1年生(親世代) 完結 (99話)
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32
あ。発見。
「ルシウス・マルフォーイ!!!!」
廊下の向こうで、あたしの宿敵がくるり、と振り返った。
感謝しなさい!!宿敵にまで格上げしてあげたわよ!!
「あんたねー!!」
だかだかだかだかっと。
え?廊下は走るな?
なんのことかしら。
そんなルール、あたしの辞書にはないわ。
「・・・足が速いな。意外と」
「なんか言った?」
なんか聞こえたけど?
意外とはナニゴトだ!!
「お前、ルシウスさまに声をかけるなど・・・っ」
は?ルシウス、さま?
ルシウスがちらっと視線をやって…どっからどうみても下僕な、さま付けで読んだ人を追っ払う。
・・・すごーい。目と目で通じ合ってる~
って、あんたは支配者か・・・・・・
「それで、なんだ?」
「あ、そうだ!!よくもあたしをだましたわね!!」
「なんのことだ?」
「しらばっくれてんじゃないわよ・・・!」
まったく!!おかげでシリウスにおこられたじゃないの!!
「だから、なんだ?」
くっそー・・・面白そーな顔して・・・っ
「シリウスのことよ!し・り・う・す・の!!」
つめよったあたしに、彼はいけしゃあしゃあとおっしゃいました。
「ああ。ブラック家のことか。知らなかったのか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・あんた。喧嘩売ってんのね?
売ってるのね?
買ってやろーじゃないのよ!!
「上等!!」
杖を掴み取ったあたしを面白そうに見ていたルシウスの顔に、かすかに驚きと緊張が見て取れた。
と、思ったら。
ふわっと。持ち上げられた。
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
腰のあたりに腕が一本。
あたしを軽々と持ち上げている。
「こら。なに暴れてんだ?」
この、声は。
子供の声なんだけど、高すぎなくて。
耳にすんなり入ってきて、ほっとするようなこの声は。
「・・・シリウス」
その名前を呼んだルシウスが、ほんの少し、顔をしかめた。
「久しぶりだな、ルシウス。元気そうで何よりだ」
「…君もな。グリフィンドールは居心地が良いとは思えないが」
「そんなもの、俺の力次第だ」
う~・・・シリウスの顔が見れない。
どんな顔してこれ、言ってるのよ…。
落ち着かないわ。とっても。
それに、おなかのところを抱えられて持ち上げられてるって、かなりつらいです!!
放して、とりあえず、とまわされている腕をたたいてみる。
・・・ますますぎゅっと抱えられた・・・。
暴れてみる。
「・・・・・こら。おとなしくしてろ」
「降ろしてよ」
「ダメだ。暴れるな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
む。
シリウスのくせに・・・
「サクラ、落ち着け」
「・・・・・・・・・・・」
仕方ない。放してもらえなさそうだし、妥協してあげよう・・・。
でも、背中、あったかいし。
シリウス、重くないのかしら・・・
「スリザリンのルシウス・マルフォイがこれに何の用だ?」
「・・・私は呼び止められただけだが?」
「そうか。用事が終わったのならつれて帰るが、いいな?」
・・・それは、願いでも、
自分の願いは当然かなえられるだろうと確信しているような、傲慢な響きを持っていた。
冷たく響く、その声。
明るい笑い声が似合うと思っていた、その耳に心地よい声に、なんて、似合うのだろうと思った。
冷たい響きも、傲慢さも、あまりにもその声には似合っていて。
ルシウスの頬が、一瞬こわばる。
どうやら、奥歯をかみ締めたらしい。
「・・・どうぞ、ご自由に?」
「それでは、失礼」
去るための挨拶も、許可を求めることもなく。
シリウスはあたしを抱えたまま、くるり、と向きを変えた。
すとん、と降ろされる。
「馬鹿」
「・・・・・・なによぉ」
ようやくシリウスの顔が見えて、あたしはほっとした。
よかった。その目に、顔に、傷ついた色はない。
つらそうな、色がない。
「ほら。次の授業行くぞ」
「・・・・・・・・・・・・・」
おもしろくない!!
でも、先に歩き出してしまったシリウスに、あたしはあわてて一歩を踏み出した。
「ああ、そうだ」
後ろから聞こえてきた、優雅とさえいえる声。
「私は、ブラック家に関しては嘘をついたが、レギュラスに関しては嘘をついていないぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・!」
シリウスの気が緩んだ瞬間を狙ったようなタイミングだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
思わず振り返ってにらみつけたあたしに、薄く微笑んで、ルシウス・マルフォイは去っていった。
「・・・シリウス?」
「・・・・・・行くぞ」
「シリウス・・・っ」
レギュラス。
あの、小さな子。
かわいくなくて、生意気で、どうしようもない子供だったけれど。
シリウスは、かわいがっていたはずだった。
「お前は家に関わるな。そういったはずだ」
「でも・・・」
「サクラ。関わるな」
「・・・それなら、あたしの顔をみて。あたしの目を見て。あなたが、一人で傷つこうとしているなら、あたしは黙ってみていることなんてできない」
一人で傷つかないで。
お願いよ。シリウス。
目を伏せたシリウスが、深い、深いため息をついた。
「・・・わかった。レギュラスには手紙を出す。母上たちからの手紙にも返事を書く。それで満足か?」
「・・・そんなこと、言ってない」
あたしは、薄情だし、自分がなんでもできるなんて思ってない。
そんな傲慢なこと、思えない。
あたしが気になるのは、たった一つだ。
あたしが大切だと思える人――――ダンブルドアや、あたしが好きになった、親世代の仲間たちが、できるだけ、傷つかないように。幸せであるように。
ただ、それだけだ。
握り締められた拳にそっと手を伸ばして。
「ごめんね・・・余計なこと、言って」
「・・・・・・・・・いや・・・・・・・・ありがとう」
・・・あたしは、何ができるんだろう。
あと何年かで、家と袂を分かつこの子に、何ができるんだろう。
でも、一つだけできるとすれば。
そのときまで、こうして・・・手を握って、そばにいると伝えることだけなのかもしれない。
あ。発見。
「ルシウス・マルフォーイ!!!!」
廊下の向こうで、あたしの宿敵がくるり、と振り返った。
感謝しなさい!!宿敵にまで格上げしてあげたわよ!!
「あんたねー!!」
だかだかだかだかっと。
え?廊下は走るな?
なんのことかしら。
そんなルール、あたしの辞書にはないわ。
「・・・足が速いな。意外と」
「なんか言った?」
なんか聞こえたけど?
意外とはナニゴトだ!!
「お前、ルシウスさまに声をかけるなど・・・っ」
は?ルシウス、さま?
ルシウスがちらっと視線をやって…どっからどうみても下僕な、さま付けで読んだ人を追っ払う。
・・・すごーい。目と目で通じ合ってる~
って、あんたは支配者か・・・・・・
「それで、なんだ?」
「あ、そうだ!!よくもあたしをだましたわね!!」
「なんのことだ?」
「しらばっくれてんじゃないわよ・・・!」
まったく!!おかげでシリウスにおこられたじゃないの!!
「だから、なんだ?」
くっそー・・・面白そーな顔して・・・っ
「シリウスのことよ!し・り・う・す・の!!」
つめよったあたしに、彼はいけしゃあしゃあとおっしゃいました。
「ああ。ブラック家のことか。知らなかったのか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・あんた。喧嘩売ってんのね?
売ってるのね?
買ってやろーじゃないのよ!!
「上等!!」
杖を掴み取ったあたしを面白そうに見ていたルシウスの顔に、かすかに驚きと緊張が見て取れた。
と、思ったら。
ふわっと。持ち上げられた。
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
腰のあたりに腕が一本。
あたしを軽々と持ち上げている。
「こら。なに暴れてんだ?」
この、声は。
子供の声なんだけど、高すぎなくて。
耳にすんなり入ってきて、ほっとするようなこの声は。
「・・・シリウス」
その名前を呼んだルシウスが、ほんの少し、顔をしかめた。
「久しぶりだな、ルシウス。元気そうで何よりだ」
「…君もな。グリフィンドールは居心地が良いとは思えないが」
「そんなもの、俺の力次第だ」
う~・・・シリウスの顔が見れない。
どんな顔してこれ、言ってるのよ…。
落ち着かないわ。とっても。
それに、おなかのところを抱えられて持ち上げられてるって、かなりつらいです!!
放して、とりあえず、とまわされている腕をたたいてみる。
・・・ますますぎゅっと抱えられた・・・。
暴れてみる。
「・・・・・こら。おとなしくしてろ」
「降ろしてよ」
「ダメだ。暴れるな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
む。
シリウスのくせに・・・
「サクラ、落ち着け」
「・・・・・・・・・・・」
仕方ない。放してもらえなさそうだし、妥協してあげよう・・・。
でも、背中、あったかいし。
シリウス、重くないのかしら・・・
「スリザリンのルシウス・マルフォイがこれに何の用だ?」
「・・・私は呼び止められただけだが?」
「そうか。用事が終わったのならつれて帰るが、いいな?」
・・・それは、願いでも、
自分の願いは当然かなえられるだろうと確信しているような、傲慢な響きを持っていた。
冷たく響く、その声。
明るい笑い声が似合うと思っていた、その耳に心地よい声に、なんて、似合うのだろうと思った。
冷たい響きも、傲慢さも、あまりにもその声には似合っていて。
ルシウスの頬が、一瞬こわばる。
どうやら、奥歯をかみ締めたらしい。
「・・・どうぞ、ご自由に?」
「それでは、失礼」
去るための挨拶も、許可を求めることもなく。
シリウスはあたしを抱えたまま、くるり、と向きを変えた。
すとん、と降ろされる。
「馬鹿」
「・・・・・・なによぉ」
ようやくシリウスの顔が見えて、あたしはほっとした。
よかった。その目に、顔に、傷ついた色はない。
つらそうな、色がない。
「ほら。次の授業行くぞ」
「・・・・・・・・・・・・・」
おもしろくない!!
でも、先に歩き出してしまったシリウスに、あたしはあわてて一歩を踏み出した。
「ああ、そうだ」
後ろから聞こえてきた、優雅とさえいえる声。
「私は、ブラック家に関しては嘘をついたが、レギュラスに関しては嘘をついていないぞ?」
「・・・・・・・・・・・・・!」
シリウスの気が緩んだ瞬間を狙ったようなタイミングだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・っ」
思わず振り返ってにらみつけたあたしに、薄く微笑んで、ルシウス・マルフォイは去っていった。
「・・・シリウス?」
「・・・・・・行くぞ」
「シリウス・・・っ」
レギュラス。
あの、小さな子。
かわいくなくて、生意気で、どうしようもない子供だったけれど。
シリウスは、かわいがっていたはずだった。
「お前は家に関わるな。そういったはずだ」
「でも・・・」
「サクラ。関わるな」
「・・・それなら、あたしの顔をみて。あたしの目を見て。あなたが、一人で傷つこうとしているなら、あたしは黙ってみていることなんてできない」
一人で傷つかないで。
お願いよ。シリウス。
目を伏せたシリウスが、深い、深いため息をついた。
「・・・わかった。レギュラスには手紙を出す。母上たちからの手紙にも返事を書く。それで満足か?」
「・・・そんなこと、言ってない」
あたしは、薄情だし、自分がなんでもできるなんて思ってない。
そんな傲慢なこと、思えない。
あたしが気になるのは、たった一つだ。
あたしが大切だと思える人――――ダンブルドアや、あたしが好きになった、親世代の仲間たちが、できるだけ、傷つかないように。幸せであるように。
ただ、それだけだ。
握り締められた拳にそっと手を伸ばして。
「ごめんね・・・余計なこと、言って」
「・・・・・・・・・いや・・・・・・・・ありがとう」
・・・あたしは、何ができるんだろう。
あと何年かで、家と袂を分かつこの子に、何ができるんだろう。
でも、一つだけできるとすれば。
そのときまで、こうして・・・手を握って、そばにいると伝えることだけなのかもしれない。