5年生(親世代) 製作中
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45
気がついたら、あたしとシリウスの間には、人の壁ができるようになっていた。
さりげなく導かれる、遠い席。
いつだって近くに座っていたのに。
誰もが気を使うようにあたしとシリウスの間を空けようとする。
そして、できるだけ目や顔をあわせなくていいように話しかけられたりする。
接触しなければしないほど、大丈夫なのか、と不安が増えた。
今年は、シリウスが家を出る年なのだ。
大丈夫、なのだろうか。
何が起こるのかをあたしは知らない。
だけど、あえて近づくのもおかしいし、あんなふうに突き放されてまで親切をしてやりたくないという気持ちもあって、距離はあるまま。
怒りは持続しない。
怒りは強いエネルギーだ。
よほどのことがない限り、持続し続けるのは難しい。
あたしはそう思う。
だから、今この距離は、気まずさと、悔しさと、拒否されるという恐れ。
シリウスのほうはどうだか知らないけれど。
「なんでシリウスってああなのかしらね!」
ぷぅ、と膨れるあたしにあきれたようなため息しか返ってこない。
かんじわるぅーい。
「お前は、そうなるとわかっていて、どうしてやる」
「・・・だってぇ・・・」
「シリウスってそんなに立派な人だったかしら?わたくしの記憶にはないんだけど?」
「そのとおりだ。あれがどれだけわがままで自分のことしか考えておらず、常に周りに迷惑をかけているか、十分わかっていることではないか」
二人してそんなに言わなくたって・・・。
ぶー・・・・・・。
「ああなったらもう話は聞かなくてよ?俺はこう!ですもの」
ナルシッサが優雅にお茶をすする。
だけど言ってることはキッツイですぜ?
「お茶のおかわりはいかが?」
「あ、ありがとう」
とぽとぽときれいな色の紅茶が注がれる。
「あなたと話していると時々シリウスがとんでもなくすばらしい人に聞こえるから不思議よね」
「ええええええ?」
「思慮深くて、ブラック家のことを考えていて、友達を大切にして、ちょっと無鉄砲なところはあるけれど実行力にあふれていて、思いやりのあるひとみたいに聞こえるのよ」
「・・・話半分に聞けばあってない?」
それぞれ、もってなくはないと思うの。
「昔からおば様を困らせて、言うことも聞かず、やることもやらず、ブラック家の私室はマグルじみたものでいっぱい。グリフィンドールに入った変わり者。学校ではいたずらばかり。おばさまに送られた手紙は数知れず。まあ、それでも最近は家の仕事もしているみたいだけど」
「・・・そうやって聞くと、とんでもなくひどい人に思えるわね」
「でしょう?あなたの語る人とわたくしの知っている人はまるで別人だわ」
「お前は少々あの男を理想化しすぎではないのか?というかどうやったらそこまで理想化できるんだ?」
「えー・・・・・・」
そんなことないと思うんだけどなあ・・・。
「あなたの語るシリウスは、とっても大人に聞こえるのよね。シリウス、もっと子どもだと思うけど」
「え?」
子ども?
その言葉が、妙にひっかかった。
大人に聞こえる、あたしのシリウス像。
本人は、もっと子ども・・・?
「もう放っておいたら?本人だって、近寄るなって言ってるんだし。ストレスたまるばかりじゃなくて?」
「・・・・・・うん」
セブちゃんがあたしの返事にふぅ、とため息をつく。
「納得できないのか」
いっそ、そうしてやろうと思うのに、どうしても、心にひっかかる。
「大体、あなたがここにいるのだって、シリウスと会いたくないからではないの?」
「うん。そう」
スリザリンならやつは絶対にこない。
何があってもこない。
だからほっとできるんだよねー。
「そんなに嫌なら、いっそ絶縁状をたたきつけてやれ、となんど言えばわかるんだ、お前は」
「うー・・・・・・・・・」
うだうだ。
そんな簡単に割り切れたら、ねえ?
苦労はないんだけど。
「あなたが遊びにくるのならいいけれど、逃げ場所にされるのは迷惑だわ」
ずったずったに切り裂かれてぐうの音もでません、ナルシッサさま。
「前なら本当にスリザリンらしかったのに・・・すっかりグリフィンドールじみたわよね、あなた。つまらないわ」
そういわれてもなー・・・。
「あのろくでなしの総領どのは、あなたのこと、みじんも気にしてないと思うわよ。手も出してないって言うのが不思議だけれど」
「簡単だ。ナルシッサ。あの男は怖いんだよ、こいつを失うのがな。だから今まで手も出せなかった。とんだ臆病ものだ」
「まあ、嫌だ」
本当に言われ放題だわね、シリウス・・・。
かわいそうに・・・。
「レギュラスもなぜあんな人を兄として立てるのかしら」
「資質だけはあるからな」
おや、と思った。
認めてるんだ。そこは。
セブちゃんめっずらしー。
「そうね・・・どうして、あんな男に、って思うぐらい。人の心をつかみ、操作し、冷徹に切り捨てる。頭脳、判断力・・・どれをとっても申し分ない。本来であれば、誰もが喜んで迎えた次期当主だというのに、どこを捻じ曲がってあのような思考が身についてしまったのかしら」
どこから、とはこっちが問いたい。
ブラック家の中でさぞ生きにくいんだろうな。
「・・・でも、伯父様が認めている以上、覆ることはないわ」
「おじさま?」
「ブラック家現当主、オリオン・ブラックよ。ブラック家全員が一致して当主に選出した、ブラック家の申し子と呼ばれた方らしいわ」
えと、えと・・・それって・・・・・・。
「シリウスとレギュラスの父親よ」
結局、スリザリンを出たのは、空も暗くなってからだった。
今は冬だから余計に時間が過ぎやすい。
気づけばもう冬になっちゃってたんだなあ。
時はすぎるのは早い。
てくてくと歩いていた道に転がっているのを見つけたのは偶然だったし、一瞬見て見ぬふりをしようかと迷ったぐらい、動揺していた。
「…あら?」
珍しい。
こんなところで無防備に眠っているなんて。
普段なら女に寄ってこられる、と絶対に眠らないはずなのに。
ああ、でも。
ジェームズがいるときは、眠っていた。
どこかにいるのかしら、と見渡してもジェームズは愚か、リーマスやピーターですら、いる気配はない。
とりあえずあんまり顔見たくないから、くるり、ときびすを返した。
最近シリウスを見ると、胸が重くなるような気がする。
あと、呼吸がすこし浅くなる。
身体が、シリウスを拒否してる。
彼を・・・シリウス・ブラックという人間を形作っているものは、何なのだろう、と思う。
今のシリウス・ブラックは、何のために存在するのだろう。
ジェームズのように、ピーターのように、己が在ることが当然であり、何のために存在するのかなど考えていないわけではないだろう。
あの本の中でなら、シリウスは、まさしく、復讐と、ハリーのために生きていた。
…少し、違うかもしれない。
ハリーのために、ではないかもしれない。
そう…どちらかというと
「ジェームズの、ために」
ハリーを守るのは、ジェームズの子どもだから。
ジェームズが、命を賭けて守った子だから。
そして…ジェームズに、もしものときは、と託された名づけ子だから。
そうなのかもしれない。
あの本の中で、彼は…ずっと、そのために在ったのかもしれない。
輝かしい…彼の人生の中で、半分ですらない…思い出と、その中にいる人のために。
彼は、存在していたのかもしれない。
だとすれば。
今は?
この、目の前にいる人は、何のために在るのだろう。
誰のために、生きているのだろう。
それが、なぜだろう。
ひどく気になった。
気がついたら、あたしとシリウスの間には、人の壁ができるようになっていた。
さりげなく導かれる、遠い席。
いつだって近くに座っていたのに。
誰もが気を使うようにあたしとシリウスの間を空けようとする。
そして、できるだけ目や顔をあわせなくていいように話しかけられたりする。
接触しなければしないほど、大丈夫なのか、と不安が増えた。
今年は、シリウスが家を出る年なのだ。
大丈夫、なのだろうか。
何が起こるのかをあたしは知らない。
だけど、あえて近づくのもおかしいし、あんなふうに突き放されてまで親切をしてやりたくないという気持ちもあって、距離はあるまま。
怒りは持続しない。
怒りは強いエネルギーだ。
よほどのことがない限り、持続し続けるのは難しい。
あたしはそう思う。
だから、今この距離は、気まずさと、悔しさと、拒否されるという恐れ。
シリウスのほうはどうだか知らないけれど。
「なんでシリウスってああなのかしらね!」
ぷぅ、と膨れるあたしにあきれたようなため息しか返ってこない。
かんじわるぅーい。
「お前は、そうなるとわかっていて、どうしてやる」
「・・・だってぇ・・・」
「シリウスってそんなに立派な人だったかしら?わたくしの記憶にはないんだけど?」
「そのとおりだ。あれがどれだけわがままで自分のことしか考えておらず、常に周りに迷惑をかけているか、十分わかっていることではないか」
二人してそんなに言わなくたって・・・。
ぶー・・・・・・。
「ああなったらもう話は聞かなくてよ?俺はこう!ですもの」
ナルシッサが優雅にお茶をすする。
だけど言ってることはキッツイですぜ?
「お茶のおかわりはいかが?」
「あ、ありがとう」
とぽとぽときれいな色の紅茶が注がれる。
「あなたと話していると時々シリウスがとんでもなくすばらしい人に聞こえるから不思議よね」
「ええええええ?」
「思慮深くて、ブラック家のことを考えていて、友達を大切にして、ちょっと無鉄砲なところはあるけれど実行力にあふれていて、思いやりのあるひとみたいに聞こえるのよ」
「・・・話半分に聞けばあってない?」
それぞれ、もってなくはないと思うの。
「昔からおば様を困らせて、言うことも聞かず、やることもやらず、ブラック家の私室はマグルじみたものでいっぱい。グリフィンドールに入った変わり者。学校ではいたずらばかり。おばさまに送られた手紙は数知れず。まあ、それでも最近は家の仕事もしているみたいだけど」
「・・・そうやって聞くと、とんでもなくひどい人に思えるわね」
「でしょう?あなたの語る人とわたくしの知っている人はまるで別人だわ」
「お前は少々あの男を理想化しすぎではないのか?というかどうやったらそこまで理想化できるんだ?」
「えー・・・・・・」
そんなことないと思うんだけどなあ・・・。
「あなたの語るシリウスは、とっても大人に聞こえるのよね。シリウス、もっと子どもだと思うけど」
「え?」
子ども?
その言葉が、妙にひっかかった。
大人に聞こえる、あたしのシリウス像。
本人は、もっと子ども・・・?
「もう放っておいたら?本人だって、近寄るなって言ってるんだし。ストレスたまるばかりじゃなくて?」
「・・・・・・うん」
セブちゃんがあたしの返事にふぅ、とため息をつく。
「納得できないのか」
いっそ、そうしてやろうと思うのに、どうしても、心にひっかかる。
「大体、あなたがここにいるのだって、シリウスと会いたくないからではないの?」
「うん。そう」
スリザリンならやつは絶対にこない。
何があってもこない。
だからほっとできるんだよねー。
「そんなに嫌なら、いっそ絶縁状をたたきつけてやれ、となんど言えばわかるんだ、お前は」
「うー・・・・・・・・・」
うだうだ。
そんな簡単に割り切れたら、ねえ?
苦労はないんだけど。
「あなたが遊びにくるのならいいけれど、逃げ場所にされるのは迷惑だわ」
ずったずったに切り裂かれてぐうの音もでません、ナルシッサさま。
「前なら本当にスリザリンらしかったのに・・・すっかりグリフィンドールじみたわよね、あなた。つまらないわ」
そういわれてもなー・・・。
「あのろくでなしの総領どのは、あなたのこと、みじんも気にしてないと思うわよ。手も出してないって言うのが不思議だけれど」
「簡単だ。ナルシッサ。あの男は怖いんだよ、こいつを失うのがな。だから今まで手も出せなかった。とんだ臆病ものだ」
「まあ、嫌だ」
本当に言われ放題だわね、シリウス・・・。
かわいそうに・・・。
「レギュラスもなぜあんな人を兄として立てるのかしら」
「資質だけはあるからな」
おや、と思った。
認めてるんだ。そこは。
セブちゃんめっずらしー。
「そうね・・・どうして、あんな男に、って思うぐらい。人の心をつかみ、操作し、冷徹に切り捨てる。頭脳、判断力・・・どれをとっても申し分ない。本来であれば、誰もが喜んで迎えた次期当主だというのに、どこを捻じ曲がってあのような思考が身についてしまったのかしら」
どこから、とはこっちが問いたい。
ブラック家の中でさぞ生きにくいんだろうな。
「・・・でも、伯父様が認めている以上、覆ることはないわ」
「おじさま?」
「ブラック家現当主、オリオン・ブラックよ。ブラック家全員が一致して当主に選出した、ブラック家の申し子と呼ばれた方らしいわ」
えと、えと・・・それって・・・・・・。
「シリウスとレギュラスの父親よ」
結局、スリザリンを出たのは、空も暗くなってからだった。
今は冬だから余計に時間が過ぎやすい。
気づけばもう冬になっちゃってたんだなあ。
時はすぎるのは早い。
てくてくと歩いていた道に転がっているのを見つけたのは偶然だったし、一瞬見て見ぬふりをしようかと迷ったぐらい、動揺していた。
「…あら?」
珍しい。
こんなところで無防備に眠っているなんて。
普段なら女に寄ってこられる、と絶対に眠らないはずなのに。
ああ、でも。
ジェームズがいるときは、眠っていた。
どこかにいるのかしら、と見渡してもジェームズは愚か、リーマスやピーターですら、いる気配はない。
とりあえずあんまり顔見たくないから、くるり、ときびすを返した。
最近シリウスを見ると、胸が重くなるような気がする。
あと、呼吸がすこし浅くなる。
身体が、シリウスを拒否してる。
彼を・・・シリウス・ブラックという人間を形作っているものは、何なのだろう、と思う。
今のシリウス・ブラックは、何のために存在するのだろう。
ジェームズのように、ピーターのように、己が在ることが当然であり、何のために存在するのかなど考えていないわけではないだろう。
あの本の中でなら、シリウスは、まさしく、復讐と、ハリーのために生きていた。
…少し、違うかもしれない。
ハリーのために、ではないかもしれない。
そう…どちらかというと
「ジェームズの、ために」
ハリーを守るのは、ジェームズの子どもだから。
ジェームズが、命を賭けて守った子だから。
そして…ジェームズに、もしものときは、と託された名づけ子だから。
そうなのかもしれない。
あの本の中で、彼は…ずっと、そのために在ったのかもしれない。
輝かしい…彼の人生の中で、半分ですらない…思い出と、その中にいる人のために。
彼は、存在していたのかもしれない。
だとすれば。
今は?
この、目の前にいる人は、何のために在るのだろう。
誰のために、生きているのだろう。
それが、なぜだろう。
ひどく気になった。