3年生(親世代) 完結 (52話)
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「それウィルおじさん困ってただろう!」
「ええ、ええ!まさかあの人が妻帯者だったとは思いませんでしたとも!」
プロポーズ、というあたしの言葉にお腹を抱えて大爆笑して。
そんなことを教えてくれた。
「・・・別れてるけどね」
「・・・・・・・・・・・・うん」
あたしと、同じ歳の娘がいるんだと笑っていた。
といっても、あたしの本来の歳・・・22歳の娘。
まさかそんな年だったとは・・・。
「叔父さん、サクがあの子と重なるって言ってたもんな」
「あの子って」
「・・・叔父さんの家族とは、僕たちも付き合いがない。だから、遠くから顔を見たことがあるだけで付き合いがないんだよ」
「・・・・・・・そう、なんだ」
意外。
そんな関係にいるなんて。
だって、彼なら、家族を大切にして…たとえ離れていても、家族とのつながりを大切にしそうな気がしたから。
それに、どうして離婚?
こんな美味しい物件、あたしなら絶対逃さないわよ。
「物件・・・って君ね・・・結婚っていうのは、心から愛せると思ったただ一人の人と一生を共に過ごしていくためにすることだろう?」
「・・・・・・・・・・・・甘いわ、ジェームズ」
甘い甘い。
世の中そんなんじゃ渡っていけないのよ!
「それじゃあ、政略結婚じゃないか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・いや、ちょっと違うと思う」
「どう違うんだい?」
「愛と希望と夢だけじゃ世の中渡っていけないってこと」
「そんなこと知ってるよ。このご時世だしね」
・・・知っててその発言かい。
「こんな時世だからこそ、大切に思える人と一緒に短い間でも心から愛し合って生きていきたいじゃないか」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「そんな妥協と打算で成立するような関係に費やす時間なんてもったいないよ」
・・・・・・・・・・・・・・びっくりした。
まさかジェームズがそんなことを考えるなんて。
「だからシリウスに腹が立つんだよ。あいつがやってることって、真剣な思いを持っている女性に対して、すごく失礼なことしてるから」
「・・・・・・・・・・・・・・・だから、怒ってるの?」
誰のことを言っているのか、ジェームズはすぐにわかったみたいだった。
さすが、というか、今の状況なら嫌でもわかるわよね。
しかめた顔はそのままに、ふん、と馬鹿にしたように口を開く。
「それもあるけど。ま、一番の理由はリリーに失礼なこと言ったっていうのと・・・純血主義のあいつがあいつらの言うところの"穢れた血”と恋愛をするなんて、傷つけるか馬鹿にするか、どちらかの理由しかないと思ったからさ」
最初からそんなつもりで付き合われたんじゃリリーがかわいそうだ、というジェームズが、ふと視線をめぐらせてぎょっとしたようだった。
「あ・・・」
シリウスが、いる。
じっと険しい顔でこっちをにらんで。
シリウスとジェームズの視線が一瞬絡んで。
しばらくにらみあうかのようにしていたのに、シリウスがふっと冷笑して、視線をそらした。
「・・・・・・・・・・・・ジェームズ」
冷笑の理由は、わかる。
ジェームズが、先に視線をそらしたんだ。
逃げるように、そらしたんだ。
それをシリウスは嘲笑った。
視線から逃げるのか、と。
視線をテーブルに落としているジェームズの頭を見ながら、理屈も抜きに、思った。
よくない。
この仲たがいは、ダメだ。
喧嘩ならいい。
自分たちの主張が一緒にはならなくて、お互いに譲れなくて、ぶつかる喧嘩なら。
だけど、これは違う。
違う気がする。
いろんな理由がある。
お互いに理由があって、今こうなってる。
だけど、この関係を維持しているのは、そんな譲れない理由じゃない。
そう、直感した。
意地と、きまずさと。
それだけだ。
早く終わらせないと、こじれる。
「ジェームズ」
「なんだい?」
「意地っ張りの頑固者なのね。意外と」
「・・・・・・・・・は?」
顔、上げなさいよ。
そんな風に視線から逃げるようにしなくたっていいじゃない。
「さみしくないの?」
「・・・・・・別に」
「いつも傍にいたのに」
「だから!あいつなんて・・・!」
「もう嫌い?」
「・・・・・・・・・・・・嫌いだよ」
「嘘ね」
嫌いじゃないでしょう?
それどころか、寂しいでしょう。
あんなに側に居た人がいなくなって。
「・・・・・・・・・・・・・」
「ねえ、ジェームズ。自分に嘘をついてごまかしたって、結局はごまかしきれなくて自分を追い詰めるだけだわ」
自分に嘘をついてごまかしたって、後悔でいっぱいになって苦しくなるだけ。
あたしは、何度も経験してる。
でも自分でやっちゃったことからは逃げられないのよ。
そして…最後は、相手の顔を見ることも出来なくなる。
そうやって友だちってのは失われてくのよ。
「・・・・・・・・・どうしろって、いうんだよ」
よし!
そう聞くってことは、少しは仲直りする気になったってことよね!
「そうねえ・・・素直に謝っちゃえば?」
にこやかに言ったあたしに、ジェームズはぽかぁんとしたなんともアホっぽい顔をさらしたのであった。
「それウィルおじさん困ってただろう!」
「ええ、ええ!まさかあの人が妻帯者だったとは思いませんでしたとも!」
プロポーズ、というあたしの言葉にお腹を抱えて大爆笑して。
そんなことを教えてくれた。
「・・・別れてるけどね」
「・・・・・・・・・・・・うん」
あたしと、同じ歳の娘がいるんだと笑っていた。
といっても、あたしの本来の歳・・・22歳の娘。
まさかそんな年だったとは・・・。
「叔父さん、サクがあの子と重なるって言ってたもんな」
「あの子って」
「・・・叔父さんの家族とは、僕たちも付き合いがない。だから、遠くから顔を見たことがあるだけで付き合いがないんだよ」
「・・・・・・・そう、なんだ」
意外。
そんな関係にいるなんて。
だって、彼なら、家族を大切にして…たとえ離れていても、家族とのつながりを大切にしそうな気がしたから。
それに、どうして離婚?
こんな美味しい物件、あたしなら絶対逃さないわよ。
「物件・・・って君ね・・・結婚っていうのは、心から愛せると思ったただ一人の人と一生を共に過ごしていくためにすることだろう?」
「・・・・・・・・・・・・甘いわ、ジェームズ」
甘い甘い。
世の中そんなんじゃ渡っていけないのよ!
「それじゃあ、政略結婚じゃないか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・いや、ちょっと違うと思う」
「どう違うんだい?」
「愛と希望と夢だけじゃ世の中渡っていけないってこと」
「そんなこと知ってるよ。このご時世だしね」
・・・知っててその発言かい。
「こんな時世だからこそ、大切に思える人と一緒に短い間でも心から愛し合って生きていきたいじゃないか」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「そんな妥協と打算で成立するような関係に費やす時間なんてもったいないよ」
・・・・・・・・・・・・・・びっくりした。
まさかジェームズがそんなことを考えるなんて。
「だからシリウスに腹が立つんだよ。あいつがやってることって、真剣な思いを持っている女性に対して、すごく失礼なことしてるから」
「・・・・・・・・・・・・・・・だから、怒ってるの?」
誰のことを言っているのか、ジェームズはすぐにわかったみたいだった。
さすが、というか、今の状況なら嫌でもわかるわよね。
しかめた顔はそのままに、ふん、と馬鹿にしたように口を開く。
「それもあるけど。ま、一番の理由はリリーに失礼なこと言ったっていうのと・・・純血主義のあいつがあいつらの言うところの"穢れた血”と恋愛をするなんて、傷つけるか馬鹿にするか、どちらかの理由しかないと思ったからさ」
最初からそんなつもりで付き合われたんじゃリリーがかわいそうだ、というジェームズが、ふと視線をめぐらせてぎょっとしたようだった。
「あ・・・」
シリウスが、いる。
じっと険しい顔でこっちをにらんで。
シリウスとジェームズの視線が一瞬絡んで。
しばらくにらみあうかのようにしていたのに、シリウスがふっと冷笑して、視線をそらした。
「・・・・・・・・・・・・ジェームズ」
冷笑の理由は、わかる。
ジェームズが、先に視線をそらしたんだ。
逃げるように、そらしたんだ。
それをシリウスは嘲笑った。
視線から逃げるのか、と。
視線をテーブルに落としているジェームズの頭を見ながら、理屈も抜きに、思った。
よくない。
この仲たがいは、ダメだ。
喧嘩ならいい。
自分たちの主張が一緒にはならなくて、お互いに譲れなくて、ぶつかる喧嘩なら。
だけど、これは違う。
違う気がする。
いろんな理由がある。
お互いに理由があって、今こうなってる。
だけど、この関係を維持しているのは、そんな譲れない理由じゃない。
そう、直感した。
意地と、きまずさと。
それだけだ。
早く終わらせないと、こじれる。
「ジェームズ」
「なんだい?」
「意地っ張りの頑固者なのね。意外と」
「・・・・・・・・・は?」
顔、上げなさいよ。
そんな風に視線から逃げるようにしなくたっていいじゃない。
「さみしくないの?」
「・・・・・・別に」
「いつも傍にいたのに」
「だから!あいつなんて・・・!」
「もう嫌い?」
「・・・・・・・・・・・・嫌いだよ」
「嘘ね」
嫌いじゃないでしょう?
それどころか、寂しいでしょう。
あんなに側に居た人がいなくなって。
「・・・・・・・・・・・・・」
「ねえ、ジェームズ。自分に嘘をついてごまかしたって、結局はごまかしきれなくて自分を追い詰めるだけだわ」
自分に嘘をついてごまかしたって、後悔でいっぱいになって苦しくなるだけ。
あたしは、何度も経験してる。
でも自分でやっちゃったことからは逃げられないのよ。
そして…最後は、相手の顔を見ることも出来なくなる。
そうやって友だちってのは失われてくのよ。
「・・・・・・・・・どうしろって、いうんだよ」
よし!
そう聞くってことは、少しは仲直りする気になったってことよね!
「そうねえ・・・素直に謝っちゃえば?」
にこやかに言ったあたしに、ジェームズはぽかぁんとしたなんともアホっぽい顔をさらしたのであった。