが・・・!!!
その上、あのぽってりとした胴体が・・・胴体がつぶれたときの気持ち悪さといったら!!!!!!
ひいいいいいいいい
あたしは、アレを同じ地球上の生物として認定したくない!!
断じてお断りしたい!!
「もうとっくに逃げてるだろう?」
「甘いわよ!!あいつらはしぶといのよ!そう簡単にはいなくならないんだから!!」
あの、夏の夜に明かりに群がる蛾の数としぶとさといったら!!
その場に殺虫剤をまきつくして死体が燃え上がるように下に火をたいてやりたい気分よ!!
「それで、どうしたいんだ?」
「おっぱらって!あたしの気配のある範囲から!!」
「・・・・・・気配って・・・」
「セブちゃんいろんな呪い知ってるでしょ!アレにかけてよ!!それで抹殺してよ!!」
「・・・お前、なぁ・・・・・・」
無茶苦茶なことをいうな、と目をつりあげたって、セブちゃんより蛾の方が怖い!!いや!嫌い!!
「とりあえず、追い払えばいいのか?」
こくこく、とうなずくと、セブちゃんは無言であたしの座っていた場所に歩き出した。
慌てて追っかける。
でも、正面からあんなものにぶつかりたくない。
だから、セブちゃんを盾にしながらおそるおそるである。
「や、ちょっとそんなに早く歩かないでよ・・・!」
いつもと変わりない調子ですたすた歩かれたらついていけない!!
「一体、あれのなにがそんなに怖いんだ・・・」
「こわくない!!キモチワルイの!!」
はあ、とため息をついたセブちゃんが仕方ない、とつぶやいて・・・あたしに手を差し出した。
「ほら。つないでいくぞ」
「え・・・?」
「しがみつかれると歩きにくい」
さっさとあたしの手をわしづかみにしたセブちゃんがさっきより早足で歩き出す。
こーいうとこがシリウスより気が利かないっていうか・・・
でも、ま。
いっか。
いる!!
やっぱりいる!!!!
「ひ・・・」
「だから、騒ぐな。ちゃんと追い払ってやるから」
離れた手に、落ち着かなくてローブの背中をぎゅっと握り締めた。
「・・・そんなに怖いのか?」
「嫌いなの!!」
「仕方ない・・・つかまってろ」
おうともさ!!
セブちゃんの手が、あっさりと不用意に蛾を払った。
ふわっとその手から逃れた蛾が・・・・・・
「ぎゃー!!こっちくるこっちくる!!」
「引っ張るな!苦しい!!」
かまってられないわよ!!
ぎゃー!!ちかづくなー!!!!
セブちゃん!盾になって!!
「蛾嫌い嫌い嫌い嫌い!!!!」
「わかった!わかったから落ち着け!!」
杖を取り出してナニゴトかつぶやき、蛾に杖を向けると、蛾は・・・いなくなった!!
「セブちゃんっありがと!!」
「セブちゃんはやめろ!」
「やだ」
「・・・・・・・・・助けてやるんじゃなかった・・・」
げっそりと肩を落としたセブちゃんがあたしを見て・・・軽く目を見開く。
お?なんか驚いてる?
「・・・なんだ、泣いてるのか?」
「え?」
目元に手をやると、目じりににじんでいた涙が指に伝い落ちた。
「そんなに怖かったのか・・・仕方ないやつだな」
ぽん、と頭におかれた手が・・・暖かい。
別にそんなに怖かったわけではないんだけど。
でも・・・まぁ、こういうのってうれしいからいいか。
「ありがと」
「ほら。ちゃんと顔を拭け」
意外ときれいなハンカチがぽん、と手渡された。
「・・・きれいね。ハンカチ」
「お前は僕を馬鹿にしてるのか!?」
「いや、してないしていない。ごめんなさい」
はっはっは。つい・・・
薬草のような、独特な香りがする。
でも別に・・・そんなに嫌なにおいじゃない。
「・・・ありがとう・・・洗って返すわね」
「気にするな。で、もういいか?」
「うん。助かったわ」
うわ~・・・もうこんな時間?
レポートレポート・・・
と、椅子に座ったあたしの背後から、いなくなったと思っていたセブちゃんの声が聞こえた。
「次は・・・もうちょっと静かに呼びに来い」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?
こ、この人どんな顔してこんなこと言ってんの!?
振り返った先には、もう彼の姿はなくて。
ちょっとだけ・・・うれしい気持ちが・・・あたしの中に残っていた。