4年生(親世代) 完結 (35話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
11
ぺたぺたと歩く足の黄色が枯れ草ときれいなコントラストを描く。
昨日降ったばかりの雪があちこちに溶け残っていて、吹き付ける風が普段なら、痛いほどに冷たいのに、この身体だと、そんなに感じない。
・・・・・・・・・やっぱし南極の生き物だから・・・?
冬でよかったわー。これって夏ならどんなことになるんだか。
冷たいには冷たいけど・・・。
肌が痛いとは思わない。
ぴりぴりして、いたーい!なんていう思いをしなくていいのはありがたい。
お、目標発見!
さあ!今こそ作戦決行!
…ぺんぎんってのが予定外だけど…。
抜き足差し足そぉっと近づく
風に揺れる黒い髪…だいぶ伸びたわね。
顔にかかるその髪をうっとうしげにかきあげている姿に下級生がキャーキャー言ってたっけ。
うっとうしそうだからいっそ頭のてっぺんでゴムで結んでやろうかと思ってるんだけどどうかしら。
不意に、シリウスが何かに気づいたみたいに、こっちに視線を向けた。
どきぃっ。
え、え、…気づかれるようなヘマしたかしら。
後ろからジャンピングキックかますつもりだったのに。
そのシリウスは、こちらを確りと見つめていた。
首を傾げてみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・反応なし。
手を振ってみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反応なし。
じーっと待ってみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5分はたったぞ、おい。
長い長い沈黙の後、シリウスが、ひどく乾いた声を漏らした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
ひゅるり、と乾いた風が駆け抜けた。
直後、何を思ったか、シリウスはポケットから取り出したチョコレートバーをあたしに向かってふった。
こっちこないかな、と期待している子供のような手つきで。
ぺたぺたと近づく。
「ほら。こいよ」
なんか、目がキラッキラしてますが。
なんかもー、すっごいおもしろそーな物見つけた!といわんばかりに…。
「うまいぞ、これ」
…そういえば、ペンギンってチョコレート食べるわけ?
「ってペンギン、チョコ食えるのか…?」
さあね。
「ま、いっか。死なないだろう」
おいおいおいおい!待たんかい!
「お前、こんなとこでなにしてんだ?」
あたしの顔を覗き込みながら、伸ばそうとした手が止まった。
「あ…と……」
困ったように手とあたしを見比べて、寂しそうに笑う。
最近見慣れた、シリウスの笑い方だった。
前みたいに、明るくて、輝くような笑顔が見られることはずっとずっと少なくなって。
レギュラスたち言うところの、「気品にあふれた高貴な微笑み」らしい、冷たい、唇だけで笑うやり方と、こんな、寂しそうな笑顔だった。
少しずつ、少しずつ、変わって行っていた。だけど、決定的になったのは、たぶん、この4年目が始まってからだ。
あたしが、呆然とあの二人を悼んでいる間に、シリウスは何かに変わってしまった。
何があったのか聞きたくても、シリウスはあたしを遠ざけてる。
前のように、触れてくることも、一緒に勉強することもなくなってしまった。
一緒にいても、必ず誰かが一緒にいる。
それが、なんだか寂しくて、不安で。
だから、こんな方法を選んだのかもしれない。
なんだかんだ言って、悩んでいた。
この方法を思いついたときから、本当にこんなことしていいのかなって、ずっと悩んでた。
やりかけて、でもやっぱり…って、思い直して。
やろう!と思って…シリウスの顔を見てしまったら、出来なくなって。
でも、これ以上ずるずる延ばしても出来ないって、そう思った。
アルファードさんと約束したことがある。
アンドロメダに、言ったことがある。
シリウスのことは任せてって。
世界が楽しいと教えるって。
だけど、あたしはシリウスのことを何も知らない。
知らなくたって、付き合うことはできる。
知らないからこそ、付き合える仲というのもある。
それは知ってる。
けれど、あの二人があたしに頼んだのは、そんな付き合いじゃない。
それなら、知らなければならない。
シリウスが、何を抱えていて、何を思っていて、何に苦しんでいるのか。
垣間見える欠片ではなく、伝え聞く情報ではなく、ありのままを。
ううん。知りたい。
あたし自身が、シリウスのことを知って、支えたい。
そう、思えるから。
あたしは、シリウスのためらう手に、ぺたぺた、と近づいて、そっと頬を寄せた。
「きゅぃ…」
大丈夫だよ。
触っていいよ。
あたしは、あなたの側にいるために、この姿になったのだから。
シリウスの手の感触が、あたしの頭に、くちばしに触れる。
そうして、シリウスは、切なくなるぐらい綺麗な顔で微笑った。
とても、とても、綺麗な微笑みに、あたしは一瞬見とれたのだった。
ぺたぺたと歩く足の黄色が枯れ草ときれいなコントラストを描く。
昨日降ったばかりの雪があちこちに溶け残っていて、吹き付ける風が普段なら、痛いほどに冷たいのに、この身体だと、そんなに感じない。
・・・・・・・・・やっぱし南極の生き物だから・・・?
冬でよかったわー。これって夏ならどんなことになるんだか。
冷たいには冷たいけど・・・。
肌が痛いとは思わない。
ぴりぴりして、いたーい!なんていう思いをしなくていいのはありがたい。
お、目標発見!
さあ!今こそ作戦決行!
…ぺんぎんってのが予定外だけど…。
抜き足差し足そぉっと近づく
風に揺れる黒い髪…だいぶ伸びたわね。
顔にかかるその髪をうっとうしげにかきあげている姿に下級生がキャーキャー言ってたっけ。
うっとうしそうだからいっそ頭のてっぺんでゴムで結んでやろうかと思ってるんだけどどうかしら。
不意に、シリウスが何かに気づいたみたいに、こっちに視線を向けた。
どきぃっ。
え、え、…気づかれるようなヘマしたかしら。
後ろからジャンピングキックかますつもりだったのに。
そのシリウスは、こちらを確りと見つめていた。
首を傾げてみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・反応なし。
手を振ってみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・反応なし。
じーっと待ってみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5分はたったぞ、おい。
長い長い沈黙の後、シリウスが、ひどく乾いた声を漏らした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
ひゅるり、と乾いた風が駆け抜けた。
直後、何を思ったか、シリウスはポケットから取り出したチョコレートバーをあたしに向かってふった。
こっちこないかな、と期待している子供のような手つきで。
ぺたぺたと近づく。
「ほら。こいよ」
なんか、目がキラッキラしてますが。
なんかもー、すっごいおもしろそーな物見つけた!といわんばかりに…。
「うまいぞ、これ」
…そういえば、ペンギンってチョコレート食べるわけ?
「ってペンギン、チョコ食えるのか…?」
さあね。
「ま、いっか。死なないだろう」
おいおいおいおい!待たんかい!
「お前、こんなとこでなにしてんだ?」
あたしの顔を覗き込みながら、伸ばそうとした手が止まった。
「あ…と……」
困ったように手とあたしを見比べて、寂しそうに笑う。
最近見慣れた、シリウスの笑い方だった。
前みたいに、明るくて、輝くような笑顔が見られることはずっとずっと少なくなって。
レギュラスたち言うところの、「気品にあふれた高貴な微笑み」らしい、冷たい、唇だけで笑うやり方と、こんな、寂しそうな笑顔だった。
少しずつ、少しずつ、変わって行っていた。だけど、決定的になったのは、たぶん、この4年目が始まってからだ。
あたしが、呆然とあの二人を悼んでいる間に、シリウスは何かに変わってしまった。
何があったのか聞きたくても、シリウスはあたしを遠ざけてる。
前のように、触れてくることも、一緒に勉強することもなくなってしまった。
一緒にいても、必ず誰かが一緒にいる。
それが、なんだか寂しくて、不安で。
だから、こんな方法を選んだのかもしれない。
なんだかんだ言って、悩んでいた。
この方法を思いついたときから、本当にこんなことしていいのかなって、ずっと悩んでた。
やりかけて、でもやっぱり…って、思い直して。
やろう!と思って…シリウスの顔を見てしまったら、出来なくなって。
でも、これ以上ずるずる延ばしても出来ないって、そう思った。
アルファードさんと約束したことがある。
アンドロメダに、言ったことがある。
シリウスのことは任せてって。
世界が楽しいと教えるって。
だけど、あたしはシリウスのことを何も知らない。
知らなくたって、付き合うことはできる。
知らないからこそ、付き合える仲というのもある。
それは知ってる。
けれど、あの二人があたしに頼んだのは、そんな付き合いじゃない。
それなら、知らなければならない。
シリウスが、何を抱えていて、何を思っていて、何に苦しんでいるのか。
垣間見える欠片ではなく、伝え聞く情報ではなく、ありのままを。
ううん。知りたい。
あたし自身が、シリウスのことを知って、支えたい。
そう、思えるから。
あたしは、シリウスのためらう手に、ぺたぺた、と近づいて、そっと頬を寄せた。
「きゅぃ…」
大丈夫だよ。
触っていいよ。
あたしは、あなたの側にいるために、この姿になったのだから。
シリウスの手の感触が、あたしの頭に、くちばしに触れる。
そうして、シリウスは、切なくなるぐらい綺麗な顔で微笑った。
とても、とても、綺麗な微笑みに、あたしは一瞬見とれたのだった。