4年生(親世代) 完結 (35話)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
7
「・・・お帰りなさい」
「・・・待っていたのか」
「うん」
会いたいって思ったら、我慢できなくなった。
毎日のようにガーゴイルの隣に座っていたあたしに、今日お帰りになりますよ、とささやいてくれたのはマクゴナガル先生だった。
膝を抱えて、子どもみたい、と笑いながら、それでも待っていた。
顔をみて、安心したかった。
あたしが、この世界で、唯一家族と呼べる人。
「・・・少しだけ、いい?」
「かまわんよ。入りなさい」
そっとそのローブに包まれるように背中を押されて、なぜだかわからないけれど、涙があふれた。
「座りなさい」
泣くな、とも・・・泣いていいとも言わず、ダンブルドアはあたしをただふかふかの椅子に座らせて、肩に手を置いた。
「サクラ」
「泣くなんて、子どもみたい・・・」
「大人も子どもも、悲しい時には泣くものじゃ」
「悲しいのかな・・・」
あたしは今、悲しいのかな?
「悲しくないということはないじゃろう?」
「・・・うん」
悲しい。あの二人が死んで。
だけど、悲しくて泣いているのかといわれたら、違和感がある。
「サクラ」
「なに」
「星を見にいこうかの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・星?」
何を、唐突に。
つれてこられたのは、意外や意外。シリウスが落ち込むといつもやってくる高いところだった。
あー、なんとかと煙は高いとこに・・・。
「なにか思ったかの?」
「・・・・・・・・・・・イエナンデモナイデス」
考えただけなのになぜわかる・・・。
「ダンブルドア」
「なんじゃ?」
「・・・ダンブルドアも、悲しいの?」
「悲しくないはずがなかろう」
「ダンブルドアは、泣かないの?」
「泣くとも」
「・・・・・・・・・・・泣くの!?」
ちょっと、やめてよ。イメージと違うし!
「お前さんが、人恋しくて、悲しみをどこにもやりようがなくて泣いているように、わしだって泣くんじゃ」
「・・・・・・・・・・・・・人聞き、悪いの」
そうか。あたし・・・寂しかったんだ。
泣きたいときに、泣ける場所がなくて。
休める場所が、なくて。
家族みたいに、受け止めてくれる場所がなくて。
だから、ダンブルドアに会いたかった。
「・・・修行不足だなあ・・・」
「お前さんはまだ若い」
「・・・もう、24よ」
「だが、まだ若い」
そりゃ、ダンブルドアに比べればね・・・。
「みんな、みんな若いというのに・・・残されるのは、わしじゃ」
「・・・・・・・・・・・ダンブルドア?」
「逝ってしまったなあ・・・ウィリアムも、ユリウスも・・・」
遠く空を見つめるダンブルドアの顔が、月の光に照らされて。
その目に、きらりと光るものがあったような気がした。
「なぜかな・・・悲しいよ。とても、悲しい」
「置いて、逝かれるのが?」
「生徒が、先に死ぬことを悲しまない教師などいるものか」
「ダンブルドア・・・?」
「まだまだ、たくさんの未来がある。これからも、たくさんの幸せをつかめる。そんなものたちが死んでいく。将来の夢を語るキラキラとした目を覚えている。未来など憂うことなく、毎日友と楽しそうにはしゃぎまわっていたのを覚えている。子どもが出来て、照れくさそうに笑っていた。その命が奪われるほど、悲しいことはない」
「・・・・・・・・・・・・・」
「先生、と呼ぶ声も、得意だった教科も、クィディッチでどれほどの名選手だったかも、昨日のことのように思い出せる。先生となって子どもと過ごしているウィリアムに、わしはこう言ったのじゃ。可愛いだろう。わしにとっての君も、同じじゃよ、と」
懐かしむような、いとおしむような目に感じたのは、うらやましいという気持ちだった。
こんな目をして語ってもらったこと、あるだろうか。
あたしは、こんな風に思ってくれる人が、いただろうか。
こんなときなのに、ウィリアムたちがうらやましくすらなった。
「可愛い可愛い生徒だ。私には、可愛い生徒だ・・・・・・いくつになろうとも。幸せでいると聴けば、うれしくなる。その子どもが入学してきて、挨拶にこれば、胸がいっぱいになる。生きて頑張っているのだろうかと思うだけで、自分も頑張ろうと思える。・・・その彼らが死んでいく。むごいなぁ・・・」
「ダンブルドア・・・」
そう思うのは、ウィルたち、だから?それとも・・・。
「トム・リドル・・・でも?」
「もちろん」
即答だった。
迷ういとまなどカケラもなく、そう即答した。
「トム・リドルも、マルフォイ親子も・・・皆、わしの生徒じゃ・・・・・・」
生徒なんじゃ、といったダンブルドアが、とてつもなく、大きく思えた。
生徒だから、という理由で許せることと、許せないことがあるんじゃないだろうか。
生徒だから、なに、とあたしなら思う。
だけど、ダンブルドアには、「生徒」というだけで許せるんだ。
「生徒・・・だから、あの二人を殺した人のことを、許せるの・・・?」
困ったような、悲しい顔で、ダンブルドアは微笑んだ。
「許せないと思う気持ちと、悲しい気持ちと、それでも、大切に思う気持ちでいっぱいじゃよ・・・」
「・・・今でも?」
「今はただ、可哀相に、と・・・」
可哀相?
そんな言葉で、あの二人の死を片付けてしまえるの?
確かに、殺されたて可哀相よ。だけど、可哀相なんて言葉で表してほしくない。
「違うよ、サクラ・・・。わしが可哀相と思うのは・・・ウィリアムたちももちろんじゃがミスター・マルフォイも、じゃ・・・」
「ダンブルドア・・・!」
なんてことを。
ルシウスが可哀相!?
だって、自分で選んだのよ。
自分で、あの二人を殺すことを決めたのよ・・・!
「可哀相ではないか。人を殺す痛みを知らぬ。人を殺すことの意味を知らぬ。人を愛することを知らぬ。こんなにも不幸なことがあるだろうか・・・」
「殺されるほうが、可哀相よ。ずっと、ずっと・・・人を殺すって、身勝手なだけじゃない!」
「愛することを知るものは、人を殺せない。愛することを知らぬということはの、サクラ・・・」
言葉を切ってあたしを見たダンブルドアの目は、あくまで優しい。
それは、大人が子どもを、見る目だった。
「誰にも、愛されたことがないということじゃよ・・・」
その言葉は、あたしの中のなにかをせき止めた。
渦巻いていた怒りとか、悲しみとか、ムカつくとか、そんな感情がぴたりと動きをとめる。
ふと、よみがえった。
列車ホームに向かう途中で、聞いたあの言葉。
「嫌わないでくれって・・・」
「ミスター・マルフォイがそういったのかね?」
「・・・・・・・そうよ」
あの時は、虫が良すぎる、と思った。
腹が立った。
なんでそんなことを言いに来るんだって。
だって・・・だってね、あたしは、どっちも大好きだった。
言いにこなければ、そんなことをする人だったんだって、見限れたのに。
軽蔑して、もう二度と近くにいたいなんて思わなかったのに。
だけど、あのときのルシウスの声が、どこかで木霊し続けていて、だから余計に、あたしの中で感情はぐるぐると渦巻いていた。
「そうか」
そうか、ともう一度繰り返して、ダンブルドアの手が、あたしの頭をぽんぽん、と叩いた。
優しく、叩いた。
「嫌わないでほしいと・・・思ったか・・・」
それがすごく良いことのように、何度も何度もうなずいて、ダンブルドアは、赤く染まった目を細めて笑った。
「・・・お帰りなさい」
「・・・待っていたのか」
「うん」
会いたいって思ったら、我慢できなくなった。
毎日のようにガーゴイルの隣に座っていたあたしに、今日お帰りになりますよ、とささやいてくれたのはマクゴナガル先生だった。
膝を抱えて、子どもみたい、と笑いながら、それでも待っていた。
顔をみて、安心したかった。
あたしが、この世界で、唯一家族と呼べる人。
「・・・少しだけ、いい?」
「かまわんよ。入りなさい」
そっとそのローブに包まれるように背中を押されて、なぜだかわからないけれど、涙があふれた。
「座りなさい」
泣くな、とも・・・泣いていいとも言わず、ダンブルドアはあたしをただふかふかの椅子に座らせて、肩に手を置いた。
「サクラ」
「泣くなんて、子どもみたい・・・」
「大人も子どもも、悲しい時には泣くものじゃ」
「悲しいのかな・・・」
あたしは今、悲しいのかな?
「悲しくないということはないじゃろう?」
「・・・うん」
悲しい。あの二人が死んで。
だけど、悲しくて泣いているのかといわれたら、違和感がある。
「サクラ」
「なに」
「星を見にいこうかの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・星?」
何を、唐突に。
つれてこられたのは、意外や意外。シリウスが落ち込むといつもやってくる高いところだった。
あー、なんとかと煙は高いとこに・・・。
「なにか思ったかの?」
「・・・・・・・・・・・イエナンデモナイデス」
考えただけなのになぜわかる・・・。
「ダンブルドア」
「なんじゃ?」
「・・・ダンブルドアも、悲しいの?」
「悲しくないはずがなかろう」
「ダンブルドアは、泣かないの?」
「泣くとも」
「・・・・・・・・・・・泣くの!?」
ちょっと、やめてよ。イメージと違うし!
「お前さんが、人恋しくて、悲しみをどこにもやりようがなくて泣いているように、わしだって泣くんじゃ」
「・・・・・・・・・・・・・人聞き、悪いの」
そうか。あたし・・・寂しかったんだ。
泣きたいときに、泣ける場所がなくて。
休める場所が、なくて。
家族みたいに、受け止めてくれる場所がなくて。
だから、ダンブルドアに会いたかった。
「・・・修行不足だなあ・・・」
「お前さんはまだ若い」
「・・・もう、24よ」
「だが、まだ若い」
そりゃ、ダンブルドアに比べればね・・・。
「みんな、みんな若いというのに・・・残されるのは、わしじゃ」
「・・・・・・・・・・・ダンブルドア?」
「逝ってしまったなあ・・・ウィリアムも、ユリウスも・・・」
遠く空を見つめるダンブルドアの顔が、月の光に照らされて。
その目に、きらりと光るものがあったような気がした。
「なぜかな・・・悲しいよ。とても、悲しい」
「置いて、逝かれるのが?」
「生徒が、先に死ぬことを悲しまない教師などいるものか」
「ダンブルドア・・・?」
「まだまだ、たくさんの未来がある。これからも、たくさんの幸せをつかめる。そんなものたちが死んでいく。将来の夢を語るキラキラとした目を覚えている。未来など憂うことなく、毎日友と楽しそうにはしゃぎまわっていたのを覚えている。子どもが出来て、照れくさそうに笑っていた。その命が奪われるほど、悲しいことはない」
「・・・・・・・・・・・・・」
「先生、と呼ぶ声も、得意だった教科も、クィディッチでどれほどの名選手だったかも、昨日のことのように思い出せる。先生となって子どもと過ごしているウィリアムに、わしはこう言ったのじゃ。可愛いだろう。わしにとっての君も、同じじゃよ、と」
懐かしむような、いとおしむような目に感じたのは、うらやましいという気持ちだった。
こんな目をして語ってもらったこと、あるだろうか。
あたしは、こんな風に思ってくれる人が、いただろうか。
こんなときなのに、ウィリアムたちがうらやましくすらなった。
「可愛い可愛い生徒だ。私には、可愛い生徒だ・・・・・・いくつになろうとも。幸せでいると聴けば、うれしくなる。その子どもが入学してきて、挨拶にこれば、胸がいっぱいになる。生きて頑張っているのだろうかと思うだけで、自分も頑張ろうと思える。・・・その彼らが死んでいく。むごいなぁ・・・」
「ダンブルドア・・・」
そう思うのは、ウィルたち、だから?それとも・・・。
「トム・リドル・・・でも?」
「もちろん」
即答だった。
迷ういとまなどカケラもなく、そう即答した。
「トム・リドルも、マルフォイ親子も・・・皆、わしの生徒じゃ・・・・・・」
生徒なんじゃ、といったダンブルドアが、とてつもなく、大きく思えた。
生徒だから、という理由で許せることと、許せないことがあるんじゃないだろうか。
生徒だから、なに、とあたしなら思う。
だけど、ダンブルドアには、「生徒」というだけで許せるんだ。
「生徒・・・だから、あの二人を殺した人のことを、許せるの・・・?」
困ったような、悲しい顔で、ダンブルドアは微笑んだ。
「許せないと思う気持ちと、悲しい気持ちと、それでも、大切に思う気持ちでいっぱいじゃよ・・・」
「・・・今でも?」
「今はただ、可哀相に、と・・・」
可哀相?
そんな言葉で、あの二人の死を片付けてしまえるの?
確かに、殺されたて可哀相よ。だけど、可哀相なんて言葉で表してほしくない。
「違うよ、サクラ・・・。わしが可哀相と思うのは・・・ウィリアムたちももちろんじゃがミスター・マルフォイも、じゃ・・・」
「ダンブルドア・・・!」
なんてことを。
ルシウスが可哀相!?
だって、自分で選んだのよ。
自分で、あの二人を殺すことを決めたのよ・・・!
「可哀相ではないか。人を殺す痛みを知らぬ。人を殺すことの意味を知らぬ。人を愛することを知らぬ。こんなにも不幸なことがあるだろうか・・・」
「殺されるほうが、可哀相よ。ずっと、ずっと・・・人を殺すって、身勝手なだけじゃない!」
「愛することを知るものは、人を殺せない。愛することを知らぬということはの、サクラ・・・」
言葉を切ってあたしを見たダンブルドアの目は、あくまで優しい。
それは、大人が子どもを、見る目だった。
「誰にも、愛されたことがないということじゃよ・・・」
その言葉は、あたしの中のなにかをせき止めた。
渦巻いていた怒りとか、悲しみとか、ムカつくとか、そんな感情がぴたりと動きをとめる。
ふと、よみがえった。
列車ホームに向かう途中で、聞いたあの言葉。
「嫌わないでくれって・・・」
「ミスター・マルフォイがそういったのかね?」
「・・・・・・・そうよ」
あの時は、虫が良すぎる、と思った。
腹が立った。
なんでそんなことを言いに来るんだって。
だって・・・だってね、あたしは、どっちも大好きだった。
言いにこなければ、そんなことをする人だったんだって、見限れたのに。
軽蔑して、もう二度と近くにいたいなんて思わなかったのに。
だけど、あのときのルシウスの声が、どこかで木霊し続けていて、だから余計に、あたしの中で感情はぐるぐると渦巻いていた。
「そうか」
そうか、ともう一度繰り返して、ダンブルドアの手が、あたしの頭をぽんぽん、と叩いた。
優しく、叩いた。
「嫌わないでほしいと・・・思ったか・・・」
それがすごく良いことのように、何度も何度もうなずいて、ダンブルドアは、赤く染まった目を細めて笑った。