5年生(親世代) 製作中
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22
「サクラ」
次の日の朝、近寄ってきたのはレギュラスだった。
へ?なんで??
「今朝方、兄上からもう一度協力してやれとお言葉が」
「はあ?」
なんつー勝手なやつ。
近寄るなって言ったり、協力してやれって言ったり・・・。
「兄上は、あなた一人では自分の身を守ることもできないだろうとおっしゃっておられましたよ」
苦笑するレギュラスの漂わせる穏やかさにちょっぴりイラッとしちゃうのはやっぱりシリウスに似ているからかしら・・・ふふふ。
「クリーチャーから聞いていましたが、さすがですね」
「なにがよ」
「あなたの調査方針の選択ですよ」
「・・・どのへんが?」
別にほめられるようなことをした覚えはない。
事実クリーチャーは延々とぶつくさ言ってたし。
レギュラスさまならこんな無茶なご命令はしないだの、奥様にバレたらだの、うるさかったうるさかった。
こんなことなら頼まなきゃ良かったとか思うぐらい。
「やはりあなたも思っていましたか」
「えー?・・・ああ、うん」
「犯人は、二つのグループですね」
「そうね。片方はグループだけど、もう一方は」
「単独・・・もしくは、複数であっても単独で動いている」
そう。あきらかに嫌がらせの内容が違いすぎるのだ。
「リストを見せていただけますか?」
「もちろん」
始まってからというか、気付いてからこっち、ずっとメモをしていた犯行の場所と時間と内容のリストを広げる。
その内容は多種多様だけれど、大体が分類をすることができた。
「やはり、あなたと同学年の者しかいないときにはなにも起きていませんね」
「ええ。あきらかに下級生、もしくは他寮であっても、合同授業になっていない寮生・・・ただ、違う授業とはいえ、合同授業をやっていない寮はないわ。となれば、同級生は除外できる」
「そして上級生も大きく動いた形跡はありませんし、彼らはやろうとも思わないでしょうね。あなたは意外と人気がある」
面白がられているとも言う。
「実際に直接的な嫌がらせが起きているのはほとんどが廊下、階段など誰でも出入りできるところで人目のないところだ」
突き飛ばされたり、ものをひったくられたり、隠されたり、上から何かが降ってきたり。
鉢植えとか本ぐらいならともかく、さすがにあのナイフの大群が降ってきたときはびっくりした。
側にジェームズがいて心底助かった。
後は制服が切られてたってのもあったなあ。
髪が切るほど長くなくてよかったわよ。
あったら絶対ばっさりやられてたでしょうに。
ああ、制服溶かす薬品もかけられたなあ。
中身まで溶けるのじゃなくてよかったわあ。
ふくろうは特定のを持っていなかったのが幸い、だけど手紙を頼んだふくろうが小屋でがんじがらめに縛られてたってのはあった。
新聞や雑誌が届かないのは日常だし。
スカートが切り裂かれたのはさすがに参ったわよ。
あたしはマイクロミニをそれも斬新に切り裂かれたのを穿いて授業に行く趣味はない。
足も組めないぐらい短かったもんねえ・・・。
ローブがあってあれほど感謝したことはなかった。
物がなくなるのはたいてい自習室だったり、大広間だったり、図書室だったり。
ちょっと目を離した隙になくなる。
あとはトイレに閉じ込められたとか、トイレにいるときに上から汚水が降ってきたとか、まあその程度。
「そして、グリフィンドール寮で起きている嫌がらせ」
こっちは回数が少ない分深刻なものがある。
「ふくろうの首が落とされていたのが1回、トカゲやらヘビやらクモが放たれていたのが2回。危険な薬品をしみこませた枕カバーが5回。うち媚薬1回にしびれ薬1回、毒3回ですか」
「うん。なんで媚薬が出てくるのか知らないけどねー」
「それはある程度予測ができますが、女子寮でやっても無意味でしょうに・・・」
「・・・その予測をぜひ教えてください」
「決まっているでしょう。あなたがその効果で・・・そうですね、たとえばジェームズ・ポッターあたりにでも迫って既成事実を作ってくれれば兄上への裏切りとしてこれ以上ない理由になるでしょうから。場合によっては退学にもできます」
「・・・・・・・・・あ、そう」
がくっと肩を落とすしかない。
なんだってそんな陰険な手段を思いつくのか。
人間ってすげえ。
「脅しと取れるものもありますが、明らかに気付かなければ大事になっていたケースもありますね。特にこの毒の種類は明らかに致死を狙っている」
「あ、それセブちゃんも言ってた」
毒の解析ばっかりはあたしの手に余るからセブちゃんに頼んだのだ。
よくぞ毒って気付いた、あたし。
「そしてしもべ妖精絡みのものがなくなるだの入れ替えられてるだのの3パターン。深刻なのは後者二つですね」
「いや、前者二つでしょ。最後のは別に大丈夫でしょう」
だってなくなってるの、下着とか、パジャマとか、タオルとか・・・。
身の回りの品ですよ?レギュラスさん。
それって嫌がらせって言うよりは・・・。
「それを使って呪うこともできるんですよ。本人にわからないように」
「・・・・・・そうでした」
「でもこの下着を盗むってなんなのでしょうね」
「いやあ・・・ストーカー?」
ぎゅっとレギュラスの眉間にしわがよった。
「すとーかー?」
あ、そっかまだそういう言葉ないのか。
「あたしにやってどうすんだって感じだけど、つきまとうっていうのが一番正しいかな」
特に性的な意味で。
「・・・ありえないことではないとは思いますが・・・どちらにしろ警戒は必要ですね。それよりも最初のはあなたは自分で十分対処できるでしょう。そもそもダメージになってます?」
「いや、あんまり」
あまりにみみっちいというか、人間ってどこもこんなもんなんだなあというか、鼻で笑ってしまいますよ。
そりゃちょっとはくるけど。
「最初の嫌がらせは兄上の取り巻きたちの仕業でしょう。それぐらいはあなたが対処してください。でなければブラック家の奥方など務まりません」
「つとまらなくていいです」
「はは、ご冗談を」
「いえ、ならなくていいですから。ムリですから」
「ご心配なく」
なにを!?
あー、おねえちゃんびっくりしちゃったよ。なんでこの話の展開で最後に「ご心配なく」なんて言葉がでてくんだよ。
・・・つっこんだら恐そうだからさわらないでおこう。
「問題は、二つ目、ですね」
「ええ。命にかかわるし、悪質だし、これ以上巧妙化してきたらあたしだってふせげないわ」
「そもそも警戒心も薄いですしね」
「れ、レギュラス・・・」
あんた、容赦ない・・・。
「もう少し自覚をもって学んでください?」
キラキラしい笑顔を向けられて脱力する。
脱力する以外にできません。
「・・・クリーチャー、なんだって?」
「間違いない、とのことですよ」
ため息をついて、やっぱり、と机につっぷした。
「グリフィス、かあ・・・」
「ですね」
他にいないよねえ・・・。
恩をあだでかえしおって・・・。じゃなくて明らかにあの人の命令よねえ・・。
「母上はあなたになんと言ったのです?」
「愛人ならなってもいいわよですって」
この弟に包み隠したってしょうがない。
「あなたの返答は?」
「謹んでお断りいたしましたー」
「・・・断って、ただですんだのですか?」
そりゃあもう、いかにも、あなたが?といわんばかりの口調でした。
もちろんタダですむはずがございませんとも。
「ん、まあ・・・ちょこっと呪いをね」
「防げなかったんですね!?」
「・・・・・・・・・どうしてただの学生なあたしがブラック家の当主夫人の魔法を防げるわけ?しかも呪いよ?ムリムリ」
「それで、どうしたんです!?」
「養い親が優秀な魔法使いなので今のところ抑えてもらってる」
「解いたわけではない?」
「うん。ちょっと面倒な呪いらしくて」
あれか、これか、と真剣に記憶をひっぱりだしているらしいレギュラスに苦笑して、ぽんぽん、とその頭をたたいた。
「いいのよ。大丈夫。先生方もご存知だし、そのうちなんとかなるわ。・・・あなたのお母様だもの、死ぬような呪いをかけてくださったわけじゃないもの」
「・・・そうですよね」
ああ、やっぱりこの子は自分の両親のこと好きなのねえ・・・。
シリウスは心底嫌いみたいだけど、可愛がられてるんだろうし・・・。
「日常生活には支障ないのよね。・・・発動したら支障どころじゃないんだけど」
「発動の条件は?」
「・・・感情の高ぶり」
「・・・・・・・・・それは、兄上に、よく言っておきます」
あなたを怒らせないようにと、というレギュラスの言葉に、涙が出るぐらい笑った。
よぉくあなたのお兄様のことをご存知で!!
そうだよ、あたしを徹底的に怒らせるのはあんたのお兄様だけですって!!
「それより、義姉上」
「義姉いうな」
「いえ、僕はまだ希望を捨ててませんから」
「いや、捨てて」
「イヤです」
あほなことを言いつつ、レギュラスの目は真剣にリストを見ている。
「・・・グリフィスもおそらくは母上の意を受けているのだと思います。ただ、方策は・・・」
「グリフィスが考えたんでしょうけど。・・・でも、ちょっとできすぎよね。あなたとグリフィスが弱いものいじめしてたときは」
「・・・それを、言わないでください」
うめき声にも似た声を上げたレギュラスの頬が赤く染まっている。
あはは、そういえばあの時ぶんなぐったんだっけー。
「あなたが考えていたんでしょ?」
「だから・・・っ」
「レギュラス、結構大事なんだけど?これらの案を、グリフィスは考え付いて実行できるのか、ということよ」
しばらくうう、とかうめいていたレギュラスは、それでも気を取り直したように向き直った。
「実行はできると思いますよ。どのような策であっても、それが主家の命であれば彼はためらうことなく実行するでしょう。どんな手段を用いてもね。けれど・・・考え付くか、とお尋ねでしたね?」
「うん」
「非常に、難しいと思います」
「・・・やっぱり?」
「あれは自分で考えることに長けていません。命に従うことは骨の髄まで叩き込まれていますが、己から行動を起こすということは考えにくい。もちろん、命を達成するために必要な手段を考え付くことはできます」
予想通りの答えだった。
グリフィスに主体性というものを感じたことは残念ながら一度もない。
「だとすれば、共犯がいる?」
「いるでしょうね」
即答、だった。
グリフィス哀れ。
「誰だと思う?」
「それはこれからの調査次第ですね。・・・僕ももう一度協力できることになりましたし、セブルス・スネイプも全面協力を申し出てくれましたから、あぶり出しはそう難しくはないでしょう」
「やっぱりスリザリンなんだ」
「以外にないでしょう。我が誇り高き寮が嘆かわしい」
誇り高き、か。
あたしの知る限り、スリザリンに「誇り高き」とか言える人物は・・・思い至らんねえ。
特にハリーポッターシリーズの本の中には。
今接触してるのだと、アルファードさんとか、アンドロメダとか・・・それこそちょっと違うけどベラトリクスにレギュラスもそうかな。
って全部ブラック家かい。
だけどねー、あたしはちょっぴり疑ってたのよ、実は。
できすぎなんだもん、この弟。
お兄ちゃんが羨ましくないわけがないだろうに。
妬ましく思っていたっておかしくないのに。
なんでも持っている兄。
ただ、先に生まれたというだけで。
ブラック家の当主として、本家として、全て根こそぎ持っていくであろう、兄。
普通ねたむわよ。
だから、あたしに嫌がらせしてるとか死なせようとしてるの、実はレギュラスかなーってちょっぴり疑ってた。協力するって言ってきたタイミングもタイミングだったしね。
きっとレギュラスは疑われて仕方ないですよねって笑うかもしれないけど、その心の奥で傷つきそうな気がするから、口が避けても言わないけどさ。
「レギュラス」
「なんです?」
「いい男になったわね」
「は?」
一瞬間があいて、ぼんっとレギュラスの顔が赤くなった。
「そ、そういうことはっ!兄上に言ってください!!」
「なんで?レギュラスにそう思ったから言ってるのに」
「サクラ!!義姉上!!お願いですから!」
「もー、昔からは想像もつかないぐらい、いい男になったわよ。いじめはするわ、嫌がらせはするわ、あたしに向かってどんだけいろんなこと言ったか覚えてる?」
「だからもう、忘れてください、お願いします!」
「あの時ぶんなぐった甲斐があったわー」
「義姉上~!」
・・・だから義姉上って呼ぶのやめいっ!!
「サクラ」
次の日の朝、近寄ってきたのはレギュラスだった。
へ?なんで??
「今朝方、兄上からもう一度協力してやれとお言葉が」
「はあ?」
なんつー勝手なやつ。
近寄るなって言ったり、協力してやれって言ったり・・・。
「兄上は、あなた一人では自分の身を守ることもできないだろうとおっしゃっておられましたよ」
苦笑するレギュラスの漂わせる穏やかさにちょっぴりイラッとしちゃうのはやっぱりシリウスに似ているからかしら・・・ふふふ。
「クリーチャーから聞いていましたが、さすがですね」
「なにがよ」
「あなたの調査方針の選択ですよ」
「・・・どのへんが?」
別にほめられるようなことをした覚えはない。
事実クリーチャーは延々とぶつくさ言ってたし。
レギュラスさまならこんな無茶なご命令はしないだの、奥様にバレたらだの、うるさかったうるさかった。
こんなことなら頼まなきゃ良かったとか思うぐらい。
「やはりあなたも思っていましたか」
「えー?・・・ああ、うん」
「犯人は、二つのグループですね」
「そうね。片方はグループだけど、もう一方は」
「単独・・・もしくは、複数であっても単独で動いている」
そう。あきらかに嫌がらせの内容が違いすぎるのだ。
「リストを見せていただけますか?」
「もちろん」
始まってからというか、気付いてからこっち、ずっとメモをしていた犯行の場所と時間と内容のリストを広げる。
その内容は多種多様だけれど、大体が分類をすることができた。
「やはり、あなたと同学年の者しかいないときにはなにも起きていませんね」
「ええ。あきらかに下級生、もしくは他寮であっても、合同授業になっていない寮生・・・ただ、違う授業とはいえ、合同授業をやっていない寮はないわ。となれば、同級生は除外できる」
「そして上級生も大きく動いた形跡はありませんし、彼らはやろうとも思わないでしょうね。あなたは意外と人気がある」
面白がられているとも言う。
「実際に直接的な嫌がらせが起きているのはほとんどが廊下、階段など誰でも出入りできるところで人目のないところだ」
突き飛ばされたり、ものをひったくられたり、隠されたり、上から何かが降ってきたり。
鉢植えとか本ぐらいならともかく、さすがにあのナイフの大群が降ってきたときはびっくりした。
側にジェームズがいて心底助かった。
後は制服が切られてたってのもあったなあ。
髪が切るほど長くなくてよかったわよ。
あったら絶対ばっさりやられてたでしょうに。
ああ、制服溶かす薬品もかけられたなあ。
中身まで溶けるのじゃなくてよかったわあ。
ふくろうは特定のを持っていなかったのが幸い、だけど手紙を頼んだふくろうが小屋でがんじがらめに縛られてたってのはあった。
新聞や雑誌が届かないのは日常だし。
スカートが切り裂かれたのはさすがに参ったわよ。
あたしはマイクロミニをそれも斬新に切り裂かれたのを穿いて授業に行く趣味はない。
足も組めないぐらい短かったもんねえ・・・。
ローブがあってあれほど感謝したことはなかった。
物がなくなるのはたいてい自習室だったり、大広間だったり、図書室だったり。
ちょっと目を離した隙になくなる。
あとはトイレに閉じ込められたとか、トイレにいるときに上から汚水が降ってきたとか、まあその程度。
「そして、グリフィンドール寮で起きている嫌がらせ」
こっちは回数が少ない分深刻なものがある。
「ふくろうの首が落とされていたのが1回、トカゲやらヘビやらクモが放たれていたのが2回。危険な薬品をしみこませた枕カバーが5回。うち媚薬1回にしびれ薬1回、毒3回ですか」
「うん。なんで媚薬が出てくるのか知らないけどねー」
「それはある程度予測ができますが、女子寮でやっても無意味でしょうに・・・」
「・・・その予測をぜひ教えてください」
「決まっているでしょう。あなたがその効果で・・・そうですね、たとえばジェームズ・ポッターあたりにでも迫って既成事実を作ってくれれば兄上への裏切りとしてこれ以上ない理由になるでしょうから。場合によっては退学にもできます」
「・・・・・・・・・あ、そう」
がくっと肩を落とすしかない。
なんだってそんな陰険な手段を思いつくのか。
人間ってすげえ。
「脅しと取れるものもありますが、明らかに気付かなければ大事になっていたケースもありますね。特にこの毒の種類は明らかに致死を狙っている」
「あ、それセブちゃんも言ってた」
毒の解析ばっかりはあたしの手に余るからセブちゃんに頼んだのだ。
よくぞ毒って気付いた、あたし。
「そしてしもべ妖精絡みのものがなくなるだの入れ替えられてるだのの3パターン。深刻なのは後者二つですね」
「いや、前者二つでしょ。最後のは別に大丈夫でしょう」
だってなくなってるの、下着とか、パジャマとか、タオルとか・・・。
身の回りの品ですよ?レギュラスさん。
それって嫌がらせって言うよりは・・・。
「それを使って呪うこともできるんですよ。本人にわからないように」
「・・・・・・そうでした」
「でもこの下着を盗むってなんなのでしょうね」
「いやあ・・・ストーカー?」
ぎゅっとレギュラスの眉間にしわがよった。
「すとーかー?」
あ、そっかまだそういう言葉ないのか。
「あたしにやってどうすんだって感じだけど、つきまとうっていうのが一番正しいかな」
特に性的な意味で。
「・・・ありえないことではないとは思いますが・・・どちらにしろ警戒は必要ですね。それよりも最初のはあなたは自分で十分対処できるでしょう。そもそもダメージになってます?」
「いや、あんまり」
あまりにみみっちいというか、人間ってどこもこんなもんなんだなあというか、鼻で笑ってしまいますよ。
そりゃちょっとはくるけど。
「最初の嫌がらせは兄上の取り巻きたちの仕業でしょう。それぐらいはあなたが対処してください。でなければブラック家の奥方など務まりません」
「つとまらなくていいです」
「はは、ご冗談を」
「いえ、ならなくていいですから。ムリですから」
「ご心配なく」
なにを!?
あー、おねえちゃんびっくりしちゃったよ。なんでこの話の展開で最後に「ご心配なく」なんて言葉がでてくんだよ。
・・・つっこんだら恐そうだからさわらないでおこう。
「問題は、二つ目、ですね」
「ええ。命にかかわるし、悪質だし、これ以上巧妙化してきたらあたしだってふせげないわ」
「そもそも警戒心も薄いですしね」
「れ、レギュラス・・・」
あんた、容赦ない・・・。
「もう少し自覚をもって学んでください?」
キラキラしい笑顔を向けられて脱力する。
脱力する以外にできません。
「・・・クリーチャー、なんだって?」
「間違いない、とのことですよ」
ため息をついて、やっぱり、と机につっぷした。
「グリフィス、かあ・・・」
「ですね」
他にいないよねえ・・・。
恩をあだでかえしおって・・・。じゃなくて明らかにあの人の命令よねえ・・。
「母上はあなたになんと言ったのです?」
「愛人ならなってもいいわよですって」
この弟に包み隠したってしょうがない。
「あなたの返答は?」
「謹んでお断りいたしましたー」
「・・・断って、ただですんだのですか?」
そりゃあもう、いかにも、あなたが?といわんばかりの口調でした。
もちろんタダですむはずがございませんとも。
「ん、まあ・・・ちょこっと呪いをね」
「防げなかったんですね!?」
「・・・・・・・・・どうしてただの学生なあたしがブラック家の当主夫人の魔法を防げるわけ?しかも呪いよ?ムリムリ」
「それで、どうしたんです!?」
「養い親が優秀な魔法使いなので今のところ抑えてもらってる」
「解いたわけではない?」
「うん。ちょっと面倒な呪いらしくて」
あれか、これか、と真剣に記憶をひっぱりだしているらしいレギュラスに苦笑して、ぽんぽん、とその頭をたたいた。
「いいのよ。大丈夫。先生方もご存知だし、そのうちなんとかなるわ。・・・あなたのお母様だもの、死ぬような呪いをかけてくださったわけじゃないもの」
「・・・そうですよね」
ああ、やっぱりこの子は自分の両親のこと好きなのねえ・・・。
シリウスは心底嫌いみたいだけど、可愛がられてるんだろうし・・・。
「日常生活には支障ないのよね。・・・発動したら支障どころじゃないんだけど」
「発動の条件は?」
「・・・感情の高ぶり」
「・・・・・・・・・それは、兄上に、よく言っておきます」
あなたを怒らせないようにと、というレギュラスの言葉に、涙が出るぐらい笑った。
よぉくあなたのお兄様のことをご存知で!!
そうだよ、あたしを徹底的に怒らせるのはあんたのお兄様だけですって!!
「それより、義姉上」
「義姉いうな」
「いえ、僕はまだ希望を捨ててませんから」
「いや、捨てて」
「イヤです」
あほなことを言いつつ、レギュラスの目は真剣にリストを見ている。
「・・・グリフィスもおそらくは母上の意を受けているのだと思います。ただ、方策は・・・」
「グリフィスが考えたんでしょうけど。・・・でも、ちょっとできすぎよね。あなたとグリフィスが弱いものいじめしてたときは」
「・・・それを、言わないでください」
うめき声にも似た声を上げたレギュラスの頬が赤く染まっている。
あはは、そういえばあの時ぶんなぐったんだっけー。
「あなたが考えていたんでしょ?」
「だから・・・っ」
「レギュラス、結構大事なんだけど?これらの案を、グリフィスは考え付いて実行できるのか、ということよ」
しばらくうう、とかうめいていたレギュラスは、それでも気を取り直したように向き直った。
「実行はできると思いますよ。どのような策であっても、それが主家の命であれば彼はためらうことなく実行するでしょう。どんな手段を用いてもね。けれど・・・考え付くか、とお尋ねでしたね?」
「うん」
「非常に、難しいと思います」
「・・・やっぱり?」
「あれは自分で考えることに長けていません。命に従うことは骨の髄まで叩き込まれていますが、己から行動を起こすということは考えにくい。もちろん、命を達成するために必要な手段を考え付くことはできます」
予想通りの答えだった。
グリフィスに主体性というものを感じたことは残念ながら一度もない。
「だとすれば、共犯がいる?」
「いるでしょうね」
即答、だった。
グリフィス哀れ。
「誰だと思う?」
「それはこれからの調査次第ですね。・・・僕ももう一度協力できることになりましたし、セブルス・スネイプも全面協力を申し出てくれましたから、あぶり出しはそう難しくはないでしょう」
「やっぱりスリザリンなんだ」
「以外にないでしょう。我が誇り高き寮が嘆かわしい」
誇り高き、か。
あたしの知る限り、スリザリンに「誇り高き」とか言える人物は・・・思い至らんねえ。
特にハリーポッターシリーズの本の中には。
今接触してるのだと、アルファードさんとか、アンドロメダとか・・・それこそちょっと違うけどベラトリクスにレギュラスもそうかな。
って全部ブラック家かい。
だけどねー、あたしはちょっぴり疑ってたのよ、実は。
できすぎなんだもん、この弟。
お兄ちゃんが羨ましくないわけがないだろうに。
妬ましく思っていたっておかしくないのに。
なんでも持っている兄。
ただ、先に生まれたというだけで。
ブラック家の当主として、本家として、全て根こそぎ持っていくであろう、兄。
普通ねたむわよ。
だから、あたしに嫌がらせしてるとか死なせようとしてるの、実はレギュラスかなーってちょっぴり疑ってた。協力するって言ってきたタイミングもタイミングだったしね。
きっとレギュラスは疑われて仕方ないですよねって笑うかもしれないけど、その心の奥で傷つきそうな気がするから、口が避けても言わないけどさ。
「レギュラス」
「なんです?」
「いい男になったわね」
「は?」
一瞬間があいて、ぼんっとレギュラスの顔が赤くなった。
「そ、そういうことはっ!兄上に言ってください!!」
「なんで?レギュラスにそう思ったから言ってるのに」
「サクラ!!義姉上!!お願いですから!」
「もー、昔からは想像もつかないぐらい、いい男になったわよ。いじめはするわ、嫌がらせはするわ、あたしに向かってどんだけいろんなこと言ったか覚えてる?」
「だからもう、忘れてください、お願いします!」
「あの時ぶんなぐった甲斐があったわー」
「義姉上~!」
・・・だから義姉上って呼ぶのやめいっ!!