1年生(親世代) 完結 (99話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
21
それを見たのは、偶然だった。
あたしは、いつものようにリリーやアリスたちとレイブンクローやハッフルパフの女の子たちと一緒に課題をやっていた帰りで。
その姿を、見つけた。
「・・・サク?」
「・・・ねえ。あれ、シリウスじゃない?」
ぽつん、と一人で、座り込んでいるシリウスの黒い髪が、夕日に照らされて、ほんのり赤く染まって見えた。
「そうね」
「またブラックなの?あなたもよくよくかまうのが好きね」
マギーの口調には、呆れる以外の響きがあって。
あたしは、びっくりした。
それは、嫌がっているようにしか聞こえなかったから。
「マギー」
「なにかしら?」
あたしは、ひょっとしたら。
初めてマギーを正面から見てるのかもしれない。
ずっと、彼女には興味を持てなかったから。
あの未来に…ハリーポッターにかかわる人たちのことしか、見てなかったから。
「あなた、シリウスが嫌いなの?」
マギーは、あたしの視線を避けるみたいに、顔を伏せた。
そして。アリスも。
「…嫌いじゃない。でも…ブラックは好きになれない」
「…アリスも?」
「…私、は…その……」
こんなに、はっきりしないのは、初めてだった。
マギーも、アリスも。
はっきりとした人だから。
「ブラック家だから?」
「そうよ。ブラックだから。わたしは、シリウスが悪い人だとは思わない。…でも、彼はブラックよ。…それが、嫌なの」
ブラックだから?
ブラック家だから。その家に生まれたことが、ダメだというの…?
「あの…私は…その…嫌いじゃ、ないの…でも…どうしていいのかわからなくて…」
「わからない?」
「…スリザリンに入るはずだった人よ…ポッターとは付き合ってるけど…他の人とは距離置いてるし…あなたとポッターだけでしょ?仲良くしてるの…」
そうだったの!?
あたしはてっきり…みんなと仲が良いのかと…
「だから…その…ひょっとしたら、やっぱり…純血の人としか付き合いたくないのかしらって…私は、ハーフだし…」
「それに、あたしたちが話しかけても顔を背けるのよね」
それは、あたしがはじめて知るシリウスの姿だった。
「ブラック家へのこだわりを、簡単には捨てられない。シリウスがどういう人であっても…わたしには、シリウスはブラックの跡取りにしか見えないの」
「ブラック家は…そんなに重い?」
「…重すぎるわ」
あたしは、甘く見ていた。
あたしにとって、シリウスは…ハリーの名づけ親で…悪戯仕掛け人で…馬鹿がつくぐらい真っ正直で単純で…友達を大切にする人だった。
不死鳥を読んだって、シリウスはグリフィンドールだと疑いもしなかった。
これは、大きいのかもしれない。
あたしは、シリウスがグリフィンドールだと最初から思っていた。スリザリンに入るなんて、まったく思わなかった。
だけど…皆は…シリウスはスリザリンだと思っていた。
ブラックという純血一族の名前を背負う人だと、思っていた。
グリフィンドールという寮にいた彼が、ただ幸せだと思っていたあたしは…甘かった。
歓迎してくれたからだいじょうぶだなんて…誰が決められるだろう。
彼は、ハリーじゃない。
ハリーという英雄のように、歓迎だけで受け入れられるはずもないのに。
シリウスは、ただぼんやりと空を見つめているみたいだった。
その顔には、なんの表情もなくて。
見ているほうが、切なくなるぐらい…生気のない顔だった。
シリウスじゃないみたい…。
声が、かけられなかった。
その背中が、孤独で…泣いているみたいで。
あたしは、かける言葉を持たなかった。
ただ黙って、シリウスの背中を見つめているしかなかった。
ふと、その背中がゆらぐ。
振り返って…輝くような笑顔になった。
「よ」
その笑顔が、いつものシリウスだ。
あたしの見慣れたシリウスだ。
「ここ、いい?」
ひょい、とポケットから出てきたハンカチが広げられる。
「どうぞ」
「・・・・・・シリウスったら」
フツウはそんなこと、しないわよ。
「制服汚れるだろ」
「シリウスは?」
「いいって。汚れたって」
ごろん、とシャツのまま寝転がったシリウスが、ぷっと吹き出す。
「なんかむずむずすんな~と思ったら、なんでお前あんなところにいたの?」
「なによぉ…なんかシリウスが考え事でもしてるのかな、と思って待ってたんじゃない」
「お前のことだからどうやって脅かしてやろうか考えてるうちに俺が気づいたんだろう」
「あら。よくわかったわね。なかなか良いのが考え付かなかったのよ」
「・・・マジかよ・・・」
よかった、とはなによ。ご挨拶ね。
あたしだって、やっていいときと悪い時の区別ぐらいついてますからね。
「…ジェームズと、一緒にいないのね」
こんなところで、たった一人。
「…あいつさ、最近おかしいんだよな」
「おかしい?」
「…やたら俺にくっついてるし…友達のはずのマッキノンとかロングボトムにつっかかるし…」
びっくりした。
同室の人を苗字で呼ぶ、距離にも。
あの仲の良い2人につっかかるというジェームズにも。
「母上みてえ」
たしかに。昨日のジェームズの様子は、ちょっとおかしかった。
守るから、と言ったジェームズは…どこがおかしいとはいえないけれど・・・そう・・・違和感が。
「俺は…母上は2人もいらねえよ」
本物だけでうっとうしいつーのに。
その言い方が、いかにもで。
ほんとに、この子は・・・
「それに、さ…俺は、わかる気がするから」
「え?」
「・・・・・・マッキノンや、ロングボトムが俺と距離を置く理由も…グリフィンドールが俺を遠巻きにしてる理由も」
あたしは、なんと言っていいかわからなかった。
どうして。
たった11歳なのに、どうして彼はそんなことを考えているんだろう。
もっと、自分の境遇に理不尽だと怒りを抱いたっていいはずなのに。
ものわかりの良い理解なんて…しなくてもいい年なのに。
「俺は、ブラックなんだから」
ブラックだから。
マギーの言葉がよみがえる。
ほんとうに?
ほんとうにブラックだから、仕方ないの?
あなたは、ブラックだからという理由で…なにをあきらめようとしているの?
「だから…グリフィンドールと仲良く出来なくても仕方ない?」
「・・・そんなことは思わない。…でも、感じるんだ。ブラックという名に、距離を置かれているのが」
「・・・・・・・・・・」
「仕方ない。俺は、シリウス・ブラックだ」
それは、変えられないのだと。
言い聞かせるみたいだった。
あたしに・・・そして、シリウス自身に。
「そうだね・・・」
あたしが・・・異世界の人間、キリュウサクラであるのと同じように。
シリウスは、シリウス・ブラックで。
それは・・・変えられないことだから。
「別の人には・・・なれないもんね・・・・・・」
どんなにこの運命を呪っても。
あたしがあたしであることを・・・やめることは、できないね・・・
「勘違いするなよ?…俺は、あきらめるなんていってないぞ」
「え?」
あきらめるんじゃないの!?
ブラックだから。
「あきらめてたまるかよ。ブラックって余計な看板のおかげで遠巻きにされてるなら、本当の俺を知ってもらって近づいてもらえばいいだけだ。それには…時間が必要だろ?」
あたしは、きっとまぬけな顔をしてる。
あきらめてるんだと思ってた。
物分りの良い顔をしてるんだと思ってた。
なのに・・・なんでこんなに強いの!?
あなたは、どうしてそんなに強くなれるの?
「なんだよ・・・その顔・・・」
「いや・・・意外で」
かなり。
そんなに前向きな人だっけ・・・?
「あのなぁ・・・・・・俺は、諦めが悪いんだよ。自分でなにもしてないのにあきらめるなんて冗談じゃねえ。気持ち悪い」
「あ・・・あはは・・あははは・・・」
思わず、笑いがもれた。
そうだよね!
そうじゃなきゃ。グリフィンドールじゃないよね!
なんか・・・一気に迷いを晴らされた気分だった。
うん。痛快!
シリウス。あなたは、どこまであたしの予想を裏切ってくれるわけ!?
すごい。
本当に、シリウス・ブラックって、すごい人だね。
「笑うなって!俺はまじめに言ってんだぞ!」
「ごめ・・・ごめん・・っいや、もう・・・シリウスってすごい!!」
尊敬する!
「なんなんだよ、お前は~・・・・・・」
ん?なんでそこで視線そらすんですか。
夕日のせいじゃなく耳赤いよ~?
「ま、俺はさ・・・今まで友達いなかったから」
いなかったのか。
孤独だな・・・
「正直、お前と…ジェームズに救われてる」
「は?」
「お前たちがいてくれてるからさ…独りじゃないって思うから、俺は…前向きにがんばれるのかもしれない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あたしたちが、いるからって・・・・・・
いや、ちょっと・・・
それって・・・
「すっごい殺し文句・・・・・・」
「だから!・・・これからも、よろしく頼むって言いたかったんだよ!!」
うん・・・・・・うん・・・シリウス・・・
伝わったよ。
うれしい。
あたしが、ここにいて・・・よかったよ・・・
ホグワーツに来て、よかったって・・・思えた。
「シリウスぅ~」
「なんだよっ」
「あたしさ~・・・シリウスにあえてよかった」
「はぁ?」
「いいじゃない。あたしにも言わせてよ。シリウスにあえて・・・ホグワーツに来て、よかった!!」
「・・・・・・・・・へぇ。そうかよ」
「それだけぇ?」
「・・・うれしいよ・・・サクラ」
・・・・・・・・こんの・・・天然タラシめ・・・
ヘタレ犬のくせにーっ
ほんっと!あたしのつぼをついてくれるよね。
うれしい、だけじゃなくて名前まで呼ばれるのって・・・ポイント高いんだからね。
うん。あたしが悩んでもしかたない。
「お前はいいよな~いつも能天気で明るくてさ」
「暗い時だってありますー」
「ないっ!!」
「あ!ひどっ」
「無駄に明るくて無駄にうるさい!」
「そういうこと言うと!シリウスからリリーに乗り換えるわよっ」
「なんだよ、それは!!」
よいせっと立ち上がって。あたしはシリウスに手を差し出した。
「ね、帰ろ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「帰ろう、シリウス」
グリフィンドールに。
「・・・・・・ああ。帰ろう」
手をつないで。
一緒に帰ろう。
あなたがあたしの存在をうれしいと言ってくれるなら。
あたしは、いつだって一緒にいるから。ね?
「ジェームズも・・・お前みたいならいいのにな」
「え?」
「ジェームズさ・・・お前みたいに…単純ならいいのにな」
「・・・・・・・・・・・たんじゅんとはしつれいな」
「悪い」
ぜんぜん悪いとか思ってない顔ですね。あなた。
「・・・ジェームズが、落ち着くといいね」
「ああ」
あんなふうに・・・全てからシリウスを守ろうと・・・遠ざけようとするんじゃなくて・・・
違うあり方を、探せるといいね。
「ともだちかぁ」
「ともだちって・・・むずかしいなあ」
「なに哲学してんの?シリウスには10年はやーい」
「お前な・・・・・・」
馬鹿みたいに笑いながら、あたしとシリウスは、手をつないで寮に向かった。
そこに、とんでもない騒ぎが待ち受けているなんて、思いもせずに。
それを見たのは、偶然だった。
あたしは、いつものようにリリーやアリスたちとレイブンクローやハッフルパフの女の子たちと一緒に課題をやっていた帰りで。
その姿を、見つけた。
「・・・サク?」
「・・・ねえ。あれ、シリウスじゃない?」
ぽつん、と一人で、座り込んでいるシリウスの黒い髪が、夕日に照らされて、ほんのり赤く染まって見えた。
「そうね」
「またブラックなの?あなたもよくよくかまうのが好きね」
マギーの口調には、呆れる以外の響きがあって。
あたしは、びっくりした。
それは、嫌がっているようにしか聞こえなかったから。
「マギー」
「なにかしら?」
あたしは、ひょっとしたら。
初めてマギーを正面から見てるのかもしれない。
ずっと、彼女には興味を持てなかったから。
あの未来に…ハリーポッターにかかわる人たちのことしか、見てなかったから。
「あなた、シリウスが嫌いなの?」
マギーは、あたしの視線を避けるみたいに、顔を伏せた。
そして。アリスも。
「…嫌いじゃない。でも…ブラックは好きになれない」
「…アリスも?」
「…私、は…その……」
こんなに、はっきりしないのは、初めてだった。
マギーも、アリスも。
はっきりとした人だから。
「ブラック家だから?」
「そうよ。ブラックだから。わたしは、シリウスが悪い人だとは思わない。…でも、彼はブラックよ。…それが、嫌なの」
ブラックだから?
ブラック家だから。その家に生まれたことが、ダメだというの…?
「あの…私は…その…嫌いじゃ、ないの…でも…どうしていいのかわからなくて…」
「わからない?」
「…スリザリンに入るはずだった人よ…ポッターとは付き合ってるけど…他の人とは距離置いてるし…あなたとポッターだけでしょ?仲良くしてるの…」
そうだったの!?
あたしはてっきり…みんなと仲が良いのかと…
「だから…その…ひょっとしたら、やっぱり…純血の人としか付き合いたくないのかしらって…私は、ハーフだし…」
「それに、あたしたちが話しかけても顔を背けるのよね」
それは、あたしがはじめて知るシリウスの姿だった。
「ブラック家へのこだわりを、簡単には捨てられない。シリウスがどういう人であっても…わたしには、シリウスはブラックの跡取りにしか見えないの」
「ブラック家は…そんなに重い?」
「…重すぎるわ」
あたしは、甘く見ていた。
あたしにとって、シリウスは…ハリーの名づけ親で…悪戯仕掛け人で…馬鹿がつくぐらい真っ正直で単純で…友達を大切にする人だった。
不死鳥を読んだって、シリウスはグリフィンドールだと疑いもしなかった。
これは、大きいのかもしれない。
あたしは、シリウスがグリフィンドールだと最初から思っていた。スリザリンに入るなんて、まったく思わなかった。
だけど…皆は…シリウスはスリザリンだと思っていた。
ブラックという純血一族の名前を背負う人だと、思っていた。
グリフィンドールという寮にいた彼が、ただ幸せだと思っていたあたしは…甘かった。
歓迎してくれたからだいじょうぶだなんて…誰が決められるだろう。
彼は、ハリーじゃない。
ハリーという英雄のように、歓迎だけで受け入れられるはずもないのに。
シリウスは、ただぼんやりと空を見つめているみたいだった。
その顔には、なんの表情もなくて。
見ているほうが、切なくなるぐらい…生気のない顔だった。
シリウスじゃないみたい…。
声が、かけられなかった。
その背中が、孤独で…泣いているみたいで。
あたしは、かける言葉を持たなかった。
ただ黙って、シリウスの背中を見つめているしかなかった。
ふと、その背中がゆらぐ。
振り返って…輝くような笑顔になった。
「よ」
その笑顔が、いつものシリウスだ。
あたしの見慣れたシリウスだ。
「ここ、いい?」
ひょい、とポケットから出てきたハンカチが広げられる。
「どうぞ」
「・・・・・・シリウスったら」
フツウはそんなこと、しないわよ。
「制服汚れるだろ」
「シリウスは?」
「いいって。汚れたって」
ごろん、とシャツのまま寝転がったシリウスが、ぷっと吹き出す。
「なんかむずむずすんな~と思ったら、なんでお前あんなところにいたの?」
「なによぉ…なんかシリウスが考え事でもしてるのかな、と思って待ってたんじゃない」
「お前のことだからどうやって脅かしてやろうか考えてるうちに俺が気づいたんだろう」
「あら。よくわかったわね。なかなか良いのが考え付かなかったのよ」
「・・・マジかよ・・・」
よかった、とはなによ。ご挨拶ね。
あたしだって、やっていいときと悪い時の区別ぐらいついてますからね。
「…ジェームズと、一緒にいないのね」
こんなところで、たった一人。
「…あいつさ、最近おかしいんだよな」
「おかしい?」
「…やたら俺にくっついてるし…友達のはずのマッキノンとかロングボトムにつっかかるし…」
びっくりした。
同室の人を苗字で呼ぶ、距離にも。
あの仲の良い2人につっかかるというジェームズにも。
「母上みてえ」
たしかに。昨日のジェームズの様子は、ちょっとおかしかった。
守るから、と言ったジェームズは…どこがおかしいとはいえないけれど・・・そう・・・違和感が。
「俺は…母上は2人もいらねえよ」
本物だけでうっとうしいつーのに。
その言い方が、いかにもで。
ほんとに、この子は・・・
「それに、さ…俺は、わかる気がするから」
「え?」
「・・・・・・マッキノンや、ロングボトムが俺と距離を置く理由も…グリフィンドールが俺を遠巻きにしてる理由も」
あたしは、なんと言っていいかわからなかった。
どうして。
たった11歳なのに、どうして彼はそんなことを考えているんだろう。
もっと、自分の境遇に理不尽だと怒りを抱いたっていいはずなのに。
ものわかりの良い理解なんて…しなくてもいい年なのに。
「俺は、ブラックなんだから」
ブラックだから。
マギーの言葉がよみがえる。
ほんとうに?
ほんとうにブラックだから、仕方ないの?
あなたは、ブラックだからという理由で…なにをあきらめようとしているの?
「だから…グリフィンドールと仲良く出来なくても仕方ない?」
「・・・そんなことは思わない。…でも、感じるんだ。ブラックという名に、距離を置かれているのが」
「・・・・・・・・・・」
「仕方ない。俺は、シリウス・ブラックだ」
それは、変えられないのだと。
言い聞かせるみたいだった。
あたしに・・・そして、シリウス自身に。
「そうだね・・・」
あたしが・・・異世界の人間、キリュウサクラであるのと同じように。
シリウスは、シリウス・ブラックで。
それは・・・変えられないことだから。
「別の人には・・・なれないもんね・・・・・・」
どんなにこの運命を呪っても。
あたしがあたしであることを・・・やめることは、できないね・・・
「勘違いするなよ?…俺は、あきらめるなんていってないぞ」
「え?」
あきらめるんじゃないの!?
ブラックだから。
「あきらめてたまるかよ。ブラックって余計な看板のおかげで遠巻きにされてるなら、本当の俺を知ってもらって近づいてもらえばいいだけだ。それには…時間が必要だろ?」
あたしは、きっとまぬけな顔をしてる。
あきらめてるんだと思ってた。
物分りの良い顔をしてるんだと思ってた。
なのに・・・なんでこんなに強いの!?
あなたは、どうしてそんなに強くなれるの?
「なんだよ・・・その顔・・・」
「いや・・・意外で」
かなり。
そんなに前向きな人だっけ・・・?
「あのなぁ・・・・・・俺は、諦めが悪いんだよ。自分でなにもしてないのにあきらめるなんて冗談じゃねえ。気持ち悪い」
「あ・・・あはは・・あははは・・・」
思わず、笑いがもれた。
そうだよね!
そうじゃなきゃ。グリフィンドールじゃないよね!
なんか・・・一気に迷いを晴らされた気分だった。
うん。痛快!
シリウス。あなたは、どこまであたしの予想を裏切ってくれるわけ!?
すごい。
本当に、シリウス・ブラックって、すごい人だね。
「笑うなって!俺はまじめに言ってんだぞ!」
「ごめ・・・ごめん・・っいや、もう・・・シリウスってすごい!!」
尊敬する!
「なんなんだよ、お前は~・・・・・・」
ん?なんでそこで視線そらすんですか。
夕日のせいじゃなく耳赤いよ~?
「ま、俺はさ・・・今まで友達いなかったから」
いなかったのか。
孤独だな・・・
「正直、お前と…ジェームズに救われてる」
「は?」
「お前たちがいてくれてるからさ…独りじゃないって思うから、俺は…前向きにがんばれるのかもしれない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あたしたちが、いるからって・・・・・・
いや、ちょっと・・・
それって・・・
「すっごい殺し文句・・・・・・」
「だから!・・・これからも、よろしく頼むって言いたかったんだよ!!」
うん・・・・・・うん・・・シリウス・・・
伝わったよ。
うれしい。
あたしが、ここにいて・・・よかったよ・・・
ホグワーツに来て、よかったって・・・思えた。
「シリウスぅ~」
「なんだよっ」
「あたしさ~・・・シリウスにあえてよかった」
「はぁ?」
「いいじゃない。あたしにも言わせてよ。シリウスにあえて・・・ホグワーツに来て、よかった!!」
「・・・・・・・・・へぇ。そうかよ」
「それだけぇ?」
「・・・うれしいよ・・・サクラ」
・・・・・・・・こんの・・・天然タラシめ・・・
ヘタレ犬のくせにーっ
ほんっと!あたしのつぼをついてくれるよね。
うれしい、だけじゃなくて名前まで呼ばれるのって・・・ポイント高いんだからね。
うん。あたしが悩んでもしかたない。
「お前はいいよな~いつも能天気で明るくてさ」
「暗い時だってありますー」
「ないっ!!」
「あ!ひどっ」
「無駄に明るくて無駄にうるさい!」
「そういうこと言うと!シリウスからリリーに乗り換えるわよっ」
「なんだよ、それは!!」
よいせっと立ち上がって。あたしはシリウスに手を差し出した。
「ね、帰ろ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「帰ろう、シリウス」
グリフィンドールに。
「・・・・・・ああ。帰ろう」
手をつないで。
一緒に帰ろう。
あなたがあたしの存在をうれしいと言ってくれるなら。
あたしは、いつだって一緒にいるから。ね?
「ジェームズも・・・お前みたいならいいのにな」
「え?」
「ジェームズさ・・・お前みたいに…単純ならいいのにな」
「・・・・・・・・・・・たんじゅんとはしつれいな」
「悪い」
ぜんぜん悪いとか思ってない顔ですね。あなた。
「・・・ジェームズが、落ち着くといいね」
「ああ」
あんなふうに・・・全てからシリウスを守ろうと・・・遠ざけようとするんじゃなくて・・・
違うあり方を、探せるといいね。
「ともだちかぁ」
「ともだちって・・・むずかしいなあ」
「なに哲学してんの?シリウスには10年はやーい」
「お前な・・・・・・」
馬鹿みたいに笑いながら、あたしとシリウスは、手をつないで寮に向かった。
そこに、とんでもない騒ぎが待ち受けているなんて、思いもせずに。