5年生(親世代) 製作中
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28
「おはよう、キリュウ。調子はどうだい?」
「おはよう。悪くないわ」
「おはようございます、サク」
「おはよう。予習と宿題は終わった?」
「はい。ちゃんと終わりました」
あちこちから掛かる声に笑顔で返す。
このあたりの切り替えの早さが、好き。
調子がいいって言う人もいるかもしれないけど、過ちを認めて、さっと謝って、きれいに態度を改めることができるグリフィンドールの人たちが、あたしは嫌いじゃない。
若干距離を置いていた人たちはあっさりと謝罪して今日から笑顔で付き合ってる。
今までどおりの人はそのまま親しかったり挨拶だけの仲だったり。
特にべたべたすることも、立場を回復しようと擦り寄ることもない。
そんなこの寮が好き。
気まずいまま距離を置いて終わってしまうのは、寂しい。
スリザリンだったら今頃顔の筋肉が痙攣してるわよ。作り笑いで。
「まだ緑色だなー」
「大きなお世話!」
どうせまだ緑色のまだらで目が赤茶色ですよ!
しかたないじゃんー!!
結構強力な呪いなんだから。
ぶっちゃけ、薬で吐き気する。
「どうした、妊娠か!?」
はいそこ、冗談もほどほどに。
あー。どうしてグリフィンドールってこうお茶目体質なの!?
楽しいけど。
「サクってめげないよねー」
「サクって強いよねー」
「強くないよー。味方いないとすぐぐだぐだになるもん」
「それ人間としてアタリマエ」
そ。アタリマエ。
当り前なんだけど、それって依存っていうのかな?
なんてちらりと思ったり。
「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、本当に馬鹿だったんだな」
開口一番そう言ったセブちゃんはなにも変わらなかった。
ほんっとにクール。そのまま。
しかもしみじみと言ってくれる。
「そういわないでよ」
「言いたくもなる」
メデューサの呪いをかけられておいて、平然と学校に来れていたことも、呪いの発動しない状態をキープしていたその精神力も、信じられない、とセブちゃんは言うのだが。
そりゃあたしの努力のたまものでして。
いや、薬服用はしてたけどね。単独でそんな呪いに耐えられるほど、あたしは強くない。
強くなるためには人間理由が必要なのよう。
そして、その理由はもうないんだよね、実は。
「メデューサの呪いを甘くみるな。人格まで侵されるぞ」
「・・・発動してれば、でしょ?」
「発動を抑えられるのか。確実に?」
肩をすくめるしかなかった。
誰よりも早く解けることを願っているのはあたしなんだし。
「ブラック夫人はなんとおっしゃったのだ。助かる道があるのかもしれないのだぞ」
「・・・あの人はあたしに愛人になれって言ったのよ。・・・ちょっと違う。愛人なら、許してやっても良いって言ったの」
「あの男のか」
「ええ」
「・・・・・・・・・それで?」
「お断りしました。当然」
幾分ほっとしたような顔をしたセブちゃんが、やれやれ、とため息を吐き出す。
「それでもダメだったのか」
「だって。あの人がほしかったのは確約だもの」
「確約?」
「あいつとの結婚を求めることはない。一生友人であろうと思っている、と言ったら、その確約をよこせ、と言ってこの呪いをかけたのよ」
セブルスが額を押さえた。眉間にくっきりしわが刻まれている。
「お前・・・・それでは望みはほとんどないではないか!」
「そうなのよー・・・」
「その前に、あの方ははっきり愛人になれといったのか!?」
「ううん。ふさわしい結婚をする前に愛する人がいてもいいって。で、彼の親しくしていて、彼にふさわしい女性を教えてほしいってさ」
「教えればいいではないか」
「・・・誰よ、ふさわしいのって」
「昨日お前に喧嘩を売って泣かされた小娘など、あの馬鹿な男とレベルがつりあっていてがふさわしいのではないか?」
「は!?ジラ・マッケンジー?!冗談でしょ?」
ムリ。絶対ムリ。アホなこと言うな。
あんなやつになんでやらなきゃならないの。
「ではあの男が付き合っている女どもの誰でも良い。くれてやれ。あの男も馬鹿ではない。相手にしているのは純血ばかり。レイヴンクロー、スリザリン、グリフィンドール、ハッフルパフ・・・どの寮のどの学年にもやつの愛人はいる。どの女であっても構わないではないか。その中からもっともふさわしいものを夫人が選ぶであろう。教えてやれ」
「知らないもの」
「才女と名高い女、家柄を誇る女、魔法省の役人の娘、高名な発明家の娘・・・女たちはよく知っている。あの男にふさわしいものとして認識されるものがどのようなものか。とるに足りない女は近づくこともできない。名声、栄光、権力、財力・・・家柄。それがあの男にふさわしいもの。その中で夫人が気に入ったものこそがあの男の妻となる。あの栄光の一族に名を連ねることと、権力の座を約束される」
聞いていて、鳥肌立ってきた。
気持ち悪い。
ほんとに気持ち悪い。
そんな魂胆で、彼に近づくなんて。
それじゃあ、誰も彼を見ていない。
彼じゃなくて、ブラック家を見てる。
そんな人たちに囲まれている。
「そんなものがほしいひとは、彼を愛せないわ」
「・・・・・・では誰なら愛せる。あの男を」
そんなこと、知らない。
誰かなんて知っていたら、あの時あたしはブラック夫人に迷いなく答えていた。
「あの男を愛するなんて奇特な人間は誰だ?」
「・・・・・・・・・わからない」
「わからなくて当然だ。そんなものは存在しない」
「そんなこと・・・っ」
それじゃあ、彼は幸せになれない。
なんのために、あたしはここまで我慢したのよ。
なんのために、ここにいるの?
あの人に幸せになってほしいのに。
「ブラックという背景なしにあいつを見るものがどこにいる?その称号は永久に付きまとう。ブラック家の御曹司。次期当主となる、あの栄光ある家の長子。それをほしいと思うものは近づき、わずらわしいとおもうものは遠ざかる。それが当り前だ」
「そんなもの、当り前であってほしくない」
ジェームズも、あたしも、リーマスも、ピーターも、リリーやマギー、アリスだって、そんなも
のより、あの子を見てる。
あの子という人間を見てる。
あの子はあの子であればいいのに。
それだけで、愛されることができるはずなのに。
「ああ。当たり前ではないとも。お前にとっては」
「そうよ。あの人はあの人だから・・・あの明るい性格だって、友だちを大切にするところだって、実は努力家で勉強をしているところだって・・・困っている人に手を差し伸べる優しさだって、あの責任感だって・・・彼だから持っているのに!どうしてそれではダメなの?」
振り返ったセブルスの目に、あたしは動きを止めた。
哀れむような、慈しむような、目。
それは、なにを、哀れんだの・・・?
「だから、ブラック夫人はお前のところを訪れたのではないのか?ブラック夫人が望まない、“シリウス・ブラックという一人の男を好きと言える女”のもとを」
「それだけの、理由で?」
「それだけとはとてもいえないのだろう。そして・・・その、あの男があの男であればいいと言い切ることこそが、ブラック夫人がもっとも望まないこと。最も信用できないこと」
信用できない、こと?
その言葉が、ざっくりと突き刺さった。
そんなことが、最も信用できないというのか。
一人の人間を愛するということこそが、信用できないというのか。
それは、人間なのか。
一人の人間として・・・母親として、もっとも喜ぶべきことではないのか。
自分の息子を、重いものを背負った息子を、心から愛してくれる女性がいるということは、喜ぶべきことではないのか!
「お前ができないのなら、僕が手伝っても良い。あの男の交友リストを夫人に贈り、心からあの男の結婚を祝福するとふくろう便を送れ。そうすれば、夫人はお前の呪いを解くだろう」
首をふる。
そんなこと、できない。
「あの男に、お前はあのような目にあわされてまだ守るのか」
―――お前には失望した。
「だって、あの人は」
「ともだち、か?あのようなことを言うやつが?」
―――おせっかいな女。
「友だちとはお前を侮蔑するのか」
―――うざいんだけど?
「・・・それでも」
「それでも?」
「それでも、あたしは・・・シリウスを見捨てられないのよ」
「・・・・・・・・・・そうか。ならば、仕方あるまい」
ぽん、と頭の上にセブルスの手がのせられる。
「そこが、お前の良いところなのだろうから」
ぽろっと、一滴涙が零れ落ちた。
ぎゅっと目を瞑って、涙はそれっきり。
もう、流さない。
「あの男も今度という今度はへまをして見捨てられたのかと思ったのだがな」
「・・・見捨てたわよ」
「それが正しい選択だ」
そう。正しいはずだ。
あんなことを言ったら、もう、彼の側にはいられない。
もっとも傷つく言葉を投げつけた。
だから、もう側にはいかない。
でも、できる限りのことはしよう。
あの人を、救うために。
そう。シリウスのためだけじゃない。
ハリーのために、ジェームズのために、リリーのために。
みんなのためになることなんだから。
そう。みんなのために―――
「こんにちは、ミス・キリュウ」
うわ。びっくりした。
「あ、あらこんにちは」
にっこり笑っているのはいつぞやの羽ペンとか貸してくれたお兄さん。
「どうした」
いやそうな顔のセブちゃん。
・・・・・・いや、ぱっと見普段の仏頂面と変わりないんだけど、不機嫌、だよねえ?
この人嫌いなのかな。
そういえば前の時にもこんな顔してたっけ。
「いや、セブルスをみかけて声をかけようと思ったんだが、彼女が一緒にいるとは思わなかったんだ」
「そうか。なんの用だ?さがさせたのならすまない」
すまない、と謝ったセブルスがその人を連れて行こうと背中を押す。
「ミス・キリュウ。また今度」
にっこり笑ったその人にええ、と答えようとして。
目の色に、ぞくりとした。
見たことのない目。
なんていう目で、人を見るのだろう。
あたしが今まで、見たこともない感情。
さらされたことのないぐらい、強い感情。
もう二度と、出逢いたくない。
会ったら、恐ろしいことが起きそうな予感がして。
身震いした。
「おはよう、キリュウ。調子はどうだい?」
「おはよう。悪くないわ」
「おはようございます、サク」
「おはよう。予習と宿題は終わった?」
「はい。ちゃんと終わりました」
あちこちから掛かる声に笑顔で返す。
このあたりの切り替えの早さが、好き。
調子がいいって言う人もいるかもしれないけど、過ちを認めて、さっと謝って、きれいに態度を改めることができるグリフィンドールの人たちが、あたしは嫌いじゃない。
若干距離を置いていた人たちはあっさりと謝罪して今日から笑顔で付き合ってる。
今までどおりの人はそのまま親しかったり挨拶だけの仲だったり。
特にべたべたすることも、立場を回復しようと擦り寄ることもない。
そんなこの寮が好き。
気まずいまま距離を置いて終わってしまうのは、寂しい。
スリザリンだったら今頃顔の筋肉が痙攣してるわよ。作り笑いで。
「まだ緑色だなー」
「大きなお世話!」
どうせまだ緑色のまだらで目が赤茶色ですよ!
しかたないじゃんー!!
結構強力な呪いなんだから。
ぶっちゃけ、薬で吐き気する。
「どうした、妊娠か!?」
はいそこ、冗談もほどほどに。
あー。どうしてグリフィンドールってこうお茶目体質なの!?
楽しいけど。
「サクってめげないよねー」
「サクって強いよねー」
「強くないよー。味方いないとすぐぐだぐだになるもん」
「それ人間としてアタリマエ」
そ。アタリマエ。
当り前なんだけど、それって依存っていうのかな?
なんてちらりと思ったり。
「馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、本当に馬鹿だったんだな」
開口一番そう言ったセブちゃんはなにも変わらなかった。
ほんっとにクール。そのまま。
しかもしみじみと言ってくれる。
「そういわないでよ」
「言いたくもなる」
メデューサの呪いをかけられておいて、平然と学校に来れていたことも、呪いの発動しない状態をキープしていたその精神力も、信じられない、とセブちゃんは言うのだが。
そりゃあたしの努力のたまものでして。
いや、薬服用はしてたけどね。単独でそんな呪いに耐えられるほど、あたしは強くない。
強くなるためには人間理由が必要なのよう。
そして、その理由はもうないんだよね、実は。
「メデューサの呪いを甘くみるな。人格まで侵されるぞ」
「・・・発動してれば、でしょ?」
「発動を抑えられるのか。確実に?」
肩をすくめるしかなかった。
誰よりも早く解けることを願っているのはあたしなんだし。
「ブラック夫人はなんとおっしゃったのだ。助かる道があるのかもしれないのだぞ」
「・・・あの人はあたしに愛人になれって言ったのよ。・・・ちょっと違う。愛人なら、許してやっても良いって言ったの」
「あの男のか」
「ええ」
「・・・・・・・・・それで?」
「お断りしました。当然」
幾分ほっとしたような顔をしたセブちゃんが、やれやれ、とため息を吐き出す。
「それでもダメだったのか」
「だって。あの人がほしかったのは確約だもの」
「確約?」
「あいつとの結婚を求めることはない。一生友人であろうと思っている、と言ったら、その確約をよこせ、と言ってこの呪いをかけたのよ」
セブルスが額を押さえた。眉間にくっきりしわが刻まれている。
「お前・・・・それでは望みはほとんどないではないか!」
「そうなのよー・・・」
「その前に、あの方ははっきり愛人になれといったのか!?」
「ううん。ふさわしい結婚をする前に愛する人がいてもいいって。で、彼の親しくしていて、彼にふさわしい女性を教えてほしいってさ」
「教えればいいではないか」
「・・・誰よ、ふさわしいのって」
「昨日お前に喧嘩を売って泣かされた小娘など、あの馬鹿な男とレベルがつりあっていてがふさわしいのではないか?」
「は!?ジラ・マッケンジー?!冗談でしょ?」
ムリ。絶対ムリ。アホなこと言うな。
あんなやつになんでやらなきゃならないの。
「ではあの男が付き合っている女どもの誰でも良い。くれてやれ。あの男も馬鹿ではない。相手にしているのは純血ばかり。レイヴンクロー、スリザリン、グリフィンドール、ハッフルパフ・・・どの寮のどの学年にもやつの愛人はいる。どの女であっても構わないではないか。その中からもっともふさわしいものを夫人が選ぶであろう。教えてやれ」
「知らないもの」
「才女と名高い女、家柄を誇る女、魔法省の役人の娘、高名な発明家の娘・・・女たちはよく知っている。あの男にふさわしいものとして認識されるものがどのようなものか。とるに足りない女は近づくこともできない。名声、栄光、権力、財力・・・家柄。それがあの男にふさわしいもの。その中で夫人が気に入ったものこそがあの男の妻となる。あの栄光の一族に名を連ねることと、権力の座を約束される」
聞いていて、鳥肌立ってきた。
気持ち悪い。
ほんとに気持ち悪い。
そんな魂胆で、彼に近づくなんて。
それじゃあ、誰も彼を見ていない。
彼じゃなくて、ブラック家を見てる。
そんな人たちに囲まれている。
「そんなものがほしいひとは、彼を愛せないわ」
「・・・・・・では誰なら愛せる。あの男を」
そんなこと、知らない。
誰かなんて知っていたら、あの時あたしはブラック夫人に迷いなく答えていた。
「あの男を愛するなんて奇特な人間は誰だ?」
「・・・・・・・・・わからない」
「わからなくて当然だ。そんなものは存在しない」
「そんなこと・・・っ」
それじゃあ、彼は幸せになれない。
なんのために、あたしはここまで我慢したのよ。
なんのために、ここにいるの?
あの人に幸せになってほしいのに。
「ブラックという背景なしにあいつを見るものがどこにいる?その称号は永久に付きまとう。ブラック家の御曹司。次期当主となる、あの栄光ある家の長子。それをほしいと思うものは近づき、わずらわしいとおもうものは遠ざかる。それが当り前だ」
「そんなもの、当り前であってほしくない」
ジェームズも、あたしも、リーマスも、ピーターも、リリーやマギー、アリスだって、そんなも
のより、あの子を見てる。
あの子という人間を見てる。
あの子はあの子であればいいのに。
それだけで、愛されることができるはずなのに。
「ああ。当たり前ではないとも。お前にとっては」
「そうよ。あの人はあの人だから・・・あの明るい性格だって、友だちを大切にするところだって、実は努力家で勉強をしているところだって・・・困っている人に手を差し伸べる優しさだって、あの責任感だって・・・彼だから持っているのに!どうしてそれではダメなの?」
振り返ったセブルスの目に、あたしは動きを止めた。
哀れむような、慈しむような、目。
それは、なにを、哀れんだの・・・?
「だから、ブラック夫人はお前のところを訪れたのではないのか?ブラック夫人が望まない、“シリウス・ブラックという一人の男を好きと言える女”のもとを」
「それだけの、理由で?」
「それだけとはとてもいえないのだろう。そして・・・その、あの男があの男であればいいと言い切ることこそが、ブラック夫人がもっとも望まないこと。最も信用できないこと」
信用できない、こと?
その言葉が、ざっくりと突き刺さった。
そんなことが、最も信用できないというのか。
一人の人間を愛するということこそが、信用できないというのか。
それは、人間なのか。
一人の人間として・・・母親として、もっとも喜ぶべきことではないのか。
自分の息子を、重いものを背負った息子を、心から愛してくれる女性がいるということは、喜ぶべきことではないのか!
「お前ができないのなら、僕が手伝っても良い。あの男の交友リストを夫人に贈り、心からあの男の結婚を祝福するとふくろう便を送れ。そうすれば、夫人はお前の呪いを解くだろう」
首をふる。
そんなこと、できない。
「あの男に、お前はあのような目にあわされてまだ守るのか」
―――お前には失望した。
「だって、あの人は」
「ともだち、か?あのようなことを言うやつが?」
―――おせっかいな女。
「友だちとはお前を侮蔑するのか」
―――うざいんだけど?
「・・・それでも」
「それでも?」
「それでも、あたしは・・・シリウスを見捨てられないのよ」
「・・・・・・・・・・そうか。ならば、仕方あるまい」
ぽん、と頭の上にセブルスの手がのせられる。
「そこが、お前の良いところなのだろうから」
ぽろっと、一滴涙が零れ落ちた。
ぎゅっと目を瞑って、涙はそれっきり。
もう、流さない。
「あの男も今度という今度はへまをして見捨てられたのかと思ったのだがな」
「・・・見捨てたわよ」
「それが正しい選択だ」
そう。正しいはずだ。
あんなことを言ったら、もう、彼の側にはいられない。
もっとも傷つく言葉を投げつけた。
だから、もう側にはいかない。
でも、できる限りのことはしよう。
あの人を、救うために。
そう。シリウスのためだけじゃない。
ハリーのために、ジェームズのために、リリーのために。
みんなのためになることなんだから。
そう。みんなのために―――
「こんにちは、ミス・キリュウ」
うわ。びっくりした。
「あ、あらこんにちは」
にっこり笑っているのはいつぞやの羽ペンとか貸してくれたお兄さん。
「どうした」
いやそうな顔のセブちゃん。
・・・・・・いや、ぱっと見普段の仏頂面と変わりないんだけど、不機嫌、だよねえ?
この人嫌いなのかな。
そういえば前の時にもこんな顔してたっけ。
「いや、セブルスをみかけて声をかけようと思ったんだが、彼女が一緒にいるとは思わなかったんだ」
「そうか。なんの用だ?さがさせたのならすまない」
すまない、と謝ったセブルスがその人を連れて行こうと背中を押す。
「ミス・キリュウ。また今度」
にっこり笑ったその人にええ、と答えようとして。
目の色に、ぞくりとした。
見たことのない目。
なんていう目で、人を見るのだろう。
あたしが今まで、見たこともない感情。
さらされたことのないぐらい、強い感情。
もう二度と、出逢いたくない。
会ったら、恐ろしいことが起きそうな予感がして。
身震いした。