3年生(親世代) 完結 (52話)
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15
ぽつぽつ、と頬に当たる雨が冷たい。
こんなときに降らなくてもいいのに。
ほんと、踏んだりけったり。
空まで、あたしを嫌ってるみたいに…氷雨が、降り注いでいた。
よけようか、とか傘、とか…考えなかったわけじゃないけど。
そんなことも面倒くさい。
「結局…失っちゃうんだね…」
大切な人たちを失いたくない。
それだけだったのに。
失いたくないはずの人たちが、離れていくようなことをしてしまった。
結局、それは…失われる。
生きていてくれればいい。
あんな、苦しい思いをしてほしくない。
だけど…あんな目を向けられて、みんなに離れていかれて、それでも生きていてくれればいい、と言い切る強さは・・・あたしには、ない。
そんな風に、思えない。
「…うかない顔だな?」
「ルシウス?」
白金の髪が、視界に揺れた。
なんで?
彼がここにいるの?
「一番最初に、敏感に計算して離れていきそうなのがあなたなのに、あなたが側にいるって、不思議な感じ」
案外、止めをさしに来たのかもしれないけど。
あたしの言葉に、ルシウスはひょい、と片眉をあげて笑った。
「言ったはずだぞ。私はお前を気に入っている」
それであっても。
「気に入っているからにはそれなりに信用するのが私の主義だ」
ぶは。
「なによそれー!」
笑いでくるしいんですけどー!?
「それに、私はあの子供たちのように幼くはないつもりだが?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「その顔だ」
「え?」
「お前の年にふさわしくない笑い方」
ん?
なんか笑ってた?
…うん。確かに自嘲というか。
うれしいけど、なんだか複雑だなーとは思ったけど。
「お前の年なら、もっと感情も思考も単純だ。ましてグリフィンドールならなおさらに」
「失礼ね」
今度は、うまく笑えたかな?
「そうやって、顔を作るのもお手のものだな。…ああ、勘違いするな?私は自分の作り笑いを見慣れているのでな」
・・・その言い方、ムカつくんですけどぉ。
「アンドロメダ・ブラックが、本当にブラック家次期当主の妻にふさわしいと私が思っていたとでも思うのか?」
「・・・・・・・・・・はい?」
「なぜ私が同じ年のアンドロメダを選ばなかったと思う?」
「…えと、それは…ブラック家の都合で・・・」
「違うな。アンドロメダとシリウスの婚約はシリウスがあのような性格だと判明してからのこと。その頃にはすでに私はナルシッサと婚約していた」
「・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
なんだか口癖になりそうだった。
「あんな、ブラック家としては規格はずれの金の髪の娘をどうしてわざわざ選んだと思う?この私が、だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
わからない。
わかるはずもない。
どうして?
計算高い彼なら、ブラック家としては価値が高いアンドロメダを選ぶはず。
「アンドロメダ・ブラックは、スリザリンにふさわしいが、決してブラック家にふさわしい女ではなかった。まして、我がマルフォイに迎えようとも思わなかった」
薄く笑う彼は、見慣れたもの。
だけど、どこか違うのは・・・本音を、話しているからだろうか。
「ブラック家の女を妻にするのには手間隙も、金も、なにもかもが必要だ。それぐらいなら、他家から迎えたほうがよほどまし」
例えば、プルウェットでも、ロングボトムでもな、と言うルシウスの真意が、さっぱりわからない。
だって、アンドロメダは。
「わからないか?これは直感だ。純血を尊ぶ家の妻に納まるような女ではない。そう直感した」
「・・・・・・・・・・・ルシウス?」
「あの女は、ブラック家をはみ出るだろう。そんな確信をもった。だからこそ、私はあの女を妻に選ばなかった」
「珍しいんじゃない?直感なんて」
「おや。意外とこれでも運命論者だ。試してみるか?」
なにをですか。なにを。
あごにかかった手に、近づいてくる顔に危険を覚えた瞬間だった。
ぐきゅるるるるる・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・い、いいじゃないかっおなかすいたんだから!
クスクスと笑ったルシウスがあたしの額にキスをする。
まるで、妹かなにかに、ふざけてするように。
「ああ、そうか。持ってきてやったのに忘れていた」
「え?」
「ほら」
そこに取り出されたのは、湯気をたてる、大きなマグカップに入った、ミルク入りの紅茶と、パンプキンパイだった。
「・・・・・・・・・・・・・これ」
「お前のことだ、どんなことがあろうと食事だけはするだろうと思ってな」
「・・・・・・・・・・・・うるさいわね」
でも、ありがたくいただく。
おいしい。
身体に、暖かさが広がる。
「ルシウス」
「ん?」
ことん、とその肩に頭を乗せて。
それをなんでもないこと、というように受け止めたルシウスの返事と一緒に、その手が、あたしの髪に触れた。
「ありがとう」
一瞬、動きを止めた手が、優しくあたしの髪を梳く。
「どうした?お前に礼を言われるとは思わなかった」
「失礼ね。それぐらいの礼儀はわきまえてるわ」
「知っているとも」
意外だっただけだ、と笑うルシウスに、どこか、ほっとした。
同時に、安心したからだろうか、まぶたが、ひどく重い気がした。
おかしい。急速に眠気が襲ってくる。
「朝までついていてやる」
「…ほん、と?」
「ああ」
「…あなたがそんなこと言うなんて…なんだか、こわい・・・・・・・」
「失礼なやつだ…おやすみ」
「お・・・やす、み・・・」
「良い夢を」
最後の記憶は、こめかみに優しく触れた、唇の感触だった。
ぽつぽつ、と頬に当たる雨が冷たい。
こんなときに降らなくてもいいのに。
ほんと、踏んだりけったり。
空まで、あたしを嫌ってるみたいに…氷雨が、降り注いでいた。
よけようか、とか傘、とか…考えなかったわけじゃないけど。
そんなことも面倒くさい。
「結局…失っちゃうんだね…」
大切な人たちを失いたくない。
それだけだったのに。
失いたくないはずの人たちが、離れていくようなことをしてしまった。
結局、それは…失われる。
生きていてくれればいい。
あんな、苦しい思いをしてほしくない。
だけど…あんな目を向けられて、みんなに離れていかれて、それでも生きていてくれればいい、と言い切る強さは・・・あたしには、ない。
そんな風に、思えない。
「…うかない顔だな?」
「ルシウス?」
白金の髪が、視界に揺れた。
なんで?
彼がここにいるの?
「一番最初に、敏感に計算して離れていきそうなのがあなたなのに、あなたが側にいるって、不思議な感じ」
案外、止めをさしに来たのかもしれないけど。
あたしの言葉に、ルシウスはひょい、と片眉をあげて笑った。
「言ったはずだぞ。私はお前を気に入っている」
それであっても。
「気に入っているからにはそれなりに信用するのが私の主義だ」
ぶは。
「なによそれー!」
笑いでくるしいんですけどー!?
「それに、私はあの子供たちのように幼くはないつもりだが?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「その顔だ」
「え?」
「お前の年にふさわしくない笑い方」
ん?
なんか笑ってた?
…うん。確かに自嘲というか。
うれしいけど、なんだか複雑だなーとは思ったけど。
「お前の年なら、もっと感情も思考も単純だ。ましてグリフィンドールならなおさらに」
「失礼ね」
今度は、うまく笑えたかな?
「そうやって、顔を作るのもお手のものだな。…ああ、勘違いするな?私は自分の作り笑いを見慣れているのでな」
・・・その言い方、ムカつくんですけどぉ。
「アンドロメダ・ブラックが、本当にブラック家次期当主の妻にふさわしいと私が思っていたとでも思うのか?」
「・・・・・・・・・・はい?」
「なぜ私が同じ年のアンドロメダを選ばなかったと思う?」
「…えと、それは…ブラック家の都合で・・・」
「違うな。アンドロメダとシリウスの婚約はシリウスがあのような性格だと判明してからのこと。その頃にはすでに私はナルシッサと婚約していた」
「・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
なんだか口癖になりそうだった。
「あんな、ブラック家としては規格はずれの金の髪の娘をどうしてわざわざ選んだと思う?この私が、だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
わからない。
わかるはずもない。
どうして?
計算高い彼なら、ブラック家としては価値が高いアンドロメダを選ぶはず。
「アンドロメダ・ブラックは、スリザリンにふさわしいが、決してブラック家にふさわしい女ではなかった。まして、我がマルフォイに迎えようとも思わなかった」
薄く笑う彼は、見慣れたもの。
だけど、どこか違うのは・・・本音を、話しているからだろうか。
「ブラック家の女を妻にするのには手間隙も、金も、なにもかもが必要だ。それぐらいなら、他家から迎えたほうがよほどまし」
例えば、プルウェットでも、ロングボトムでもな、と言うルシウスの真意が、さっぱりわからない。
だって、アンドロメダは。
「わからないか?これは直感だ。純血を尊ぶ家の妻に納まるような女ではない。そう直感した」
「・・・・・・・・・・・ルシウス?」
「あの女は、ブラック家をはみ出るだろう。そんな確信をもった。だからこそ、私はあの女を妻に選ばなかった」
「珍しいんじゃない?直感なんて」
「おや。意外とこれでも運命論者だ。試してみるか?」
なにをですか。なにを。
あごにかかった手に、近づいてくる顔に危険を覚えた瞬間だった。
ぐきゅるるるるる・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・い、いいじゃないかっおなかすいたんだから!
クスクスと笑ったルシウスがあたしの額にキスをする。
まるで、妹かなにかに、ふざけてするように。
「ああ、そうか。持ってきてやったのに忘れていた」
「え?」
「ほら」
そこに取り出されたのは、湯気をたてる、大きなマグカップに入った、ミルク入りの紅茶と、パンプキンパイだった。
「・・・・・・・・・・・・・これ」
「お前のことだ、どんなことがあろうと食事だけはするだろうと思ってな」
「・・・・・・・・・・・・うるさいわね」
でも、ありがたくいただく。
おいしい。
身体に、暖かさが広がる。
「ルシウス」
「ん?」
ことん、とその肩に頭を乗せて。
それをなんでもないこと、というように受け止めたルシウスの返事と一緒に、その手が、あたしの髪に触れた。
「ありがとう」
一瞬、動きを止めた手が、優しくあたしの髪を梳く。
「どうした?お前に礼を言われるとは思わなかった」
「失礼ね。それぐらいの礼儀はわきまえてるわ」
「知っているとも」
意外だっただけだ、と笑うルシウスに、どこか、ほっとした。
同時に、安心したからだろうか、まぶたが、ひどく重い気がした。
おかしい。急速に眠気が襲ってくる。
「朝までついていてやる」
「…ほん、と?」
「ああ」
「…あなたがそんなこと言うなんて…なんだか、こわい・・・・・・・」
「失礼なやつだ…おやすみ」
「お・・・やす、み・・・」
「良い夢を」
最後の記憶は、こめかみに優しく触れた、唇の感触だった。