5年生(親世代) 製作中
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3
結局、ルシウスという人間がわからなくなっていく。
本気で人を信じず、心のどこかで、いつも相手を警戒し、相手がいかなる裏切りをしようとも、「予測していた」と言い放ち、いつでも、友人であっても、何かあったときには陥れるための手段を用意しておく。
そんな、スリザリン生らしい、人間だったから、あたしは死喰い人になっても違和感がなかった。
もちろん、元からそうなると知っていたというのもあるけれど。
そして、あたしもそんな人間だ。
いつだって、自分の中に踏み込ませないように、線を引いて。
多分、シリウスも、そうだ。
そういう育ち方をしている。そういう育てられ方をしている。
なのに、彼はなぜ・・・なぜ、グリフィンドールだったのか。
それを、今でも時々思う。
今なら、わかる。
警戒に満ちた、疑惑に満ちた友人関係なんて、むなしい。
空しい以外の何者でもない。
喧嘩したって、いい。
酷いことをしても、なにをしても、それでも、もう一度友達になろうと思える、そんな関係。
影で誰かとこそこそしてるんじゃないか。
誰かと悪口を言ってるんじゃないか。
そんな不安もなく、試すことも、いらない。
あたしの頼みを聞いてくれるか。話を聞いてくれるか。
聞いてくれて、ほっとして。
また、不安になって。
ああ、悪循環。
本当は。
信じてもらえるから、その信頼に足る人間になろうと努力する。
信じてみようと思うから、その人の行動を見守る。
ただ、それだけなのに。
ただ信じることが、ひどく難しい。
それが、悲しいと思えるようになった。
寂しいと、思うようになった。
それを、教えてくれたのは――あの3人。
大人になっても、信頼しあえる、その姿を・・・羨ましいと思った。
奇麗事だけでは生きていけないことを知っていて、裏切りを知っていて、それでも、心の奥で相手を信頼していた。
裏切りなんてよくあること、と悟ったようなことを言うでもなく、こいつは裏切るかもしれないから信じないと一線を引くでもなく。
裏切るのなら、相応の理由があったのだ、考えがあるのだ、と思える信頼。
裏切らせてしまったのは、自分たちなのかもしれないと省みる、相手の信頼に応えられる己であったかを振り返る厳しさ。
あたしは、そっちのほうがいい。
裏切るほうが悪い、ではなくて・・・そう思えるほど、相手を好きになれるほうが、いい。
「・・・なんで、先生たちを殺したの?」
「殺さなければならなかったからだ」
「殺さなければ・・・?」
もしルシウスが殺されただろう、というのなら。
大切な人が盾にされていたというのなら。
だから、その決断をしたというのなら。
それなら、あの人たちは、きっと・・・。
「仕方がない。彼らは帝王に逆らったのだから」
そういって、ルシウスは笑った。
その言葉を聴いた瞬間。
怒りがこみ上げて、頭が真っ白になった。
胃の辺りが冷える。
頭のどこかがなにかを叫んでいるけど、そんなこと、どうでもいい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう」
うお。我ながらものごっつい冷たい声だった。
だけどさ。
「じゃあ、もう話すことはないわね」
立ち上がって、身体についた草を払う。
「さよなら、ルシウス」
「キリュウ?」
「仕方がないって、なに?」
仕方がないことなんて、ない。
じゃあ、誰かの不注意で事故にあうのは、仕方ないのか。
気が狂った人に襲われるのは、仕方ないのか。
戦争が起こるのは、仕方ないのか。
ねえ、それって、本当に、仕方がないことなの?
「そこまで物がわかってないとは思わなかった。誰にも教えてもらえなかったんじゃないわ。あなたに、想像力がないのね。誰かの痛みを自分だったら、と省みることができない人なんて」
そんな人。
「付き合う価値もないわ」
「・・・利害関係は一致していると思うが?」
「利害っていうのはね、あなたの都合とあたしの都合が一致するときのことを言うの。あたしがあなたと付き合うメリットってある?」
何もない。
帝王に組する気もない。引き入れてもらわなくて結構。
彼と通じて、無理に情報を引き出さなくたって、あたしは知っている。
知る術もある。
ブラック家の情報はレギュラスやアルファードさんからもらえば良い。
「友達なら、付き合う価値があるわね」
好き、だから一緒にいたいという、思いが一致するのなら。
「仕方ないから、人を殺していいの?仕方ないって、なに?仕方なかったら、人を苦しめたり、悲しませたりして許されるの?いったいどんな事情があったら『仕方ない』なんていう言葉で許せるわけ?」
仕方ないって、そんなときに使っていい言葉?
仕方ないから、人を殺す。
仕方ないから、人を苦しめる。
仕方ないから、誰かの大切な人を殺す。
仕方ないから、誰かにないてもらう。
仕方ないから―――
じゃあ、仕方ないってなに?
なにがどうなったら仕方ないの?
他に方法がない、っていう意味で使ってないじゃない。
人を殺す理由に、仕方ないものなんて、ない。
誰かの命を奪って、『仕方ない』って言い訳をしていいことなんて、存在しない。
しちゃいけない。
「あなた、もしあたしが殺されたら、悲しくないの?」
「・・・悲しい、と思うだろう」
「殺した相手を恨まないの?」
「恨むとも」
「もし、苦しんで殺されたら?」
「相手も同じ目にあわせよう」
「あたしを殺した人が、だって仕方ないじゃないか、って言ったら?」
ルシウスが、戸惑った顔をした。
「あたしを殺すのは仕方なかった、だってそれしか方法がなかったんだから、仕方ないじゃないか、許してくれって言ったら、あなた、どう思うの?」
「・・・・・・・・それ、は・・・非道だと・・・」
これを言うのは、酷い、という人がいるかもしれない。
だけど、酷いのはどっちだ。
人を殺すことに、正義は絶対にない。
たとえ―――それが、悪人であっても。
「じゃあ――それが、ヴォルデモートでも?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ルシウスの表情がそっくり抜け落ちた。
「あたしが、ヴォルデモートに殺されても、あなたは彼を苦しめて殺すことが出来る?」
それは、ルシウスには出来ないだろう。
とっさに、考えてしまうはずだ。
それをする、リスクと、自分の安全を。
それに、多分、あたしがヴォルデモートを殺しても、ルシウスは泣かないし、悲しまない。
だけど、ヴォルデモートを殺したら、ベラは泣くだろう。
殺した人間を恨むだろう。
それでも、殺すしかその人を止める手段がない、と、そう思ったのなら。
その罪を引き受けるべきなのだ。
仕方なかったなんて言葉で逃げないで。
あえてその罪を犯すという重さを一生背負う覚悟を決めて罪を犯すべきなのだ。
だって、仕方ないじゃないか。それしか方法がなかったんだから。
もし、大切な人が殺されたときに、殺した相手がそんなことを言ったら。
あたしは、それを言った人間を蔑むだろう。
お前などのために、殺されていい人じゃなかった、と。
そう、思うだろう。
ルシウスが、少しでも後悔してくれているなら、人を殺したことに苦しんでいるなら、あたしは、ルシウスを許した。
他の誰が許さなくても、あたしだけは、ルシウスを受け入れた。
許せない、という気持ちを封じることが出来た。
だけど、何も後悔してない。
人を殺した重みを感じてもいない。
それどころか。
仕方ない、なんて。
簡単に、笑って言わないでほしかった。
「さよなら、ルシウス」
結局、ルシウスという人間がわからなくなっていく。
本気で人を信じず、心のどこかで、いつも相手を警戒し、相手がいかなる裏切りをしようとも、「予測していた」と言い放ち、いつでも、友人であっても、何かあったときには陥れるための手段を用意しておく。
そんな、スリザリン生らしい、人間だったから、あたしは死喰い人になっても違和感がなかった。
もちろん、元からそうなると知っていたというのもあるけれど。
そして、あたしもそんな人間だ。
いつだって、自分の中に踏み込ませないように、線を引いて。
多分、シリウスも、そうだ。
そういう育ち方をしている。そういう育てられ方をしている。
なのに、彼はなぜ・・・なぜ、グリフィンドールだったのか。
それを、今でも時々思う。
今なら、わかる。
警戒に満ちた、疑惑に満ちた友人関係なんて、むなしい。
空しい以外の何者でもない。
喧嘩したって、いい。
酷いことをしても、なにをしても、それでも、もう一度友達になろうと思える、そんな関係。
影で誰かとこそこそしてるんじゃないか。
誰かと悪口を言ってるんじゃないか。
そんな不安もなく、試すことも、いらない。
あたしの頼みを聞いてくれるか。話を聞いてくれるか。
聞いてくれて、ほっとして。
また、不安になって。
ああ、悪循環。
本当は。
信じてもらえるから、その信頼に足る人間になろうと努力する。
信じてみようと思うから、その人の行動を見守る。
ただ、それだけなのに。
ただ信じることが、ひどく難しい。
それが、悲しいと思えるようになった。
寂しいと、思うようになった。
それを、教えてくれたのは――あの3人。
大人になっても、信頼しあえる、その姿を・・・羨ましいと思った。
奇麗事だけでは生きていけないことを知っていて、裏切りを知っていて、それでも、心の奥で相手を信頼していた。
裏切りなんてよくあること、と悟ったようなことを言うでもなく、こいつは裏切るかもしれないから信じないと一線を引くでもなく。
裏切るのなら、相応の理由があったのだ、考えがあるのだ、と思える信頼。
裏切らせてしまったのは、自分たちなのかもしれないと省みる、相手の信頼に応えられる己であったかを振り返る厳しさ。
あたしは、そっちのほうがいい。
裏切るほうが悪い、ではなくて・・・そう思えるほど、相手を好きになれるほうが、いい。
「・・・なんで、先生たちを殺したの?」
「殺さなければならなかったからだ」
「殺さなければ・・・?」
もしルシウスが殺されただろう、というのなら。
大切な人が盾にされていたというのなら。
だから、その決断をしたというのなら。
それなら、あの人たちは、きっと・・・。
「仕方がない。彼らは帝王に逆らったのだから」
そういって、ルシウスは笑った。
その言葉を聴いた瞬間。
怒りがこみ上げて、頭が真っ白になった。
胃の辺りが冷える。
頭のどこかがなにかを叫んでいるけど、そんなこと、どうでもいい。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう」
うお。我ながらものごっつい冷たい声だった。
だけどさ。
「じゃあ、もう話すことはないわね」
立ち上がって、身体についた草を払う。
「さよなら、ルシウス」
「キリュウ?」
「仕方がないって、なに?」
仕方がないことなんて、ない。
じゃあ、誰かの不注意で事故にあうのは、仕方ないのか。
気が狂った人に襲われるのは、仕方ないのか。
戦争が起こるのは、仕方ないのか。
ねえ、それって、本当に、仕方がないことなの?
「そこまで物がわかってないとは思わなかった。誰にも教えてもらえなかったんじゃないわ。あなたに、想像力がないのね。誰かの痛みを自分だったら、と省みることができない人なんて」
そんな人。
「付き合う価値もないわ」
「・・・利害関係は一致していると思うが?」
「利害っていうのはね、あなたの都合とあたしの都合が一致するときのことを言うの。あたしがあなたと付き合うメリットってある?」
何もない。
帝王に組する気もない。引き入れてもらわなくて結構。
彼と通じて、無理に情報を引き出さなくたって、あたしは知っている。
知る術もある。
ブラック家の情報はレギュラスやアルファードさんからもらえば良い。
「友達なら、付き合う価値があるわね」
好き、だから一緒にいたいという、思いが一致するのなら。
「仕方ないから、人を殺していいの?仕方ないって、なに?仕方なかったら、人を苦しめたり、悲しませたりして許されるの?いったいどんな事情があったら『仕方ない』なんていう言葉で許せるわけ?」
仕方ないって、そんなときに使っていい言葉?
仕方ないから、人を殺す。
仕方ないから、人を苦しめる。
仕方ないから、誰かの大切な人を殺す。
仕方ないから、誰かにないてもらう。
仕方ないから―――
じゃあ、仕方ないってなに?
なにがどうなったら仕方ないの?
他に方法がない、っていう意味で使ってないじゃない。
人を殺す理由に、仕方ないものなんて、ない。
誰かの命を奪って、『仕方ない』って言い訳をしていいことなんて、存在しない。
しちゃいけない。
「あなた、もしあたしが殺されたら、悲しくないの?」
「・・・悲しい、と思うだろう」
「殺した相手を恨まないの?」
「恨むとも」
「もし、苦しんで殺されたら?」
「相手も同じ目にあわせよう」
「あたしを殺した人が、だって仕方ないじゃないか、って言ったら?」
ルシウスが、戸惑った顔をした。
「あたしを殺すのは仕方なかった、だってそれしか方法がなかったんだから、仕方ないじゃないか、許してくれって言ったら、あなた、どう思うの?」
「・・・・・・・・それ、は・・・非道だと・・・」
これを言うのは、酷い、という人がいるかもしれない。
だけど、酷いのはどっちだ。
人を殺すことに、正義は絶対にない。
たとえ―――それが、悪人であっても。
「じゃあ――それが、ヴォルデモートでも?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ルシウスの表情がそっくり抜け落ちた。
「あたしが、ヴォルデモートに殺されても、あなたは彼を苦しめて殺すことが出来る?」
それは、ルシウスには出来ないだろう。
とっさに、考えてしまうはずだ。
それをする、リスクと、自分の安全を。
それに、多分、あたしがヴォルデモートを殺しても、ルシウスは泣かないし、悲しまない。
だけど、ヴォルデモートを殺したら、ベラは泣くだろう。
殺した人間を恨むだろう。
それでも、殺すしかその人を止める手段がない、と、そう思ったのなら。
その罪を引き受けるべきなのだ。
仕方なかったなんて言葉で逃げないで。
あえてその罪を犯すという重さを一生背負う覚悟を決めて罪を犯すべきなのだ。
だって、仕方ないじゃないか。それしか方法がなかったんだから。
もし、大切な人が殺されたときに、殺した相手がそんなことを言ったら。
あたしは、それを言った人間を蔑むだろう。
お前などのために、殺されていい人じゃなかった、と。
そう、思うだろう。
ルシウスが、少しでも後悔してくれているなら、人を殺したことに苦しんでいるなら、あたしは、ルシウスを許した。
他の誰が許さなくても、あたしだけは、ルシウスを受け入れた。
許せない、という気持ちを封じることが出来た。
だけど、何も後悔してない。
人を殺した重みを感じてもいない。
それどころか。
仕方ない、なんて。
簡単に、笑って言わないでほしかった。
「さよなら、ルシウス」