5年生(親世代) 製作中
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
42
グリフィンドールの扉を開けると、中にいた人たちがいっせいにたちあがった。
「キリュウ!もういいのか?」
「よく・・・戻ってきたな」
ぽんぽん、と先輩たちに頭をたたかれて、微笑みを返す。
「ごめんなさい」
心から、その言葉が漏れた。
きっと、心配してくれた。
優しい人たち。
「いいんだって。それよりもう大丈夫なのか?」
「だって、水飲んだだけだもの。さっさと追い出されちゃったわ」
あはは、と笑って返して、取り巻いてくれる人たちに笑顔を返す。
「サク、君のお見舞いってやつがごっそり届いてるんだけど、部屋に持っていってくれるかい?」
「ええ?」
指差されたのは、部屋の一角に積まれた荷物。
・・・少なく見積もっても、15~6個あるんじゃなかろうか。
ありがたいなーと、素直に思いたい。
「あとでみんなで運びましょう」
病室にまで迎えに来てくれたリリーは全部わかってたんだろう、にっこり笑ってそう言ってくれた。
「ありがとう、リリー」
みんなで分けられるようなお菓子だといいなーなんてのんきに思っていたら、後ろで合言葉が聞こえて、ドアの開いた音がした。
「あれ?」
入ってきたのは、ジェームズたち。
いないと思ったら、どっかに行っていたらしい。
「サク、おかえりー!」
ジェームズがぎゅっと抱きしめてくれる。
背中を抱きしめ返して、ただいま、と答えて。
耳元に、ごめんね、とささやいた。
きっと、一番心配して、後悔して、大変だったのはこの人だろうから。
シリウスをかばい、あたしを心配して、自分の言葉を悔やんで。
かえってそんな思いをさせてしまってとても申し訳ない。
かすかにジェームズの腕に力が入って、離れた。
「お帰りなさい、サク」
「ありがとう、リーマス」
リーマスに微笑んだら、その後ろにいたやつと、目が、合った。
「・・・なんだ、もう退院してきたのか」
聞こえた声に、身体がこわばる。
「帰ってこなきゃ良かったのにな」
カタカタと、手が震える。
まずい。
呪いが、発動しかねない。
ぎゅっと、リリーが手を握ってくれる。
大丈夫、というように。
「目障りだ。さっさと部屋に行けよ」
さらにシリウスが言い募ろうとしたとき、とめたのは・・・ジェームズでも、リーマスたちでも、親しい誰かでもなかった。
「ブラック。いい加減にしろ」
寮の先輩たちが、あたしをかばうように、シリウスとの間に入っている。
「なんですか?」
「君たち個人の関係だから、と今まで口は出さなかったが、このような結果になった以上、我々は君たちの行動を制限しなければならない。君に、これ以上ミス・キリュウを傷つける権利はない」
「・・・ふん。よく味方につけたもんだな」
「ブラック!」
すっと前に進み出たのは、ジェームズだった。
「そこまでにしていただけませんか、先輩」
「ポッター!キリュウは君にとっても親友だろう!?」
「ええ、そうですよ。だからこそ、お任せいただけませんか?僕としても、親友二人が仲たがいしているのは悲しいですから」
にっこり笑ったジェームズの顔は、いつもの何をたくらんでいるか隠すときの顔。
何を思っているのかはわからない。
けれど、ジェームズはシリウスの真意がわかっているだろう。
だからこそ、先輩を引き止めた。
「あたしは、いいですから」
これ以上、追い詰めないでほしい。
あたしが追い詰めてしまった。これ以上、身動きができないほどに。
シリウスを追い詰め、身動きできなくさせてしまったのは、あたしだ。
あたしが、悪い。
そう、思い知らされた。
たった今。
シリウスが徹底的に自分を悪者にしなければならない。そうしなければ、あたしが救われないと思うほど、追い詰めてしまった。
自分で自分の身は守れるなんて言って、結局、自分の手で自分を害していれば世話ない。
だというのに、それすら、シリウスは自分の責任だと思っている。
思って、かぶっている。
それがとても悲しくて、つらくて、でも、もうどうにもできないところにまで、シリウスは遠ざかっていってしまった。
心は近いのに。
お互いを思ってしている行動なのに、こんなにも、遠い。
「リリー、部屋に戻るわ」
「サク・・・」
あたしを傷つけることでさらに自分もまた傷ついて。
そんなことすら、自分に責任があるのだからと割り切ったふり。
そばにいたら、あたしは、シリウスを傷つけ続ける。
そんなのは、いやだった。
大嫌いだ。
いつも自分ひとりで背負って。
手を貸すと、守るんだと言っているのに。
何度も何度も、伝えたのに。
その行動の結果も、すべて引き受けると言ったのに。
だから、あの呪いだって、自分のせいなのに、それを受け入れないシリウスに腹が立つ。
大嫌いなのだ。
腹も立つし、顔を見るだけでぶん殴りたくなるし、声も聞きたくない。
まして、あんな凍りついたような顔で、表情で、あたしに嫌味をがんばって言う姿なんて、絶対にお断りだった。
どうして、こっちがこんなにつらい思いをしなければならないのか。
でも、大丈夫と言い切れないことをやってしまったからこそ、もう、二度と話を聞いてくれはしないだろう。
ぎりり、と手を握り締めたら、手のひらにつめが刺さる。
あわてて見た手のつめは、いつもどおりの長さと色合いで、ほっとした。
シリウスに知られたくなかったから、がんばれたのだ。
この呪いが軽くないことぐらい、身にしみている。
いつ発動してもおかしくない。
できるだけ、そんな場面は避けなければ。
ひどく、ストレスのたまる日々になりそうだった。
今にも叫び出したいほど、胸にもやもやとたまるものがある。
同時に、口を開けばなにを叫べばいいのか、と問う声が心の中から浮き上がる。
結局、何一つ結論はでない。
ただただ、叫び声を上げてしまいたい。
そんな衝動に駆られる。
大事にしてきたものすべてを、突き崩してしまいたいような、そんな衝動に駆られる。
思いっきり壁をなぐりつけた瞬間、ふわり、となにかいい香りがした。胸元にはいっていた・・・あの、赤いサシェだった。
「あ・・・・・・・」
シリウスから、もらった、もの。
ふいに、のどから嗚咽がこみ上げた。
もう泣きつくしたと思ったのに。
なかない、と思ったのに。
現実はこうもままならなくて、新しい問題ばかりが目の前に積みあがっていく。
そのうち、動くたびになにかを壊してしまいそうになって、恐怖に叫び声をあげるようになるのだろうか。
そんな生活は絶対にいやだ。
絶対に。
嫌なことはわかるのに、ならどうすればいいかが、何も出てこない。
驚くほど、出てこないのだ。
頭が真っ白で、いいアイディアなどかけらも出てこなくて。
嫌だ嫌だというばかり、思うばかりでどうしたらいいか、何も思いつかなくて。
これじゃあ、何もできない。
嫌だというだけなら、子どもでもできるのに。
それでも、うらめしいぐらいになにも出てこない。
ただどうしよう、という思いと、後悔と、悲しみと。
あふれるそれを耐えるように、ぎゅっと、サシェを握り締め続けた。
グリフィンドールの扉を開けると、中にいた人たちがいっせいにたちあがった。
「キリュウ!もういいのか?」
「よく・・・戻ってきたな」
ぽんぽん、と先輩たちに頭をたたかれて、微笑みを返す。
「ごめんなさい」
心から、その言葉が漏れた。
きっと、心配してくれた。
優しい人たち。
「いいんだって。それよりもう大丈夫なのか?」
「だって、水飲んだだけだもの。さっさと追い出されちゃったわ」
あはは、と笑って返して、取り巻いてくれる人たちに笑顔を返す。
「サク、君のお見舞いってやつがごっそり届いてるんだけど、部屋に持っていってくれるかい?」
「ええ?」
指差されたのは、部屋の一角に積まれた荷物。
・・・少なく見積もっても、15~6個あるんじゃなかろうか。
ありがたいなーと、素直に思いたい。
「あとでみんなで運びましょう」
病室にまで迎えに来てくれたリリーは全部わかってたんだろう、にっこり笑ってそう言ってくれた。
「ありがとう、リリー」
みんなで分けられるようなお菓子だといいなーなんてのんきに思っていたら、後ろで合言葉が聞こえて、ドアの開いた音がした。
「あれ?」
入ってきたのは、ジェームズたち。
いないと思ったら、どっかに行っていたらしい。
「サク、おかえりー!」
ジェームズがぎゅっと抱きしめてくれる。
背中を抱きしめ返して、ただいま、と答えて。
耳元に、ごめんね、とささやいた。
きっと、一番心配して、後悔して、大変だったのはこの人だろうから。
シリウスをかばい、あたしを心配して、自分の言葉を悔やんで。
かえってそんな思いをさせてしまってとても申し訳ない。
かすかにジェームズの腕に力が入って、離れた。
「お帰りなさい、サク」
「ありがとう、リーマス」
リーマスに微笑んだら、その後ろにいたやつと、目が、合った。
「・・・なんだ、もう退院してきたのか」
聞こえた声に、身体がこわばる。
「帰ってこなきゃ良かったのにな」
カタカタと、手が震える。
まずい。
呪いが、発動しかねない。
ぎゅっと、リリーが手を握ってくれる。
大丈夫、というように。
「目障りだ。さっさと部屋に行けよ」
さらにシリウスが言い募ろうとしたとき、とめたのは・・・ジェームズでも、リーマスたちでも、親しい誰かでもなかった。
「ブラック。いい加減にしろ」
寮の先輩たちが、あたしをかばうように、シリウスとの間に入っている。
「なんですか?」
「君たち個人の関係だから、と今まで口は出さなかったが、このような結果になった以上、我々は君たちの行動を制限しなければならない。君に、これ以上ミス・キリュウを傷つける権利はない」
「・・・ふん。よく味方につけたもんだな」
「ブラック!」
すっと前に進み出たのは、ジェームズだった。
「そこまでにしていただけませんか、先輩」
「ポッター!キリュウは君にとっても親友だろう!?」
「ええ、そうですよ。だからこそ、お任せいただけませんか?僕としても、親友二人が仲たがいしているのは悲しいですから」
にっこり笑ったジェームズの顔は、いつもの何をたくらんでいるか隠すときの顔。
何を思っているのかはわからない。
けれど、ジェームズはシリウスの真意がわかっているだろう。
だからこそ、先輩を引き止めた。
「あたしは、いいですから」
これ以上、追い詰めないでほしい。
あたしが追い詰めてしまった。これ以上、身動きができないほどに。
シリウスを追い詰め、身動きできなくさせてしまったのは、あたしだ。
あたしが、悪い。
そう、思い知らされた。
たった今。
シリウスが徹底的に自分を悪者にしなければならない。そうしなければ、あたしが救われないと思うほど、追い詰めてしまった。
自分で自分の身は守れるなんて言って、結局、自分の手で自分を害していれば世話ない。
だというのに、それすら、シリウスは自分の責任だと思っている。
思って、かぶっている。
それがとても悲しくて、つらくて、でも、もうどうにもできないところにまで、シリウスは遠ざかっていってしまった。
心は近いのに。
お互いを思ってしている行動なのに、こんなにも、遠い。
「リリー、部屋に戻るわ」
「サク・・・」
あたしを傷つけることでさらに自分もまた傷ついて。
そんなことすら、自分に責任があるのだからと割り切ったふり。
そばにいたら、あたしは、シリウスを傷つけ続ける。
そんなのは、いやだった。
大嫌いだ。
いつも自分ひとりで背負って。
手を貸すと、守るんだと言っているのに。
何度も何度も、伝えたのに。
その行動の結果も、すべて引き受けると言ったのに。
だから、あの呪いだって、自分のせいなのに、それを受け入れないシリウスに腹が立つ。
大嫌いなのだ。
腹も立つし、顔を見るだけでぶん殴りたくなるし、声も聞きたくない。
まして、あんな凍りついたような顔で、表情で、あたしに嫌味をがんばって言う姿なんて、絶対にお断りだった。
どうして、こっちがこんなにつらい思いをしなければならないのか。
でも、大丈夫と言い切れないことをやってしまったからこそ、もう、二度と話を聞いてくれはしないだろう。
ぎりり、と手を握り締めたら、手のひらにつめが刺さる。
あわてて見た手のつめは、いつもどおりの長さと色合いで、ほっとした。
シリウスに知られたくなかったから、がんばれたのだ。
この呪いが軽くないことぐらい、身にしみている。
いつ発動してもおかしくない。
できるだけ、そんな場面は避けなければ。
ひどく、ストレスのたまる日々になりそうだった。
今にも叫び出したいほど、胸にもやもやとたまるものがある。
同時に、口を開けばなにを叫べばいいのか、と問う声が心の中から浮き上がる。
結局、何一つ結論はでない。
ただただ、叫び声を上げてしまいたい。
そんな衝動に駆られる。
大事にしてきたものすべてを、突き崩してしまいたいような、そんな衝動に駆られる。
思いっきり壁をなぐりつけた瞬間、ふわり、となにかいい香りがした。胸元にはいっていた・・・あの、赤いサシェだった。
「あ・・・・・・・」
シリウスから、もらった、もの。
ふいに、のどから嗚咽がこみ上げた。
もう泣きつくしたと思ったのに。
なかない、と思ったのに。
現実はこうもままならなくて、新しい問題ばかりが目の前に積みあがっていく。
そのうち、動くたびになにかを壊してしまいそうになって、恐怖に叫び声をあげるようになるのだろうか。
そんな生活は絶対にいやだ。
絶対に。
嫌なことはわかるのに、ならどうすればいいかが、何も出てこない。
驚くほど、出てこないのだ。
頭が真っ白で、いいアイディアなどかけらも出てこなくて。
嫌だ嫌だというばかり、思うばかりでどうしたらいいか、何も思いつかなくて。
これじゃあ、何もできない。
嫌だというだけなら、子どもでもできるのに。
それでも、うらめしいぐらいになにも出てこない。
ただどうしよう、という思いと、後悔と、悲しみと。
あふれるそれを耐えるように、ぎゅっと、サシェを握り締め続けた。