親世代 番外ss
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ブラック家に生まれ、高貴なる純血の一族として育てられ。
その栄光と秩序の中で大切に育てられた。
次期当主の婚約者と定められたときも、感じたのは誇らしさ。
スリザリンに当然のように選ばれて、尊崇を向けられて。
だというのに。
時々、ここにいることが、たまらなく苦しくなる。
ここにいるのが、息苦しい。
わたくしは、こんな風に生きたい?
本当に、このまま・・・この人生を生きていくの・・・?
何に不満があるわけでもないのに、時折、不安で不安で、たまらなくなる。
「だいじょうぶ?」
「・・・・・・・・・・え?」
「苦しそうだ」
誰?
これは、誰。
にこにこと笑って、人のよさそうな顔は、今まで見たことがない。
そのタイはハッフルパフの黄色。
いたわるような、優しく包み込むような、そんな目が、わたくしを見つめていた。
「いいものあげるよ」
ごそごそとポケットを探って取り出されたのは。
思いがけないもの。
「あ、子どもっぽいかな。でも、こういうの食べると、なんだか心がふわってあったかくなるんだ」
水玉模様に包まれた、ころんとしたキャンディ。
大きな手のひらの上で、とても、かわいらしく見えた。
「はい、どうぞ」
ばかばかしい。
そう、言うはずだった。
子どもではないのよ。
わたくしは、レディ・ブラック。
ブラック家の次期当主の妻となる女なのだから。
そう、言うはずだった。
だけど。
そのキャンディが、ほしくて。
ほしくて。
解いた包み紙の中から転がる少し大きなキャンディを、そっと口の中に入れる。
口の中に、甘さと香りが広がった。
人工的につけられた、あまったるい香り。
だけど。
「おいしい?」
そういって笑った顔が、本当にうれしそうだったから。
「・・・・・・・・おいしい」
そう、答えていた。
「あ、笑ったね。君、笑うとすっごくかわいいよ」
どきん、と胸の辺りがおかしな音を立てたような気がした。
「これ、あげる」
包み紙を載せていた手のひらに、ころころとカラフルなキャンディたちが乗せられる。
「でも・・・」
「いいんだ。また食べて笑ってよ。じゃあね」
ひらひらと手を振っていなくなったその人を、アンドロメダは呆然と見送っていた。